2.《ネタバレ》 世界のトップブランド「Gucci」の内部崩壊を超大物たちの手で恥ずかしげもなく描いた話題の作品。超大物監督リドリー・スコットと超一流俳優らてんこ盛りで制作された、まさに観客冥利に尽きる作品としか表現のしようがない映画でした。アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジャレッド・レト、アダム・ドライバー、そしてこの大物揃いの中で主役を務めるのがレディー・ガガと、終始ニンマリしっぱなしという状態です。
脚本もよく練られていて、グッチというハイブランドの商品と一生縁がない末端の素人衆が見ても悩まなくて済むよう、かなりシンプルかつ丁寧に作られていたという印象を受けました。話の本筋はレディ・ガガ扮するパトリツィア目線で彼女がいかにGucci家に食い込んでいったかという部分が描かれていて判り易いものです。株の話がシンプル過ぎて不自然だという意見も見られますが、確かにGucciの筆頭株主であることが物語上重要な駆け引き要素となっていますが株の仕組みにまでは言及されておらず、単純に「Gucciの筆頭株主」=「直系の家族である証明」という程度の認識でOKだと思われます。
ただ、これだけの超豪華俳優陣を使って非常によく作りこまれているにも関わらず、物語の起伏はいまいち盛り上がりに欠けるものとなっています。いえ、実際にはパトリツィアが壊れていく過程と共に物語は終盤に向け確実に盛り上がってはいくのですが、なんというか、、淡々とした印象を受けます。もしかしたらGucciというハイブランのイメージを意識した高貴な(抑えた)演出が裏目に出たのかもしれませんが、しかしながらアダム・ドライバー扮するマウリツィオが命を含め全てを失う流れは十分に見ごたえがあるもので、エンドクレジットの「1995年株式公開、現在人気が回復したGucciにはGucci家の人間は一人もいない」という言葉は何とも皮肉でした。個人的にはアル・パチーノ&ジャレッド・レト組のパートをもう少し見ていたかったという気持ちもありましたが、総じて良くできた作品だったと思います。