21.《ネタバレ》 まず、でんでんが凄いです。この年代のオッサンのあぶらぎったバイタリティ、明快な価値観、そのごり押し、それゆえのブレのなさ、迷いのない裏表の使い分け、あたりを見事に演じています。人物造形に妥協がないので、非常にリアルに感じられ怖いです。吹越満は、でんでんとは対照的に地味な役柄なので、どうしても印象が薄くなりがちですね。でも、そつなくこなしています。上記2人の男の妻2人が、また対照的で、でんでんの妻、黒沢あすかが、派手に武装した色気(初登場シーンではハッとしました)なのに対して、吹越満の妻、神楽坂恵は、平凡な生活にふてくされたような、化粧っけのない、くすんだ顔つきです。だがそれがイイ。そのギャップがイイんです。たまに表情が輝くのもイイ。ということで、いつのまにか、坂恵(さかえ)さんがお気に入りに。終盤に向かうところで、でんでんと吹越の殴り合いがあるのですが、吹越以上にヘタレな我々にはガツンと重く響く一撃でしたね。結果的には効果てきめんで、更に泥沼に向かって展開していきます。本作品は埼玉愛犬家連続殺人事件をモチーフに、その他現実社会のいろいろと濃い部分を抽出して、エンターテインメントとして再構築しているようですが、作品内に落とし込んだそれぞれの要素が、しっくりと絡み始めて、蠢き始め、新たなカオスを生み出しているんですよね。作品としてのナマモノ感、生臭さを強く感じました。 【camuson】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-05-08 19:20:04) |
20.大阪に住んでる方は知ってる人もいるかと思いますが、阪神高速乗っていると「でんでん」という会社の大きな看板を目にします。昔はそれを見ると「でんでんだってクスッ」と笑っていたのだが、この映画鑑賞後は、眼にするたびに背中に嫌な気が走る。役者のイメージをこれほど変えてしまった映画はなかなかないのでは。スプラッターシーンについては、あくまでも個人の話ですが、ゾンビが頭吹き飛ばされようが、内臓ぐちゃぐちゃでてこようが普通に見ることができるが、人間だとつらい。また、人間でも海外の人より日本人の方が、エグく感じる。この映画のスブラッターは、レベルMAXであるはずなのに、じっくり鑑賞できたのは、この映画、役者が持つパワーによるものか? 【代書屋】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-01-09 23:56:55) |
19.《ネタバレ》 交際相手が代わるたびに、これオススメだよといって…もう計4回ぐらいは見てます。 最初はグロい映画なんだなと、単純な好奇心、怖いもの見たさで手に取ったのです。 年を経て改めて見ると、刺さるセリフが結構あるんですよね。 キャストは全員狂ってます(笑)ものすごい熱量です。 娘役の人とか、再婚の奥さん役(園さんの奥さん?)の人はちょっとヘタですが…。 「俺は全部自分で解決してきたんだよ!お前はどうなんだ?俺を殴れ!ほら!俺の女を抱いてみろ!」 ヘタレの父親・吹越満さんに対して、まくし立てるでんでんさんの演技。 でんでんさんは、連続殺人の主犯役です。 助演男優賞ですが、間違いなくこの映画の主役でしょう(笑) 触発されるように、スイッチが入ってアドレナリン大爆発の吹越さん。 でんでんさんをぶっ殺します。 グレた年頃の娘、不倫をした嫁を引っ叩き、更には娘のヤンキー彼氏まではっ倒します。 それまでほんとにずっとビクビクしてる、ただの冴えないオッサンだっただけに、謎のカタルシスがあります。 再婚嫁を抱きながら、「結婚生活は失敗だったと言え!!!」、こんな無茶苦茶な映画見たことないです(笑) でも、何か退屈せず目が離せないんです。 最後。 「生きるってな、痛いんだよ!」と言い遺して頸動脈を切って娘の目前で自死する吹越さん。 娘は一見、悲しそうな表情で遺体に駆け寄りますが、「やっと死んだかクソ親父!」とせせら笑います。 そしてプラネタリウムで流れる地球のカット。 でんでん氏は、星が好きな吹越さんを嘲笑ってこう言ってました。 「お前地球が青くて丸いと思ってんのか!?俺が思う地球はなあ、ゴツゴツしたただの岩だよ!!」 【アーウーマンデ】さん [DVD(邦画)] 8点(2021-02-11 23:18:55) |
18.《ネタバレ》 園子温ワールド全開!!! 不気味な熱帯魚屋に宗教色の強い遺体解体小屋、血で真っ赤に染まった浴室といった圧倒的ビジュアルにより作りだされた不穏で邪悪な唯一無二の世界観! この作品は気弱で家庭内に不和を抱える主人公(吹越満)の暴力への目覚めを描いている。かなり、エロ・グロ要素も多くショッキングな映像も多い本作。しかし、ただのバイオレンス映画で終わらず、心に響くのが”冷たい熱帯魚”なんです。 主人公が最後に放つ台詞。「人生っていうのはなぁ、痛いんだよ!!」でんでん演じる村田は自分の足で生きていくことは痛いし、辛いことなんだと主人公に分からせた。本作のグロシーンは生きていくことへの精神的な痛みや現実を受け入れることの辛さを”血肉”という映像的モチーフを用いて、暗に表現していると思いました。理想の生活、思い描いた生活をするには痛みを伴うのだと。 【whoopi】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-03-18 17:07:38) |
17.《ネタバレ》 開き直った時(=自分に嘘を付いていない状態)の人間のパワーは、凄い。人は普段、法律や倫理といったものに規制されて、抑制されながら生きてる。それが普通。でもその殻を破って生きてしまったら、そして生き延びていたら、それは生物として凄いパワーの持ち主だ。 【VNTS】さん [インターネット(字幕)] 8点(2014-05-23 23:48:25) |
16.《ネタバレ》 最近の邦画はつまらん!と邦画を舐めきっていた僕に致死レベルの活を入れてくれた映画です。でんでんがここまですごい演技ができる俳優だとは知らなかったし、黒沢あすかの肩幅があんなに広いなんてことも知らなかった。園子温のフィルモグラフィーの中でも最も娯楽性と園子温性のバランスが良い映画だと思います。園子温入門映画としてまずこれを見てから、他の映画を見るといいんじゃないだろうか。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-08-05 23:47:09) |
15.《ネタバレ》 でんでんすごい。まさしく怪演。すごい迫力でした。日本アカデミーの授賞式では、助演男優賞の受賞を心から応援。受賞おめでとうございます。映画としては、ぐいぐい引き込まれ、衝撃的な内容に記憶に残る映画となりました。ただ、後半あまりにドロドロしくマイナス。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-05-03 20:04:51) |
14.《ネタバレ》 でんでんさんが持つ雰囲気がとっても活かされた映画ですね。でんでんさんじゃなかったら、ここまで引き込まれたのかどうか…違う人の演技でも見て比較してみたくなる気がしました。裏側にうっすらとアダルトチルドレンやDVのことを意識しますが、サイコキラーの話しとなるとこういうのはよくある背景。社本がバカ娘をひっぱたくシーンはスカッとしましたが、ラスト嫁さんを刺してからドッと冷めてついていけなくなりました。警察が店の駐車場にまでやってきて社本と接触した時から、なんだかこの作品の出来に不安を感じ始めていましたが、ラストで一気に期待を崩された感じです。刃物持って血まみれの男を放置して中に消える警察…なにそれ…娘の最後の態度、泣いたり悲しんだりじゃないのはいいですが、あまりにもバカ過ぎで醜く見えるだけ。社本の最後のセリフもあって、なんだか映画版『バトルロワイヤル』のチープな大人の説教と苦悩の言い訳がダブり、最後の最後でぶち壊してしまった気がします。あのラストをグッと引き立てるには、社本の情けなさのために娘がどれだけ辛い思いをしてきたかを、彼女自身の姿を通して描いておく必要があったと思います…村田のセリフじゃなくて。村田がどんな辛い幼少期を送ったかは短いシーンのいくつかでうまく表現できているので、娘の辛い立場もきっとうまく挿入できたはず。そしたら、社本の豹変にもスッキリ、娘のラストの態度にもスッキリして、なおかつスゴイ余韻を残すことになった気がするんです。とっても引き込む力を持ったスゴイ作品だと思いましたが、この締めくくりのために、僕にとっては長く印象に残す作品にはならなくなりました。娘がすごくバカで軽いまま、おまけに警察もとても間抜け過ぎて終わるので、その姿で締めくくって見せた作品自体の価値まで急に軽くなった感じです。 点数はラストを無視しての出来の凄さに。 【だみお】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-04-28 10:09:40) |
13.《ネタバレ》 ど迫力映画。ど迫力すぎて「生きるってのは痛いんだよ」って台詞が薄っぺらく聞こえる。 【わんたん】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-01-06 02:12:33) |
12.《ネタバレ》 映画の力、生命の力を感じる150分。終始超ハイテンション、一ミリもキャラがブレないというでんでんの素晴らしさ。それ以上にイカレてる黒沢あすか。小市民振りを完璧にこなした吹越満! 終盤、とにかくやったれーと奥さんレイプ→小屋での血しぶき合戦となるわけだが、これは流石に悪乗りしすぎ。なんでも死にゃいいってもんじゃない。個人的には、ぎゃーぎゃーわめく娘と妻をボコボコにして車で出発、白目を向いてる2人の横で主人公がプラネタリウムを見てる、こんな感じで終わって欲しかった。しかし、結末すらどうでもよくなる様な一世一代のハイテンション映画であることは確実です。鑑賞後、毒が周るようにじわじわと色々な場面が蘇ってきます。 【j-hitch】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-07-26 02:17:35) |
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【たこちゅう】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-05-04 21:05:08) |
10.《ネタバレ》 これはハマります。 でんでんを他の映画で見ても、嘘つけ~って思ってしまうほど強烈なキャラ。 ただ、どこか憎めないのは湿気があまり感じられないところ。 この夫婦は凶悪で極悪なんだか、なんかさらっとしてる。 「お前が全部一人でやんなきゃいけないんだぞ」には大いに笑った! この映画は生涯何回見るんだろう、という中毒性のある映画だった。 【kosuke】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-05-01 23:33:23) |
9.《ネタバレ》 でんでんさん、日本アカデミー最優秀助演男優賞受賞おめでとうございます! ってことでこの映画、怖いもの見たさでのぞきに行ったら、ノレンの向こうでニヤニヤ笑ったでんでんさんが牛刀振りかぶってました。。。 あぁ、いやなモン観ちゃったなぁ。。。画力あるんだけど、それも小動物のように脚がすくんで頭が真っ白のわたしにとっては、これが映画として良いんだか悪いんだか、皆目見当がつきません。とにもかくにも恐怖におののいて共犯者に仕立て上げられたわたしは8点献上致します(満点献上はあまりにも悔しいじゃありませんか)。 『ボディを透明にしちゃおう!!』は実際の事件でも使われたセリフのようですね。 マンガ原作の映画が多い中、やはりこの作品は破壊力満点! ちょっと血をいっぱい見過ぎちゃったんで、プラネタリウムいってきます。 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-04-01 21:02:01) |
8.《ネタバレ》 表現は非常にグロテスクですが、内容は非常に骨太で見応えのある作品です。特にでんでんが、軽妙な明るさの陰にどす黒い闇を抱える男を見事に演じています。コワモテの男よりもこういうオッサンの方が本当に怖いですからね。 そして、前代未聞の異常な事件をモチーフにしてはいますが、この作品で描かれているのは家族関係の問題、そしてでんでん演じる村田が決して突然変異で殺人鬼となったわけではなく、誰しもがそうなる可能性を持っているということですね。 現に、最初に人体の解体シーンを見たときの感じ方と、2回目、3回目のシーンを見たときの感じ方は全く違っているはずですから・・・・・。 しかし、元ネタの事件は酷い話ですね。背筋がゾッとしました。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-12-11 23:25:27) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 一度見始めたら、やめられない。自分もいつ、何をしでかすか分からないと、自戒しているワタシですが、村田にはなれないと断言できる。すべての自分のトラブルを自分で解決してきたと言える村田。「善人面」のワタシはグウの音もでない。ラスト間近の展開は、社本が村田のスパルタ教育に過剰適応してしまった結果。「善人面」って、そういうことをやらかしちゃうもんなんですよ。村田の誤算。「お父さん、ごめんなさい。もうしません」と繰り言をいう村田をその妻に、「ボディを透明にしろ」と命じた後、社本には、警察に行って欲しかった。壊れて自ら命を絶つよりも、正気を取り戻し、この忌まわしい体験に身を焼きながら、生きて過ごす残りの日々の方が、「善人面」の社本には、絶望的なはず。それでも、そうして欲しかった。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-10 10:18:04) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 確かに、熱帯魚は綺麗で美しい。だが、魚は魚を食い、弱肉強食の如く憐れみの欠片も見当たらない。なぜならそれが、自然の摂理だから。思えば人間とは、そういう本能的な部分を普段は理性の衣で覆い隠している希有な生き物である。劇中の登場人物、村田はそんな人間が大嫌いだという。言うまでもなく、村田という人物は相当ヤバいキャラで、主人公の社本は観客にははっきりモノを言わない優柔不断な男に映るだろうが、彼が言うならば今の日本人の等身大だとも言える。それ故に観客は社本に肩入れをし、終盤で村田やその妻愛子をめった刺しにするシーンは見ていて胸のすく様な思いすら覚える。不思議なもので、やってることは村田と同じなのだが、その行いのカタルシスや凄まじいものがある。思えばこの作品は、全編に渡って嫌悪感を感じるとんでもないエログロの爆弾みたいな代物なのだが、なぜだか笑えてきてしまう。それは実を言うと、殺戮の行為というよりも描き方に理由があって、人間の描かれ方が表面的でポップだからだ。リアルだけならただの嫌悪で笑いにならないが、ありえない反社会的行為であってもそれがブラックジョークになる。カタルシスを覚え、多いに笑ってしまう自分を省みたとき、その時初めて自分自身が表面上小綺麗に演じているだけの「冷たい熱帯魚」であることに気づくのだ。話長くなったが、とにかくでんでん氏の怪演は相当見ものだということは間違いない。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-08-22 23:51:41) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 この作品は、園子温監督が、底知れぬ人間の欲望と狂気を通して「人生と家族の在り方」を描きたく、46億年の地球に準えて壮大なドラマに仕上げたのではないか。 その熱き想いが劇中からひしひしと伝わってくる。まるで生中継しているような臨場感や迫力を感じるのは、出演者たちのアグレッシブな演技にみるリアリティー他にならない。中でも、村田演じるでんでんの存在感は抜群である。人の弱みを即座に見つける嗅覚に長け、その鋭い眼光と巧みな話術で弱者を支配する。そのたたみ掛けるような光景の連続に好きであろうと無かろうと自ずと物語に引き込まれてしまうからスゴイ。 本能の趣くままに実行する村田、一方で、なすがままの社本、この対称的な二人の出会いは偶然ではなく必然だったといえる。再婚して以来、空虚で仕方がなかった社本。そんな徒然な日々から脱出しようと妻の薦めもあり村田の手伝いをするハメに。言いなりでも懸命にもがき始めるのだが、娘には理解してもらえないもどかしさを抱えたまま•••。そんな折、どんどんエスカレートしてゆく村田の指示にいつしか社本の理性のリミッターはプッツンと解除されてしまう。そして怒涛の急展開をみせ、作品に込めた重大なメッセージ(まぁ説教くさいけど)を社本が体現(自決)するのだが、それは痛み伴ってきた母なる大地へと還元されてゆくんだよ、そしてやがて消えゆく運命なのだよ、と地球規模にまで昇華させようするんだから半端ないのだが、今更人生と向き合い始めた父親言われても説得力はないだろう。 人の闇の部分ってのは誰しものぞき見したくなるのが本能。それをこの映画はうまく利用してエンターテイメントとして確立させている。 問題作を撮り続ける園子温監督の「紀子の食卓」に並ぶ、いやそれ以上の屈指の集大成だと思う。観るべし! 【シネマブルク】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-08-18 22:31:10) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 台風の影響で計画していた九州旅行がキャンセルになり、やり場のないエネルギーをぶつけるには『キック・アス』で最も信頼できる監督の一人になったマシュー・ボーン最新作の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』よりも、欲と欲がぶつかり合い過剰なエネルギーが横溢する園作品こそ、旅行キャンセルのフラストレーションを受け止めてくれるのではとの主張が通り、妻と名画座に観に行ってきました。『愛のむきだし』と同じく「愛」と「家族」をテーマとしているものの、B級要素を放り込んだごった煮大ほら話であった前作に比べて物語のスケール感は後退しましたが、血糊とエログロは大幅に増量して吹きこぼれ寸前の作品を、でんでんという悪役でフタをしたのが本作です。村田夫妻のかもし出す過剰さ、悪役としての突き抜け方とケレン味は秀逸で、でんでんと黒沢あすかには万雷拍手を贈りたいです。バラバラ殺人を「ボデーを透明にする」と言い換え、輪ゴムにこだわるB級感覚とハッタリに賭ける過剰さこそ園作品の真骨頂であり、私が本作に望むものでした。のび太が眼鏡を外してスーパーサイヤ人化する終盤を過ぎてからのハチャメチャな展開も園作品のお約束で、作品のモチーフとしても、映画への取り組み方にせよ「やりたいことは、やれ」という一貫した姿をスクリーンで大写しにして示す様子に私は安心して鑑賞できました。一方妻はグロ要素に拒否反応を示し、作品選定と鑑賞料金について説明責任を追及されてしまいました。 【さめがい】さん [映画館(吹替)] 8点(2011-07-19 15:51:00) (笑:2票) |
3.《ネタバレ》 でんでんと黒沢あすか夫妻の壊れっぷりと、吹越満の小市民感(というか至極まっとうな人間感)、凄まじい殺戮の融合。なんだかもう、わけがわからんけど、とにかく園子温らしく、全体的に赤いイメージの、ショッキングながらもパワーがある映画だった。 個人的にはスプラッターやグロいのはあまり得意ではないけれど、シリアスではなくどこかポップでもある(たぶんこれが園作品の特徴なんだと思うが)から、二時間半の長い尺も楽しく観られた。吹越満による「生きるって痛い」という娘へのメッセージ、そして娘のリアクション。ひどいオチだが、だからこそこのメッセージも生きる。ところで、「アウトレイジ」もそうだったが、バイオレンス表現があまりにひどすぎると笑えるというのはどういうメカニズムなんだろう。ダチョウ倶楽部や出川哲郎のリアクション芸を見て笑うのと同じなのか。大量出血も肉片も見慣れてくる頃には観客の倫理観も完全に麻痺していて、現実的に考えれば法的にも心情的にも許されないようなシーンでも構わず爆笑が起こる。そんなサディスティックで不思議な空間にいたことも、体感として忘れられない。「この素晴らしき世界」はまさしく、映画館で体験するべき。 【よーちー】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-02-15 12:15:07) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 情け容赦なく、殴って蹴って殺って犯ってヤりまくってバラす! ヌメヌメグチャグチャドロドロズッコンバッコンゲロゲロ映画! こんなにブチ切れた映画がインディーじゃなく、メジャーな感じで公開されてヒットしてるなんて、なかなか気持ち良いね。公開劇場増えればいいのに。 ブチ切れてる映画って、結構観客置いてけぼりのオナニー映画になりがちだと思うんだけど、本作はしっかりエンターテイメントになっていて、面白いのが凄い。2時間半弱の長さは全く感じない。ハードバイオレンスに、コメディ風味が足されているので終始苦笑いで観られる。 濃厚なゲロの味がするような、すげえ汚いけど、すげえ面白い映画。 実話ベースとは言っても、ここまでやられるとファンタジーにしか見えない。 細かいツッコミなんてしゃらくせえ。 18歳未満お断り! 「冷たい熱帯魚って面白そうだけど、グロいの苦手なんですけど大丈夫ですかね?」 とかイチイチ聞くような人は観ないでヨロシ。 しかし、間違ってもお母さんと観に行ったりしちゃダメだぞ! 「いやー、良い見世物を観た!」というような清々しい気持ちで劇場を後にできました。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-02-13 12:16:21) (良:4票) |