3.《ネタバレ》 前兆のある村で起こった伝染病はエイズとは全く関係はないものの、
それからの演出にメッセージとして問いかけてくる重要な映像。
テレビ映画でドキュメンタリーのような作りでありながら、
人物描写もよくできておりこの種のシリアス作品としては珍しく、
何回も観られる映画であると思った。
中半に出てきたあるシーンはその冒頭での伝染病で死体を焼かれるシーンとだぶる。
軍病院でのエイズ患者の言葉「焼けばいいのか」その病室の窓から広がる、
広大な墓地はぞっとするようでなんともいえない哀しい場面である。
まだエイズという用語も発表されずそれが何か何が原因かもわからない、
1981年代から年を追い最初は10人ほどの感染者、
そして100人単位10000人単位と膨らんでゆく現実。
主人公の博士マシュー・モディーンに与えられたのは政府からのお金も下りない、
顕微鏡も買えない狭い研究室と医療チーム・・
シリアスになりがちな本題を冷静にそして誠実にまとめてゆく演出。
こういう映画がたとえ未公開作品としてももっと評価されてもいいのではないか。
出番が少ないながらも存在感が光っていたリチャード・ギア・・
医療歴史ドラマなのだがノンフィクションであり、
ラストには実際に他界した著名なミュージシャンなどが映像で出演し、
ようやくこの不可解な病気が認知されるまでの間がなんだったのかと空しくなる。
同性愛が原因と予想されそれが血液からの感染からという途方もない原因に及ぶまで、
政府は病名の発表も認めない・・
ウィルスを発見し確信をもったチームは、
その情報を横取りされ別の博士の名誉となる。
選挙のための感染者救済、政府の血液銀行・・
色々な損得勘定が解明に投資をしない。
表面だけの知識もわかりやすく観られるうえに、
裏の人間ドラマや国の対応までよくわかる。
ただただ、真面目に誠実に作られた意義のある作品ではないのか。
DVD化をしなければならないのはこういう作品ではないのか。
やはりこういった淡々とした中にもメッセージの強い映画の中では、
マシュー・モディーンは存在感がある。