2.《ネタバレ》 フェリーニ初の成功作であり、あのキューブリックが“マイ・ベスト・フェバリット”に選んだことでも有名。フェリーニの作風もまだネオレアリズモの影響が色濃く、後の強烈なフェリーニ的世界観からすると淡白なストーリーでもある。北イタリアの海岸沿いに位置する田舎町で気ままな生活を送っている五人の若者たちのエピソードを繋いでゆく構成は、後の『アマルコルド』で再構築されます。五人のリーダー(なのかな?)格のファウストは仲間のモラルドの妹を孕ませて出来ちゃった結婚、演じたフランコ・ファブリーツィは髭を蓄えたところなんかは若き日の宝田明になんか似ている。五人の中で唯一インテリで劇作家志望のレオポルドは、『ニュー・シネマ・パラダイス』で神父を演じたレオポルド・トリエステの若き日の姿。そう言えば劇中でアルベルト・ソルディが労働者を侮辱するシーンも、『ニュー・シネマ・パラダイス』での上映映画として使われていましたね。まだ“フェリーニがフェリーニになる前”の作品とは言っても、カーニバルのシーンにはその片鱗が伺えます。けっきょくモラトリアム生活にどっぷり浸かっていた五人の中でもモラルドだけが故郷から訣別するのがラストですけど、自伝的要素があるというこの脚本の中でフェリーニは自身の姿をモラルドに投影していたのかな? 観終わってみれば、真底の悪人はこの映画の中には一人も出てこなかった感じがします。考えてみれば、これは後のフェリーニ作品群にも共通する傾向なのかもしれません。