15.《ネタバレ》 タイトルは知っていたけど、まさかこんな内容だったとは・・・
これが長編デビュー作とはね、ソフィア・コッポラは繊細で鋭い人だなと改めて思う。
生まれて物心がつくかつかないかの頃から父親は「ゴッドファーザー」の監督でおばさんはコニーでエイドリアンだ。
自身も洗礼式のシーンでコニーの子として出演してる。一般的とは程遠い少女時代だったのは想像がつきます。
「ロスト・イン・トランスレーション」では家族もいて割と裕福、でも言いようのない、説明しようのない寂しさ、虚無感を抱えた冷めた男女を描いていた。
私、かなりきちゃいましたこの映画に。オープニングが特に良かった。
いわゆる毒親に育てられた5人の少女たち。年子で5人、私には気が遠くなるような子育ての毎日だ。しかしこの母親は自分流のルールに従って5人を育てた。幼いうちはそれが可能でも思春期にでもなったら完全に不可能なんですけれど、この母親のような人は自分のルールから出ることを許さない、自分のペースを乱す事や変化を嫌うものだと。そして学校も休ませ家に閉じ込めるという暴挙に出た。でも彼女たちはそこから脱出する術を知らないのね、反抗できない人間になっていてそれはあの父親を見て育ったからかなと。その父親の人物像がとても細やかで秀逸だと思いました。
家族全員友人のいない一家、訪ねて来るのは教区の神父とTVリポーターだけで、近所の住民は遠巻きに眺め、興味本位の噂話に花を咲かせ、弔問に訪れることもない。
医者に助言され、とりあえずパーティなんですけど、なぜか地下室でぎこちなく全然楽しくないパーティだ、セシリアはこれで完全に絶望したのかもしれない。
語り手によれば、リズボン家にとって最初で最後のパーティらしい。娘が5人いるアメリカの家庭でバースデイパーティもしたことがないってだけで、どれだけ特異な家庭かがわかり、どこか冷めていて周りの人間に無関心な姉妹の様子も理解できる。
死を選んだことを否定する人はいると思うけど、毒親とは疎遠、絶縁する人も多いので子をなくすことには変わりはないと思います。
25年前の謎に満ちたブロンドの美しい姉妹たちの思い出が美化されているような語りで、姉妹と同年代の女の子には危険な作品となり得ると思います。これは今まさに幼い子を育てている親世代の人に向けた映画のように感じました。