2.《ネタバレ》 恥ずかしながら、今までこの映画は怪獣・モンスター映画だとばかり思っていました。てっきりメリアン・C・クーパーが二匹目のドジョウを狙ったキングコングの二番煎じだとね。ところが本作のジョー・ヤング君はただのでかいゴリラそのものでしかなく、もちろん猿人であるわけがありません。ちょっとがっかりしましたが、これがどうして、けっこう面白いんです。レイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメはキングコング当時よりも格段の進歩を見せており、ジョーとライオンの格闘なんか見事なシーンとなっています。でかいと言ってもしょせんはゴリラなんで街中に出て行ったら警察や軍隊にあっという間に仕留められちゃいますが、そこはナイトクラブの店内という閉ざされた空間で暴れさせるというところは脚本の妙味です。このナイトクラブでの破壊シーンはストップモーション・アニメと実写の合成が見事に決まっていますし、セット自体も大掛かりで迫力満点です。人間ドラマも良く撮れていて、悪役かと思っていた興行主オハラがジョー脱出に大活躍するようになるところなぞ傑作で、製作のジョン・フォードが助監督まで務めている効果が出ている感じがします。 ちょっとジョー君の顔つきがゴリラらしくないところが難点ですが、ラストのアフリカからのムーヴィー・レターのくだりは、なんかほっこりさせられました。