191.《ネタバレ》 恋愛モノとしてみればちょっと理解できないその時代背景があります。
いわゆる上流社会の女性なのですが・・この設定は苦手だなぁ。
でもつがいの鳥を籠に入れて男性(弁護士)に届けに行かなければ話しははじまらない。
陸の孤島のような男性の家の家族には父はいません。
気難しい母と男性と都市の離れた妹、そして近所に昔の彼女・・
人物は限られており母親役のジェシカおばさんが怖くもいい味です。
私は最初この母が息子を溺愛するあまりに鳥を差し向けているんだと思いましたから。
かなり人間ドラマは優秀でして、特に女性が母親は離別で環境がどことなく似ている。
今ではよくあるパニックものには離婚(離別)がつきものというお手本で、
エンディングあたりにはちょっと感情移入してしまいました。
さてこの古き良き作品に目新しいところを探すのはあら探しになってしまいます。
爆発炎上シーンなどは違和感さえ感じるくらいこの時代にしては今風です。
私がこれは・・と思ったシーンは静と動のシーンです。
ほとんどの方が感心すると思われる(ジャングルジム)のシーンは静です。
そしてエンディングは地雷を踏むような静の恐怖。
動とは、電話ボックス襲撃と屋根裏の襲撃シーン。
でもやはり静の描写のほうがなぜか動かないのに動くであろう恐怖感があります。
「裏窓」でうまいなぁと思いましたが、この作品も予測させるシーンがたくさんあり、
落ち着いて観られる作品を作るんだなぁと感心しました。
さて・・気になるのは「ゾンビ」のエンディングのようなあやふやなオチですが・・
あそこでちょん切られると後のことまで考えて後味が悪い。
これを狙ったんでしょうねたぶん。考えながら納得。
あとカメラワークですがまだあまりたくさん観ていないのですが、
天井を抜いて上から撮る今では当たり前な手法、
同時代の他の映画と比べるとそれがいかにこの監督のものかがわかる。
それと地平線や水平線などとにかく線を真ん中に持ってくる。
どういう効果があるのかまだ疑問ですが面白い構図ではあります。
最後に気になって仕方がないのは登場人物よりも、
あのつがいの鳥ですね。
あれはいったいなんだったのでしょうか??
暴れもせずかわいいだけなのですが不幸を呼ぶ鳥にしか見えなかった。