2.配役の贅沢さだけで、お祭り的な楽しみがある。そしてこの人の場合「お祭り的」ってこと自体が狙い目なので、大事なんだよね。つまり主役級の人たちに全員脇役をやらせている映画とも言えるわけで、アルトマンの人生観が見えてくる気がする。「すべての人は主役である」とはよく言われるけど、この人は「すべての人は脇役でもある」って言いたいんじゃないか。するとなんか、肩の力が抜けるというか、周囲に構えないで生きていけそうな気がする。主役のつもりでファッションモデルのように気取って歩いても、ほら足元には犬のクソ。虚飾を剥ぐ、などという大層なものではなく、人の世のおかしみ。マストロヤンニは、ホント、こういう役やるといいですな。ヒョコヒョコした忍び足やらせると絶品っていう名優も珍しい。