5.《ネタバレ》 生まれた家に住み続け、成人しても結婚しても親と同居し、家業で暮らして行く。そんな人は多いはずだけど、そのこと自体はおよそ映画的ではありません。そこをストレートに取り上げて、文学的な趣きの見応えを提示していることに感心します。この見応えの根本は主人公・満夫の生き方にあると思います。彼はこの土地を捨てて他所へ移る意思を全く持っていない。地方で農業を営む日々に悩みや不満は持っていても、疑問は持っていない。彼が都会志向の人だったなら、この映画もあまたの青春映画と似た色彩の中に霞んでいたと思える。この生き様が、地方から都市部へ出て働く人たちに接点の無い姿として焼き付けられます。彼が都会を向かない理由も特に述べられていません。「どうして東京へ出て行かないの?」と聞いてみたい。でも、その質問自体が都市部で働く人の価値観の押し付けなのでしょう。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-03-17 03:28:35) |
4.すっすいません正直に言います。石田えりのヌード&濡れ場ば目当てで見ました。ごめんなさい。しかしそんなに期待したほど激しくもなくてむしろ永島敏行とジョニー大倉の繊細な演技に胸を打たれました。【グロリア】さん俺もギルバート・グレイプに少しにている様な感じを受けました。冒頭のビニールハウスを開けるとすぐ目の前に集合住宅が見えてきたりお見合いからそのままモーテル直行などなどその当時の人達の生活感が生々しく感じられました。若さゆえの強烈な欲求を女性の体にぶつけて過ちを犯してしまうジョニー大倉の演技は図抜けてる。所々でタイトルの遠雷が効果的に使われていてなかなか憎い演出を見せてくれます。話は変わりますが当時は映画館にR指定とかPG-12とかあったんですかねぇ・・・間違って子供が見たら大変なんじゃないかなぁ。 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-03-30 02:08:52) |
3.私は都会育ちなので、実際に田舎の若者像というものを想像したことすらなかったんですよ。そういう意味で、この作品にはちょっと頭をぶん殴られたような衝撃を受けましたね。とにかく娯楽が何にもないから、若い二人が見合いをしてやることといったらセックスしかない。実際に地方出身の友達に聞くと、そんなものよと口を揃えて言いますが、都会だと普通もっと手順がややこしいじゃないですか。細かいストーリーとかあんまりよく覚えてないんですが、二人が最後に調子っぱずれで歌うのが桜田淳子の「青い鳥」というのも衝撃的でした。だって当時ですら既に懐メロでしたし、若い子が人前で歌ったりする歌じゃなかったですから。都会こそ素晴らしい所だ、都会じゃなきゃ駄目なんだという当時の圧倒的な価値観の中に、地方に根を張って生きて行くことのしたたかさ、たくましさを正面からはっきり言ってのけた、そういう「出て行かない選択」をした若者たちの強さに、これは勝てないと悟った一瞬でした。 【anemone】さん 8点(2004-01-20 23:04:24) (良:3票) |
2.日本の田舎の青春ドラマとして秀逸。結婚式と、対照的に描かれる友人の落ち込むシーンの対比が見事。「ちょっと違えば、おまえが俺になってたかもな」みたいなセリフもよかった。最後のアカペラで歌うシーンもよし。これが気に入ったらロマンポルノの「キャバレー日記」も見て下さい。この映画のエキスが半分くらいの時間に濃縮された傑作です。 【MASH】さん 8点(2004-01-03 08:49:30) |
1.立松和平原作、根岸吉太郎監督で、この年の邦画ベスト1にもなったはずの作品。今思い出すと、ちょっと「ギルバート・グレイプ」の味わいにも似てる、と言ったらほめすぎか。でも生き方に悩む若者の、ありふれた日常と、ふってわいたようなドラマチックなある日、でも人生は続いていく・・何か似ている気がしないでもない。主演の永嶋敏行、石田えりは、デビュー当時だったと思います。永嶋のデビュー作は「サード」だったかな、あっちもよかったけど。2人ともそれまでにいなかったタイプの骨太な俳優で、新鮮さがありました。ほかのキャスティングも、今は見かけなくなってしまった横山エリという色っぽい女優さんとか、元キャロルのジョニー大倉とか、なかなかいい配役だったです。それまでの日本の小説や邦画のインテリくささを否定したような、勢いや熱気、こういうものがとても斬新で興奮したことを覚えています。今見たらそりゃ確実に古いでしょうけど(当たり前?)、こういうタイプの邦画はなかなかないなあ、ということになるんじゃないかと思うんですけど・・。「青春の殺人者」などと同様、埋もれさせたくない邦画の1つです。 【おばちゃん】さん 8点(2003-12-03 20:55:20) |