1.懐が深い医師を存在感たっぷりに演じるお目当てカール・マルデンに満足。オープニング・クレジットのテレンス・スタンプに「しまった!」と思ったものの屈折ぶりが本作では病的なものでなく、実に味わい深い心模様に仰天した名演ぶり。特筆すべきは映像美。目にしみるような青色(空)、白色(雲)をはじめとして何処を切り取っても絵画として鑑賞できるもので、ラストの俯瞰ショットはメキシコ・アメリカの間で揺れ動いた青年の哀しみを雄弁に語る忘れ難いものです。スタンリー・コルテスは「狩人の夜」を担当したようで、鑑賞数珠つなぎの人物と出会えました。