1.《ネタバレ》 ずっと観たかった鈴木英夫監督作品。
昨日、念願叶ってようやく渋谷の映画館、シネマヴェーラにて鑑賞した。
鈴木英夫監督は、基本的に社会派ドラマに向いていると思っているのだが、本作のようなサスペンスはどうだろうか。
『黒い画集 第二話 寒流』でも感じたが、鈴木英夫監督とサスペンスとの相性はそれほど良いとは感じなかった。
緊迫感はあったが、どうも刑事の鈍感な対応に苛立ちを感じた。
サスペンスとしての緊迫感を盛り上げるためとはいえ、刑事の対応の鈍さに無理を感じた。
終盤のシーンで、宮口精二が洋裁店に押しかけるシーンがあるが、あの時、木村功が看板の電気をチカチカさせているのに、外の刑事達はその異変に気付かないというのは、少し無理があったかな。
それと、暗い中とはいえ、あれだけ至近距離で犯人が銃を撃ちまくったら、普通助からないだろうに・・・
まあ、気になったところを羅列しても仕方ないが、良かった点としては、モノクロ映像の醸し出す不気味な味わいと、ロケによって実現した当時の街並みを見る面白さがあったことだ。
当時の商店の立ち並ぶ街並みや、まだジャリ道のだらけの住宅街、そして新宿のワシントン靴店やタカノなどを見渡す風景など、相変わらず鈴木英夫監督は風景描写が素晴らしい。
でもやっぱり、鈴木英夫監督には、サスペンスよりも社会派劇の方がより似合うと思う。