42.《ネタバレ》 これは、格好良い。日本男児の格好良さが全部詰まっている。そんな気がする男の映画です。 一昔前までの、外国人が想像する日本人の男=侍。それって映像作品で言えば、かなりこの映画から来てるんじゃないでしょうか? 実際には勤勉で真面目で仕事が細かい日本人。その裏で、本作の桑畑三十郎のような日本人像も確かに存在します。 棒っ切れを投げて行く先を決める。悪党が覇権を争う街に、無関係なのに首を突っ込む。この男の行動原理が『楽しいかどうか』。居酒屋に戻っては“飯”を食い“酒”を飲む。大きな体で忍び足して、内緒話に聞き耳を立てる。自分の話題だとぺろっと舌を出す。こんなお茶目な男、女なら惚れてしまうだろう。一瞬で悪党三人も斬り殺す腕っぷしの強さ。こんな男に『おめぇ、強ぇんだってな?』なんて言われて喜ばない男が居るだろうか。ただ強いだけじゃない。寡黙な中に人間の魅力が詰まっている。 回転式拳銃と八州廻りが出てくるので、江戸時代末期の設定だろうけど、どこか異国感がありますね。女郎が踊る時の楽曲も賑やかでどこか南米風な味わいも…。米国の『血の収穫』という探偵小説を下地にしているそうで、そう考えると時代劇を下地とした西部劇『荒野の用心棒』の親和性が高かったのも頷けます。最後の見どころ、丑寅一家対三十郎。卯之助も亥之吉も見せ場もなく簡単に斬り捨てられます。日本の映画界で長年培われた殺陣の手法を廃し、徹底した現実主義を貫いた斬り合いが、時代劇の新時代を切り開いた黒澤作品らしく感じられます。 【K&K】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-05-23 23:12:21) |
41.《ネタバレ》 画面が抜群に見やすい。構図とカメラワークが練られており、動きを追うだけで話が見える。絹屋が酒屋を殺すシーンだけがマジでご都合主義すぎた(ぬいを情婦にしていた酒屋を成敗する必要があったんだろうが、唐突すぎてポカーンとなった)ので、椿三十郎よりは1点低い8点で。 しかし三船敏郎は白飯を美味そうに食うなあ。 【なす】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-07-21 15:33:02) |
40.《ネタバレ》 通しで初めて見ましたが、なるほど、良い作品ですね。 ヤクザ同士の馬鹿な対立、その対立に乗じて糊口を凌ぐ流れ浪人の生き様。 己の生死を賭ける段になると、やってられないよねと本間先生は出て行く。 桑畑三十郎は手を振って見送る。ここが良い! 原作は知らないけど、黒澤監督の手腕と見ました。 桑畑三十郎は残ってやがて情に流されて見せ場を作る。 とても完成された映画だと思いました・・・ ただ、卯之助の最期の処理が大人の事情で色々あってのことなのか、 逆に卯之助の粋なところを殺したと思われるので減点させて下さい。 【karik】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-03 20:32:40) |
39.《ネタバレ》 初黒澤作品として観賞。 おもしろかったです。 三船敏郎がかっこよすぎる。 権爺を助ける為に、包丁もって、「刺身にしてやる!」と向かうところがツボ。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-12-31 19:09:34) |
38.黒澤映画で今のところ、観た回数が一番多いのがコレ。だってオモシロいもん・・・という訳ではなくって、この作品、どうにも違和感があって、こりゃ一体何なんだろう、と確認したくなってついまた観ちゃう。 2大グループが対立する宿場町に、風来坊の侍がやってきて、両者の対立をあおり一気に殲滅しようと企む。ってのはいいけれど、普通なら、その前段階が詳しく描かれ、クライマックスで抗争がピークに達して一大バトルが描かれるところ。七人の侍と同様の作劇であれば、そういう展開になるはず。ところが本作はむしろそれが前フリでしかなくって、三船敏郎演じる主人公、何の理由もなくいきなり作戦に打って出て、いきなり頓挫する。 対立するグループと、その間に挟まれた初代黄門様・権爺の店、というこの宿場町の構図、大変わかりやすく、さらに抗争が進むにつれ荒廃が進んでいく様子など、個人的にはとても好きなのですが、さすがにコレ、図式的に過ぎる気もするし。また、出てくる面々、どいつもこいつも、みんな汚そうで悪そうで、見事なアウトレイジ感(悪そう、と言えば、二代目黄門様も出てますが)。なんと加東大介ですら、この悪人ヅラ(もうヒドイのなんの)。だけどこの登場人物の模様もまた、図式的、機械的で、気がついたらどんどんオハナシが進みどんどん登場人物が増えていってしまってる。妙にドライなオハナシかと思えば、妙に人情話みたいになったり。 奇妙に幾何学的で、実はコレ、結構、実験的な作品なんじゃないの、という気もしてくる。いかにも無国籍な音楽に、やはり無国籍な敵役の仲代達矢。雰囲気も時代劇なんだか西部劇なんだか何なんだか。いや、あのG馬場とリチャード・キールを足して2で割ったような大巨人にいたっては、もう、SFです。 そんなハチャメチャな異常な中で、いかにも飄々とした三船敏郎、やっぱりカッコいいよね。何考えてるのやら、颯爽と歩き、ガツガツ物を食い、ひたすらタフ。やっぱり光ってる。光ってるから、作品が締まる。作品がカッコよくなる。何だかよくわからんけどカッコいい、だからまた観たくなる。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-04-30 08:59:09) |
37.《ネタバレ》 時代劇だってのにピストルが登場するあたり、細かいことはどうでもいいからとにかく観客を楽しませる娯楽作をつくろうとして制作されたんだろうなあと思います。実際、とても楽しい。 桑畑三十郎は良いキャラクターですね!人間味がある。喧嘩を楽しそうに見物したり、酷い目にあった家族を逃したり。作り物なんかじゃなく、実在したのではないかと思えるほどのリアリティがあります。狂言回しで終わるはずもなく、しっかり痛めつけられるのが面白い。 また、観客と同視線で物語を見つめるという特異な役どころでもあります。半助が役人の世話をする滑稽なシーンを観客と共に観て笑い、丑寅の煙攻めを「面白そうだから」と観客とともに観て楽しむ。さらに亥之吉に見つかるかどうかというサスペンスまで、観客と共に味わうことになるわけです。実に面白い設定です。物語とともに味わった相手だからこそ、ラストの後ろ姿に威厳を感じるのかもしれません。 それにしても、物語の一番最後にサイコで滑稽なシーンを持ってくるなんて、何考えてんだろう?頭ぶっ壊れたオッサンが太鼓を叩いてると思ったら半助を…。飯屋も桶屋も三十郎も、誰も彼について触れることなく卯之助の捨て台詞に流れるなんて、何なんだ?崩壊した宿場のメタファーなのか何なのか。笑えたからいいんだけど、不思議だなあ。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-06-16 04:25:35) |
36.《ネタバレ》 今更ですが面白いですね。二転三転、新たな人の乱入によって思わぬ方向に事態が転がっていき、最後は親子の情にほだされて袋だたきにされる三船敏郎。軒下を這いつくばって敵地から抜け出し、最後は泥臭く復讐を果たす。名作の誉れが感じられました。映画を見ながら誰かに似ていると思っていて、ようやく思い当たりました。この飄々としてひょっこりしたおっさん具合はロバート・ダウニー・Jrそのもの。リメイク作品を作るならぜひロバート・ダウニー・Jrを主演にしてもらいたい。 【kirie】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-01-04 11:14:41) |
35.《ネタバレ》 それまで、どちらかというと芸術性の強い娯楽作を主に撮っていた黒澤明が、肩の力を抜き娯楽性に重きをおいて作られた傑作。とにかく三船敏郎のかっこよさに尽きる。その外見、台詞、刀さばき、飄々とした姿勢、そして時折り見せる弱者に対する優しい視線。侍はやはりこうじゃなくっちゃ。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-27 20:53:59) |
34.黒澤明監督の娯楽色溢れる見事な日本映画の代表とも言える見応えのある傑作。三船さんを筆頭に多数出演の懐かしい役者さんも豪華。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-02-09 21:41:10) |
33.黒沢監督の放つ痛快娯楽劇。三船敏郎演じる主人公の、 飄々として抜け目がなく、それでいて情に厚いキャラが面白い。「椿三十郎」同様、 コメディータッチを含んだストーリーものだが、こちらのほうがややストーリー色が濃いかな。 三十郎が情を見せ始めたあたりから、お話自体はちょっと甘くなってしまった感はあるけれど、 クライマックスで再び盛り返した。緊張感溢れる映像はもちろん、音楽が効果的に使われ、 ゾクゾクくるようなカタルシスを与えてくれる。このシーンは何度観ても飽きない見事な演出。 相手役の仲代達矢も良かった。言うまでもなく、娯楽時代劇を代表する作品の一本。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-11-20 06:19:45) |
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32.《ネタバレ》 椿三十郎ほどではないが面白かった。さすが黒澤、キャラクターが漫画のごとくユニークで、ストーリーも引き込む力がすごい。カメラワークも良い。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-06-09 17:38:19) |
31.《ネタバレ》 まずは映画館を思わせる飲み屋の暗い空間からの「覗き」、次に火の見やぐらからの「高見の見物」をしていた三船が、やがて渦中の人となり危害を加えられ「目も当てられない」姿になる。やがて傷も癒えた三船による大掃除。クロサワの長所は、視のテーマが明確なことにある。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-04-03 11:53:09) |
30.一回ボコボコにされながらも復活する主人公がかっこいい。最後まで正体不明。痛快時代劇とはこのこと。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-10-09 01:20:21) |
29.脚本、カメラワーク共に絶妙。あっという間にエンディングに至る。 カッコよすぎるぜ、三船敏郎!その存在感はやはり世界の三船。 【円軌道の幅】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-09-26 17:30:32) |
28.三船敏郎演じる「侍」をクリント・イーストウッドが「ガンマン」にアレンジし、過去に行った「現代人」マイケル・J・フォックスがパロディにする。 なんという偉大な作品なんだろう。 【きーとん】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2010-07-22 20:46:26) |
27.どちらかといえば「椿三十郎」の方が良かったかな。しかし、こちらも面白かった。三船さんの男臭さ… これぞ侍と思わせてくれます。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-04-09 20:00:34) |
26.《ネタバレ》 二度目の鑑賞。一度目は、派手なチャンバラを期待してみてしまって、肩透かしを食らったクチなのですが、改めてみてみると、映像のカッコよさや、音楽の軽快さもバランス良く作用していて、実はかなり楽しい時代劇だということに気付きました。 なんとも濃い脇役の面々にニヤニヤさせられてしまい、特に亥之吉のバカっぷりがツボにハマりました。 三船氏演じる三十郎は二つの派閥を散々ひっかきまわして高みの見物という、時代劇のヒーローらしからぬ暗躍っぷり。何考えてんのかわからないし、しまいにはボコボコにされたり、役としては決してカッコよくはないのだけれど、なぜか異様にカッコよいのは(もちろん演出によるところもあるだろうが)三船敏郎そのもののカッコよさが大きいのかなーと、感心してしまいました。内容込みでカッコ良いのは椿三十郎でしょ。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-14 22:28:08) |
25.《ネタバレ》 これぞ娯楽の真骨頂! 腕っぷしも強く頭も切れるそんな、三十郎には少々敵役は役不足だったように思います。三十郎の計画は大体成功してますからね・・・・。そのぶん後味最高!スカッと痛快 【甘口おすぎ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-04-26 22:38:01) |
【なますて】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-06-18 14:17:25) |
23.《ネタバレ》 三船敏郎の圧倒的な存在感をこれでもかと感じる名作ですね。これぞ娯楽作と思いますし、6人を殺ったのがバレて、拷問受ける部分は結構痛々しかったですが、あまりに仲代さん演じる役が鉄砲に頼りすぎてるもんだから、途中から「三十郎、もうすぐ四十郎やっちゃってくれ!」と肩入れしたくなっちゃいます(笑)音楽もここぞって所でピッタリな音楽かかるし、愉快痛快でたまりませんね!本当に殺陣が速い!もっとバッタバッタ斬っても嬉しいもんですが、前半のもったいぶってる感じ、あごヒゲを撫でる仕草もすげえカッコいいですよね!頭は切れるけど鉄砲に頼りっきりのあの男、本当に嫌な奴でしたね!目のギラつき方といい悪役にピッタリで。「椿三十郎」での血のブシュ~!といい、仲代さん、ナイス引き立て役! |