4.《ネタバレ》 録画したままで見れていない成瀬映画が幾つもある。そんな中でようやく見た。長谷川一夫と山田五十鈴の二人が互いに惹かれあいながらも芸のことについての食い違いから喧嘩してばかりいる。成瀬映画によく出てくる喧嘩のシーン、今回もこの二人の喧嘩の迫力の凄いことといったらない。それでいて、いつまでも尾を引かないのは二人が本当に相手を信頼し、愛しているからこそ伝わる喧嘩、コミカルな雰囲気が何とも楽しい。成瀬巳喜男監督らしいメロドラマの中に張りつめた緊張感もあって見応え十分の映画になっている。山田五十鈴の三味線のシーン、あの時の目線、隣でじっと構える長谷川一夫、こういう緊張感のある構図をさりげなく描くことの出来る成瀬巳喜男監督はやはり素晴らしい監督であると改めて思った次第でございます。 【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-04-06 21:51:54) |
3.《ネタバレ》 ある意味、ルノワールの『黄金の馬車』の対極にある映画だと思う。この映画の主人公は、相方が芸の世界に沈み込まないことが幸せだと思って自ら身をひいてしまう。『黄金の馬車』の主人公は、芸(演技)の世界の嘘に耐え切れず、現実の世界に真実を求めて芸の世界から遠ざかろうとするが、現実世界の中に自身の居場所を見出すことが出来ず、結局、虚構の中にいることが自分のアイデンティティーなんだと認識してその世界に戻っていってしまう。世界の美しさとしては、ルノワールの世界の方に軍配をあげてしまいたいのだけど、だけど現実生活に根ざしたリアルさという点では、成瀬の方だよね。でも、どうしても、あれだけの芸を持っていた鶴八が芸を捨ててしまうことが幸せには思えないのは、芸を極めることになんて縁のない世界に生きている者の見方なんだろうなあ。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-18 23:24:10) |
2.昔の映画はいろんな発見があるもので、主演の二人は当時長谷川一夫30歳、山田五十鈴21歳…。山田五十鈴の美しさにも目がいくけど、やっぱり長谷川一夫...現代劇ってのもあるんだろうけど今までのイメージとは大分違いました。戦前の映画はほとんど見る機会ないのでこういうの見れると嬉しいです。鶴八鶴次郎…変な名前だと思ったらコンビ名だったのね。ハッピーエンドではないけれど暖かい感じのラスト好きです。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-16 23:30:23) |
1.長谷川一夫と山田五十鈴、紛れもない玄人の迫力があります。近頃の学芸会に毛が生えたか生えねぇかって位の素人臭い役者とはワケが違う。芸ごとの世界が持つ緊張感やおごそかさ、艶っぽさ、或いは厳しさが作品全体を覆っていて独特の格調を醸し出しているのがいいッス。路地の映像なんかもとてもしっとりと美しい。ラストの楽屋での鶴次郎の表情、彼を捉えたアングルなんかがまた堪らなく切ない。くーーーーっ!分かるよ、アンタの気持ち。よっく分かっているよ次郎さん!み、みなまで言うねぇ・・。なので、↓【STING大好き】様ご指摘の通り、飲み屋での説明は無い方がより良かったと私も思います。 【黒猫クロマティ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-23 16:01:07) (良:1票) |