1.《ネタバレ》 東日本大震災と生活保護をテーマに映画にしようとすると、観る方も少し身構えてしまうと思うのだが、この映画はサスペンス要素を入れることで、鑑賞者を増やし、その点で成功していると思う。
野外ステージのシーンで語られたことが何だったのか最後に明らかになるのだが、彼の人間性を表すいいセリフだった。「殺されていい人間なんていないんだ」は震災で大切な人を失ったからこそ出る言葉だったのだろう。
佐藤健という俳優を少し見くびっていたのだが、本作で見事にその印象が変わった。役柄でどんな人間でも演じることができる稀有な役者だと思う。すばらしい。
そして倍賞美津子。この人の存在感は絶大で、歳を重ねるごとに彼女の持つ包容力や安心感が増している気がする。二人の役者に加点。