12.《ネタバレ》 再見。
最初この映画を見た時は「イーストウッドの新作だ!」というだけで熱狂的に迎え入れていたが、今見返すと今作と「アメリカン・スナイパー」ほど退屈なイーストウッドの映画もないだろう。
これ以前の作品群と比べると照明にしてもストーリーにしても、何か毒が足りない。闇の中をもがくような恐怖と面白味をそれほど感じられないのだ。
それでもところどころの演出は流石イーストウッドと言ったところか。
イーストウッドはこの作品以前にも「バード」や「ブロンコ・ビリー」「ピアノ・ブルース」といった音楽愛に溢れた作品を幾つか撮ってきた。
この「ジャージー・ボーイズ」もその一つになるだろう。
四季(フォー・シーズンズ)を通して彼等の生き様を謳い上げたミュージカルの舞台を、歌をエネルギーにして伸し上っていく伝記映画にしてしまった。
同じく四季を通して描かれた「アマルコルド」も、ミュージカルから愉快なコメディ映画になった事を思い出す人もいるのではないだろうか。
この映画も、喧嘩や暗闇は多いがそれを吹き払うように歌って歌いまくり、照明も街の灯も彼等を照らすように明るい。ボーリング場のネオンも彼らに素敵な名前を送るために輝く。
舞台と同じように一人一人、四季に応じて御丁寧に自己紹介。
喧嘩も徒手空拳もセッションのうち、彼らが歌うのは警官の注意を仲間に向けさせないため、気になる彼女を笑顔にするため、老夫婦の眼に涙を与えるため、娘を安心させるため、二人のカップルの情事を祝うため、仲間たちを、みんなに笑顔を届けるため。
それは小さなバーで一人、二人の観客のために歌っている時も、ステージの大観衆の前で歌っている時も変わらない。
何度もブタ箱にブチ込まれようがめげない、ギャングだろうが警官だろうが屈しない!
久々にイーストウッドの平和で心温まる映画を見たかも知れない。
なーに、せいぜいショーウィンドウに突っ込んだり車内で脳天ブチまけたり食器や書類をブン投げるだけさ。
ビルを下から上へ撮り、そこに集うライバルたちを強調して彼等と歌で競い合う・・・そんな事を期待して胸を膨らませた瞬間が俺にもありました。
おっぱいを強調したジェーン・ラッセルみたいな女とも 口 づ け 一 つ で結・婚・式!
ドッキリ大成功?よーしフザけんなブッ殺す。
イーストウッドも若返って一瞬だけ登場(「ローハイド」~)!