4.《ネタバレ》 喜怒哀楽の激しいデボラのキャラが楽しい。
ティア・レオーニのような美女がこんなエキセントリックでコミカルな役をやるとギャップにやられる。
『天使のくれた時間』では理想的な妻だったけど、今回はその真逆。
全然悪気はないのだが独善的で無神経なところもあるので周りが振り回される。
家政婦として雇われた英語のできないフロールもやたら自尊心が強くて媚びることはなく、子供のことが関わると言いたいことをズケズケ言うものだから、間に挟まった夫のジョンがたまったものではない。
それでも悪人は一人もいなくて心根はみんな温かいので、ハートウォーミングなドラマで癒される。
貧しいヒスパニック系と富裕層のアメリカ人のギャップを浮き彫りにした社会派の側面も。
ただのコメディではなく、貧富の差や人種の違いからくる誤解や葛藤を巧みに描いた佳作。
シリアスなものをしっかり描いているからこそ、おかしみも活きてくる。
デボラはどうしようもないバカ女だけど憎みきれない。
娘のクリスティーナにエリート学校辞めさせるフロールは、親としての教育方針とはいえちょっとやりすぎ。
それでも娘が素直でいい子だから、反発しながらもちゃんと母の愛を受け入れる。
ただ、あの状況では子供なら友達のできた学校に執着してもう少しゴネるのが普通で、すぐに母に寄り添ったのは聞きわけがよすぎてリアリティに欠ける。
冒頭とラストにあるクリスティーナの大学入試の小論文は、その真っ直ぐな成長ぶりがうかがえて良い演出だった。