2.これはオモロイ!極めて上質のバカ映画と言えましょう。撮影所を舞台にしているので、「映画の撮影の裏側全部見せます」風の映画と思いきや、さにあらず。というのも、撮影風景は出てくるものの、「何を撮っているのか」「どのように映画として仕上げられるのか」に関しては、全然語られない。いわば、映画のオモテもウラもみんなひっくるめてゴチャマゼにした闇鍋風。めくるめく楽しい世界。しかしまあ、映画作家が「映画そのもの」を題材にする、いわば「自分の土俵で相撲をとる」というのは、何となく抵抗を感じないでもないんですけどね、あくまで映画作家=表現者、であるならば。ちょっと自己完結すぎて、映画関係者と映画好きだけが楽しめればOK、みたいな感じが無くも無く。たとえば小説家が、小説家を主人公にして「小説書くのがいかに大変か」という題材の小説書いたとしたら、それって何だか、手段と目的が過度にもたれ合いを起こしているような気がします。それと同じ。やっぱりもっと直接人生に斬りこんで来る普遍的なものであって欲しい。とかなんとかいいつつ、やっぱりこういう映画もたまにはいいですね。それにしても、アニタ・エクバーグ、なんだかジャバ・ザ・ハットみたいになっちゃったね。