15.何が一番驚いたかって、それぞれの歌が、場面や心情の表現にきちんとなっていること(曲調や歌詞も含めて)。そして、役者陣が、きちんと「歌いながら演技をしている」こと。つまり、ミュージカル映画としてはすでに完成しているのだ。それにしても、戦前からこれほどの作品を作っておいて、どうしてその後の日本にはミュージカル映画が存在しないのだろう? 【Olias】さん [映画館(邦画)] 8点(2021-01-30 21:59:49) (良:1票) |
14.昭和14年に作られた約一時間程度の時代劇オペレッタです。ストーリーは簡単な恋愛もので、最初から最後まで、チャンバラシーン以外は全編がほぼ歌です。 軽くて緩い楽しい映画でした。ディック・ミネの陽性のキャラクターが作品の雰囲気とよく合ってます。和楽器でジャズっぽい演奏をするなど遊び心があり、発想が自由で、開放的な印象を受けました。 歌も古臭くありません。どう表現すればいいのか分かりませんが、当時の流行歌よりも、明るさとテンポの良さをワンランクアップさせた感じというか。心地よく耳に入ってきました。 日本にもこんな映画があったんですね。完成度がかなり高いと思いました。背伸びして海外ミュージカルを真似ている感じでは無くて、そこも良かったと思います。 【wayfarer】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-06-14 02:41:13) |
13.とかく浮世はままならぬ、日傘さす人、作る人。って、なんのこっちゃですけれども、片や日傘をさしたおとみさん、片や日傘を作るお春さん、千恵蔵演じる浪人を巡って、確かに何かとままならぬ訳です。しかし、作った傘を干しているとそこに通り雨、傘が濡れては大変と、これをキッカケに男女がうまく引き寄せられたりもする。はたまた、お春さんが父親の骨董道楽を嘆いている場面、千恵蔵が「そのうち掘り出しモノでもするかもよ」と言うのに対してお春さんは「そういう夢みたいなこと大っ嫌い」と言い放つんですけど、これがラストの伏線になってる。なってるけど、でもこのラストは、衝撃的です(笑)。いやホント、みんな笑ってていいのか~と思うんですけど、いいいんでしょう、きっと。もはや一種の躁状態。時代劇ミュージカルなんていうハチャメチャな作品ですから、オチもハチャメチャでいいんです。で、音楽はというと、一曲一曲は他愛ないものですが、会話の中に歌がピタッとはまってくるのが気持ちよく、とにかく楽しさ満点です。中でも、ディック・ミネのあまりに気持ちよさそうな歌いっぷりが、何やら悟りに近いものすら感じられて(笑)。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-29 22:47:17) |
12.《ネタバレ》 いきなり歌いまくりで本当にオペラのようになるのかと思いましたが、適宜セリフも入っています。この作品が楽しい最大の理由はオペレッタ形式だからではなく、純粋にお話が面白いからでしょう。モテモテ浪人礼三郎をめぐる恋のさや当てに、骨董マニアの困った親父と娘の情愛。それにご無体な殿様がからんで、ある種パターンながら愉快な物語を紡いでいます。それも各人物のキャラクターがしっかりしているからでしょう。中盤礼三郎がかっさらわれて姿を消すのも、なかなか効果的。志村・香川・お春・藤尾・お富と、演じる役者さんの名前から役名を拝借しているのも、とぼけた感じてけっこうです。歌は市川春代さんがちょっと苦しいですが、それ以外はかなり聞きものでした。文句なしの逸品。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-07 20:16:12) |
11.《ネタバレ》 撮影期間たった10日という、世にも珍しいマキノ正博監督の時代劇ミュージカル映画。昭和14年にこんなにも楽しい娯楽映画が存在していたことに驚きました。片岡千恵蔵や志村喬の歌声が聴けただけでも観た甲斐がありました。傘屋をストーリーに絡めたのがよかった。色々な模様の傘が綺麗で映像に栄えるんですよ。特にラストの傘が一斉に花開くシーンは圧巻。この作品、シェルブールの雨傘より25年も前の公開なんですよね。すごいなー。それとお春さん!可愛いー!何ですか、あの男心を擽る仕草、言葉。完全にノックアウトされました。あの黒澤明監督でさえ「一番美しく」のような表現方法をせざるを得なかった戦時中に、よくこの映画が公開できましたよね。日本の映画界は、この映画を後世にしっかり伝えていかないといけないですね。 【スノーモンキー】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 19:46:10) (良:1票) |
10.これはもうアイデアの勝利ですね。歌や演技が上手・下手なんてどうでも良くなるようなパワーがありました。意外とストーリーも良かったです。 【川本知佳】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-06-08 07:35:17) |
9.花のように明るくて楽しくてかわいい。志ん朝の落語のような話だ。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-02-16 10:13:56) (良:1票) |
|
8.邦画発のミュージカル映画。しかも時代劇オペレッタ。 もちろん海外同ジャンル作品のハイセンスさとは比べようもないけど、"粋な" ミュージカル映画なんて、生まれて初めて観た。 曲数は異様に多く、片岡千恵蔵や市川春代はもちろん、志村喬までがんばって歌ってます。 愉快、痛快、何も言うことはなし。理屈抜きに楽しむ娯楽映画。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-10-08 12:04:08) |
7.《ネタバレ》 まず志村喬の歌の上手さに唖然・呆然。この後テイチクレコードから本気でレコードデビューのお誘いがあったというのも納得です。わずか10日でこんな凄い映画を撮りあげちゃうマキノ正博の職人技と言うか神業には恐れ入りました。でも、志村喬がセットの退場方向を間違えて「そっちじゃないよ」と片岡千恵蔵に声をかけられるショットをそのまま使っているところもあり、まあそこはご愛敬ということで。 本作が撮られたときは志村喬はなんとまだ34歳!、千恵蔵の方が年上だったとはまったく驚くばかりです。だってどう見たって『七人の侍』や『ゴジラ』とおんなじ顔なんだから、恐るべき人です。 全編に漂う能天気なバカバカしさはもう最高で、市川春代の可愛らしさにはちょっと参りました。出来ればもうちょっと状態の良い画像で愉しみたかったところです。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-09-21 20:20:01) |
6.ミュージカル映画観てると、ときに思わぬ人が歌ってるのに出会うことがある。最近では『ヘアスプレー』でのクリストファー・ウォーケンか。かつて『ロシュフォールの恋人たち』では、ミシェル・ピコリが歌ってるのを目撃した。でもやっぱり一番驚いたのは、これの志村喬、片岡千恵蔵の連発だなあ。しかも時代が時代だし。なんかここらへんの映画の軽薄な陽気さって、好き。こういう「軽薄の力」が、中国大陸で無茶やってんのと同時進行で生きていたんだ。日本が、この片岡千恵蔵まで歌わせる軽薄さの側にしがみついて、眼を吊り上げるような馬鹿真面目を排除し、心を入れ替え地道に軽薄し続けていたら、日本現代史はあんな陰惨なものにならなかったんじゃないか。別に「時代の不安」の裏返しのヒステリックな笑いじゃないの。ただただ健康な陽気さが満ちている。伴奏が入ってくるあたりのムズムズ感がたまらない。こういう映画が作られていたことをアメリカが知ったらどう思うだろう、とふと考えたものだが、その後、日系人収容所描いた『愛と哀しみの旅路』というすごい邦題のハリウッド映画の中で、デニス・クエイドがこれ観てディック・ミネを真似て歌い踊るシーンを目にした。アメリカに勝ったと思った。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-05-03 12:16:48) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 この戦前の日本が作り上げたオペレッタ!音楽にのって矢継ぎ早に繰り出される数々の楽曲、うた、台詞に正直圧倒されます。楽曲のクオリティや、うたの巧い下手なんてこの際関係ないっす。この猛烈な迫力に圧倒され、ただただ楽しい気分で満たされますねー!常に画面の後方で家来や誰かしらが大勢でリズム取ってる、この不自然な感も本当に楽しい。そしてエンディング、“娘あっぱれ~”から歌い継がれて(タンタンタタンの太鼓がカッコイイ!)カメラが空へ移行し歌が終わる、そっから空にパッと傘が開いて“うかれて しゃなりと~”のコーラスが始まった瞬間は全身の鳥肌が立ちました。それにしても、やっぱりお春さんは最高ですよね。 【よし坊】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-08-23 10:27:28) (良:1票) |
4.ああこの幸せな感覚。こんな映画が戦時中に作られていたなんて。 ものみな歌で終わる。千恵蔵も歌う。志村喬も歌う。志村喬の歌なんて、『生きる』のあの暗い歌しか知らない自分には何とも新鮮だったよ。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-11 22:41:29) (良:2票) |
3.念願叶いようやくスクリーン大画面で観る事が出来ました、世評高い「鴛鴦歌合戦」!この作品の愉しさは既に皆さんに言い尽くされているようなので、さらに自分ごときが言葉を重ねる必要もないんですが、「時代劇オペレッタ」という生まれて初めて観るジャンルの映画で楽しかったです。70年近く前のモノクロ映画にもかかわらず、昨日の東京京橋フィルムセンターは上映前老若男女長蛇の列、ほぼ満席の会場で昔の日本映画が大好きな方たちに囲まれ、これ以上ないと思われる環境で映画を観る事が出来たのは幸せでした。当時の暗い世相を考えたら、突然変異的に生まれた娯楽作品には違いないと思います。でも閉塞的な時代だったからこそ、意図したしないにかかわらず、この映画の作者たちの裏の思惑が自分にはなんとなく伝わってきましたね。国家権力への自己犠牲が当たり前と思われていた時期にもかかわらず、ヒロインお春さん(市川春代)の一見ノーテンキ、実は複雑なこのキャラクター設定はどうでしょう?骨董掘り出し物収集家の父(志村喬)の為、五十両のカタに陽気なバカ殿(ディック・ミネ←いちおう権力)の側女に無理やり召されかけるシーンが後半にあります。私はここでてっきり「おとっつぁんのためならしょうがない、私が殿様のお妾に上がるしかないわね・・・」と決意し、父親とのメソメソした愁嘆場が始まるかと思ってました。ところが彼女は終始甘ったれた声で「いやよ、いやよ、絶対や~よ!」とあくまで「拒絶」という自己主張を貫き、最終的な獲物である若きヒーロー千恵蔵氏の腕の中に飛び込んでいくのである。権力に対する個人意思の見事な勝利ではないか!(←そこまで考えてないっつーのw)いやはや私は参りました、この愛嬌たっぷりのお春さんには諸手を上げて降参です。伊達に「チェ♪」と音に出して発音するだけの事はある。ちびまるこちゃんもびっくり。怒涛のごとく大円団へと流れ込む音楽の処理もお見事!二回目を観たらもっと点数上がるかもしれません。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-01-26 13:15:03) (良:4票) |
2.《ネタバレ》 「んもぅ~」、「お父さんのばかッ!」、「アナタなんて嫌いよ」・・・などのような、お春さんの愛嬌たっぷりに喋るところも可愛らしいですが、片思いの彼が他に婿養子として行ってしまうと言われた時、涙を流し袖のふちで涙を拭う仕草がとても可愛くて、普段洋画しか観ない自分としてはあの仕草にコロッとイってしまいました(^_^) 外国じゃ絶対あんなふうに泣かないですもんね。 歌を唄っているシーンも、コミカルで楽しいシーンばかり。序盤の、傘が画面いっぱいに広げられているシーンでの歌(傘を作る者あれば使う者あり…って歌)と、大名が自分の家来のことを“ガラクタばかり”と言っているシーンの歌が特に好きです。 そして、ラストの大乱闘。コメディということもあってか、やや“作った感じ”のする戦いぶりでしたが、なかなか迫力があり見ごたえ十分のシーンでしたので、こちらもしっかり楽しめました。 一点だけケチを付けさせて頂くとすると、オフレコであるところがハッキリとわかってしまう部分がちょっと多かったため、少し減点させていただきます。俯瞰で撮ったところに歌を入れるとちょっとキビシイか・・・。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-04 14:23:27) (良:3票) |
1.《ネタバレ》 千恵蔵ちょっとモテモテ過ぎ!お春ちゃん干した傘いくら何でも多過ぎ!志村喬は歌ヘタッピ過ぎ!ディック・ミネの峰沢丹波守はケイリー・ヒロユキ・タガワに似過ぎ!三吉はポール牧に似過ぎ!!1939年作品なのに戦時色が全く無くて楽し過ぎ!職人マキノ正博のエンターテイナーっぷりに乾杯~!! 【へちょちょ】さん 8点(2004-06-16 00:04:02) (良:1票) |