2.《ネタバレ》 「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」の同時上映作品となる水島努監督(監督デビュー作。)による短編オムニバス。久しぶりに見たがギャグアニメとしての「クレヨンしんちゃん」の良さが短い中によく出ていてやっぱり面白く、またそのギャグ一つ一つがとてもさえていて、少しも退屈することなく楽しめた。やっぱり印象に残るのは以前見たときもそうだったのだが、「ひまわり あ GOGO!」。蝶を追いかけるひまわりをその視点のみのワンカットで描いていて、手塚治虫の「ジャンピング」の影響も見られる実験的な作品だが、躍動感もすごくあり、これぞアニメならではと感じさせるものになっていて見ごたえじゅうぶん。この話にはひろしの流血シーンもあり、水島監督の本郷みつる監督や原恵一監督との作風の違いも垣間見ることができる。そして、やはり強烈なインパクトを残しているのが「私のささやかな喜び」。ミュージカル仕立てなのだが、みさえの便秘解消の喜びを表現した歌の完成度が高く、みさえの嬉しさがよく伝わってくるし、ちょっと感動的ですらある。その歌に乗せて「サウンド・オブ・ミュージック」や「タイタニック」といった洋画のパロディー(「タイタニック」の例の有名なシーンのパロディーが男女逆になっているのは今見ても笑える。)も「クレヨンしんちゃん」らしくて楽しかった。そして締めを飾るぶりぶりざえもんが実にぶりぶりざえもんらしかったのも良い。(2023年11月30日更新)