6.《ネタバレ》 この作品は舞台のほうが絶対いい。
キャラとストーリーが舞台向きなので、映画ではところどころに違和感が。
例えば、役所広司のキレキャラは舞台でちょうどいいくらいだが映像ではオーバーに映る。
ただ、そうしたことを差し引いても十分におもしろい。
検閲が本直しになっていき、まるで二人の共同創作のように。
そこで無事検閲が通るのかと思えば、権力に対する戦いという言葉に刺激された検閲官に「笑いのない喜劇」という無理難題をふっかけられるハメに。
どうなるのかと思わせて、ラストの思わぬ展開。
検閲官が自分の立場を捨てて「生きて帰って来い!」との叫びに感動させられる。
もともと舞台台本だが、映画、ラジオ、落語にまでリメイクされ、何度もリバイバルされただけのことはある。
座付き作家の姿は、高校の教科書に載っていた坂口安吾のラムネ氏とイメージがかぶった。
この戯作者の矜持は三谷幸喜の投影でもあるのだろう。
三谷作品は良い意味でも悪い意味でも予定調和の軽さのようなものを感じるが、これは時代の重みも感じられるのがいい。