9.《ネタバレ》 一度ハマったら抜け出せない、そんな中毒性のある映画。 大手映画会社のオファーで脚本を書くことになった作家のバートン・フィンク。 普段は労働階級の『普通の人々』を描いているバートンだが、今回はとにかく書けない。 『ブラッド・シンプル』から10年も経たずして世界的に評価されたコーエン兄弟・・・彼らもいろんな著名映画人からアプローチを受けたのだろうけど、創作に苦しんでいたのだろうか。 二人が抱いていた苦悩がバートン・フィンクに投影されているようだった。 バートンは自分を崇高な存在だと思っているようで、彼のいう『普通の人々』も含めて周りの人間を見下してる気がするけど、これもコーエン兄弟が自分たちがそうなってしまっていると感じていたのだろうか。 観ていていろいろなことを想像させてくれる映画。 チャーリーを演じるジョン・グッドマンが強烈。 彼は一体誰なんだろうか。もう一度観ないとなー。 【Y-300】さん [DVD(字幕)] 8点(2020-10-11 09:28:47) |
8.こういう巻き込まれ型サスペンスは大好きなのですが、映画の解釈を観客に投げてしまっている点が少々ずるいなぁという印象。 人によっては怒るだろうし、人によっては色々考察して楽しむんじゃないでしょうか。 私は前者でしたが・・・でもなんだかんだでこの怪しげな世界観を楽しめたので良しとします。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-11-12 20:53:57) |
7.《ネタバレ》 たったこれだけの設定でこの引き込む力はたいしたものだ。「バートン・フィンク」という固有名詞はユダヤ系だなという台詞とともに意味ありげに急浮上したりするのに(古典的ハリウッド映画はことごとくユダヤ人起業家に支えられていたしこの映画の舞台たる1941年でもまだその事情に大きな変化はなかったはずだとしたら、この映画のハリウッド批判は時代考証的にはちょっと的外れかもしれない)、隣人の親ナチであることがやがて判明する暴力的な大男とはずっと奇妙に共存していたことになる。預けられた小箱の中身がついに明かされないのも作品全体の意図された曖昧さを象徴している。 【ひと3】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2015-02-17 14:36:49) |
6.コーエン兄弟の作る世界、描く世界、好きですねえ!何とも言えない怪しげな雰囲気がたまりません。コーエン兄弟にしかない独特な雰囲気は私の好みです。それに何と言っても俳優陣が良い!ジョン・タトゥーロ、ジョン・グッドマン、スティーブ・ブシェーミと曲者揃いで、それぞれが持ち味を発揮していて面白かった。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-19 21:24:41) |
5.なぜか面白いが、なぜ面白いのかよくわからない。理屈でストーリーを説明できなくても、鮮烈なイメージだけでも充分楽しめる。 ただし、脚本はあまり好きじゃない。他のコーエン映画で観たような気がするシーンが数回あった。とくにコーエン兄弟の映画で描かれる犯罪は、いつも行き当たりばったりで解決の仕方まで偶然だったりして、うすっぺらい印象を受ける。コーエン兄弟はそういうのが好きなんだろうが、個人的には何が面白いのかよくわからない。 【no one】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-08 14:51:03) |
4.《ネタバレ》 剥がれ落ち、でろでろと垂れ下がって来る壁紙のように、「自分」という意識が現実から剥離する感覚が恐ろしい。暑さと湿気で正常な判断力を奪われ、顔周りを飛び交う蚊に精神は休まらない。現実から遊離し逃げ込んだ観念世界でも、妄執と自責からは逃避出来ない。閉鎖空間で意識はひたすら空転する。強烈などん詰まり感。怖い。ここ1年、冗談でなく悪夢以外の夢を見た記憶のない私には、他人事には思えない作品。決して面白い作品ではないが、心の奥に何かの呪いのようにへばり付いて離れない、奇妙に印象値の高い作品。ラスト近くの、燃え盛るホテルの廊下とそこに尊大に立つ男の姿が、何時まで経っても頭から離れない。湿気に塗れたねっとりとした妄執。その具現化たるホテルが、硬質で乾いた炎によって清算され、救済される。怖いのだけれど、妙に清々しく、美しい。ラストシーンの、負け犬のような、残滓のような、主人公の姿。それでもそこには、妙な安堵感と不思議な充足感がある。 【ひのと】さん 8点(2004-05-16 18:18:03) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 夢を具体的に表現するのにこういう手法があったかと唸った。 ラストシーンがもう少し続いていたら次のようになってたと思う。 海辺の情景がホテルに掛っている絵と同じ構図になる→はっと目覚めて半覚醒状態で壁の絵を眺めていた事に気付く→今までのは夢で自分は蒸し暑いホテルで今だに進まない原稿を書いている…いわゆる「夢オチ」ですが、夢そのものを表現しようとする点が今までの映画と違う。 起きてしまうと内容が中々思い出せない、何か妙に気持ちよかった気がするけど…という「夢」を観客は覚醒したまま味わえる、それがこの映画の醍醐味だと思います。(炎の中驀進するデブさんは夢のフラストレーション解消機能?) 最後のオチまで描かないのは、無論、目覚めてしまうと思い出せないから。エンドロールは夢から覚めようとしているウツツの状態。目覚めるのは劇場の明かりが点いた時です。 …では何処からが夢か?というとそれははっきりしない。とりあえず「壁でろ~ん」が、もう夢に入っている事を暗示するのみ。考えてみれば「目覚める事」とは対照的に「眠りに入る瞬間」を意識できる人はまず居ない。その辺まで計算されているようで、見事だなと思います。 【番茶】さん 8点(2004-04-24 07:47:00) |
2.これは夢オチなのか?観た人によって感想は違うと思うが、自分はあの箱の中身はタトゥーロ本人の頭が入っているもんだと思ってた。グッドマンが書けないで悩む主人公を殺すことでその苦しみから開放させたんではないか…かなり妄想が入っているが。結局、どこから夢又は妄想の世界が始まるんだろうか。いずれにせよ、作家の苦しみがよく分かる作品には仕上がっている。 それにしてもコーエン兄弟の引き出しの多さには恐れ入る。 |
1.<ネタバレアリマス>隣人のグッドマンは良い味を出していたが、それにしてもこんなタイプの映画、カンヌって好きだね。暗いし、淡々と物語は進んで行く。後半になって殺人事件が発生し、その後のサスペンスは見事だと思うけど、警官に血塗られたベッドを見つかった瞬間、この警官2人は殺されるなって予感した。予想的中・・・ん?独特の雰囲気?嫌いではないけど何だか先が読める展開に興醒めした。 【イマジン】さん 8点(2001-03-06 13:00:32) |