8.一見、地味な映画ですが中身はすごい人間ドラマでした。「人種差別」といういまだに解決出来ていない問題を真っ向から立ち向かった人々の軌跡を描いている。この時代「差別は間違っている」と堂々と言う事にどれだけに勇気が必要だったか。ましてや国会で取り上げるなど、本当に命がけの行為です。
観賞するにあたっては、ある程度の予備知識は必要とされる大人の映画。
まず、米国で一番傷になっている戦争は第二次世界大戦ではなく南北戦争なのです。生活している場が戦場になったのですから。
どれだけ奴隷が冷遇されていたか知るには「ルーツ」というドラマがお勧めです。
大統領という巨大な権力を持ったとして元は一人の人間。リンカーンの孤独と苦悩がひしひしと伝わってくるようでした。
しかし、なんといってもトミー・リー・ジョーンズの存在感がすごい。
「私はこの修正案を通すためならどんなにののしられようと構わん」
卑怯者と言われようがいくらでも泥をかぶってやる。これが本当の信念と覚悟ってやつですね。
自らのプライドを優先する人はただの見栄っぱりのお子ちゃまです。
派手な戦闘シーンやアクションなどをウリにしたチープな映画があふれかえる昨今、こういった良質の映画がもっと作られて欲しいな~と思います。