2.《ネタバレ》 『タイタンの戦い』が眠たくなるような駄作だったので続編の本作には期待していなかったのですが、そんな予想とは裏腹にこれが意外なほど面白くてビックリしました。まず、前作と比較して脚本が大幅に引き締まっています。前作は主人公・ペルセウスの心理描写が不足していたり、さらには各キャラクターの思いや目的をまとめきれていなかったりと、アクションを盛り上げるための背景の描写に失敗していたのですが、それが本作では大幅に改善されています。キャラクターの人数は前作よりも増えているものの、それぞれの目的や行動原理がかなりわかりやすくまとめられているので、ドラマの通りが良いのです。大事な息子を守りたいという純粋な感情から敷衍して世界を守るために立ち上がるというペルセウスの背景は簡潔ながら力強いものだったし、冒頭で世界滅亡のイメージをドンと提示し、危機感を煽ったところで本編に入るという構成も気が利いていました。さらには、親殺し・兄弟殺しというギリシャ神話ならではのドロドロもきちんと物語に活かされており、本作の脚本は非常に充実しています。。。
また、前作のルイ・レテリエから監督を引き継いだジョナサン・リーベスマンによる演出も絶好調。個人的に贔屓にしている監督さんなのですが、やはりこの人は巧いということを実感しました。ライブアクションとVFXを組み合わせた見せ場の迫力やスピード感は前作を軽く上回るレベルだし、神・半神・人間の戦力差の描き分けも出来ています。さらには、アクションのみならず決戦前の煽りなども非常に巧いものだし、男らしさとユーモアのバランス感覚もお見事。ラストでは、リーアム・ニーソンとレイフ・ファインズという『シンドラーのリスト』の名優二人が仲良くカメハメ波を放つというなんとも間抜けな見せ場が待っているものの、このシーンをお笑いにしなかったという点でもリーベスマンの手腕は評価できます。この企画について要求される仕事は、ほぼ完璧にこなしていると言えます。