1.《ネタバレ》 心地良く気持ちのいい混沌、といった風情で。「クレヨンしんちゃん」で独特な作画世界を見せる「湯浅監督」が「大島ミチル」の音楽と共に描く、「京都」を舞台に「酒」と「本」と「歌劇」をめぐる一夜にして一年の「不思議の国のアリス」みたいな物語(私の「好き」がいっぱいだ)は支離滅裂。でも、エピソードはバラバラで不条理ながらも全く物語的な流れが無い訳ではなくて、終わってみればキャラ同士、人同士の繋がりが織り成し組み上げた世界が見えてくるという。
黒髪の乙女が巡るワンダーランドは魅力たっぷり。京都は辛うじて京都な感じだけど(鴨川はちゃんと鴨川だけど出町柳駅など名前出てなきゃ判らん)、ポップな和が支配していて、単純化された絵がモダンアートとなって。
『MIND GAME』に通じる湯浅ワールドはデフォルメと歪んだパースの付きまくった絵の気持ち良いアニメートの世界。こんな題材、湯浅ワールドだからこそ成立するような感じで、ヘタな人がやったら目も当てられない大惨事を生み出しそうな気がします。
歌劇のシーンでは、元からあるメロディに無理矢理訳詞をハメ込んだような翻訳モノ歌劇みたいな歌い方が楽しく、多くの声をアテている人々の歌が聴いていて息苦しいけれど(音域が合ってない人多数)、だからこそ黒髪の乙女と紀子さんの歌声が大変に耳に心地良く響きます。つか紀子さんの歌で泣けたし。あと学園祭事務局長の乙女っぷりもそれはそれでステキだしね。
整合性とか論理性とか、そういうアタマをさっさと捨てて身を委ねるのが吉、って感じの映画でした。
ちなみに映画終わって家に帰って早速電氣ブラン(偽でなく)と赤玉飲みました。酔っ払いの家には標準装備。あと、再来週、宝塚大劇場まで雪組の公演を見に行きますが(ちぎちゃんの退団公演だし)、ついでに京都に一泊して夜の京都を観光してきます。