95.多くの人が予想するであろう「どうせこうなるんだろうなぁ」という結末を、見事なまでに外しません。その意味で、安心して見ていられるサスペンスです。イーストウッドの出演作をすべて見ているわけではありませんが、たいていジジイのくせに現役バリバリに活躍し、ジジイのくせによくモテるという役どころが多い印象。おかげで若者の雇用が減り、結婚できない男が増えることへの配慮など、きっと微塵もないのでしょう。図々しいこと、この上なし。なお個人的に、この作品の最大の見どころは「マルコヴィッチの腹」でした。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-01-19 01:14:22) (笑:2票) |
94.70点ぐらいの映画を撮り続けるハリウッドの職人さんウォルフガング・ペーターゼンが送る70点ぐらいのサスペンスアクションでした。見せ場の作り方や話のまとめ方は当時の娯楽作の標準的なレベルだし、主人公の努力が報われるハッピーエンドも、バッドエンドを好まなかった当時のハリウッドらしい終わり方。この題材であれば後味を悪くしてもよかったように思うのですが、やはりそこは空気を読む男ペーターゼンの本領発揮というところでしょうか。脚本は面白いアイデアを内包しているものの、そのほとんどが作品を盛り上げることなく、映画を構成するパーツに終わってしまっているのが残念。「ザ・シークレット・サービス」というタイトルながら、大統領警護ではなく偽札捜査から映画がはじまるところで「おっ」と思わせたものの、その後の展開は事実のリサーチに基づいた緻密な話というわけでもなくただのサスペンスアクションとなります。暗殺者ミッチの人物像は秀逸で、予算削減でCIAをリストラされた元殺し屋で、特殊な訓練で人格が完全に曲げられた結果社会に適応することができず、夜な夜なイーストウッドへのイタ電とプラモデル制作に精を出す腹の出た中年という、他に類を見ない悪役像を構築しています。存在自体が最高機密のこの男に対しては、シークレットサービスとは別にCIAも独自捜査をしているという燃える設定も準備されているものの、CIA絡みの話は映画の本筋には特に絡んできません。イーストウッド扮するいかにもやり手そうな老練の捜査官と、マルコビッチ扮する異常かつ頭のキレそうな暗殺者を準備した以上は、互いに裏をかき、相手を出し抜こうとする頭脳戦を期待しますが、「マルコビッチがイーストウッドにイタ電→逆探知で通話場所を特定→現場へ急行するも逃げられた後」これを何度か繰り返すのみです。その一方で、当時63歳のイーストウッドが、当時39歳のレネ・ルッソを真剣に口説くという、誰も見たくない展開をしつこいくらいに見せられるので困ったものです。ここで時間を割かれたためか、イーストウッドの相棒君がいてもいなくても変わらないくらい影が薄くなっています。イーストウッド作品にはおなじみの後輩教育ですが、今回はあまりに影が薄いので彼は必要なかったと思います。レネ・ルッソも不要。ヘタなドラマ要素など入れずひたすら追っかけに終始した「逃亡者」はやっぱり偉大だったんだなと思います。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-05-25 03:29:07) (良:2票) |
《改行表示》93.80年代以降、「イーストウッド監督作品ではないイーストウッド主演作」ってのが、そこそこ貴重な存在だったりする訳ですが、本作もその一本。監督はあのペーターゼンで(「あの」というのは「あのUボートの」という意味であって、今もって他に代表作を挙げにくいのです、このヒトは)、主演俳優自身が監督してないことが幸いしたのかどうなのか、いかにも「イーストウッドの溢れんばかりの魅力を、この主人公にバッチリ投影して撮ってやるぜ」みたいな感じなんですね。ジジイなんですけれども、背筋を伸ばして貫録があり、ピアノをさらりと弾いて見せたり、同僚の女性警護官とネンゴロな関係になってみせたり、ジジイはジジイでも、なかなか色気のあるジイサンとして描かれてます。まあ、もし本作を自分で監督してても、厚かましく色気たっぷりに描いていたのかもしれませんけれども。 しかしジジイはジジイ。観てるこちらとしても「おい、ジジイ。現役復帰はいいけれど、ホントに動けるのかよ」と言いたくなる。動けるのか、動けないのか?そこが見どころ。 で、まずは、走りながら息切れするところをしっかり見せつけて、「撮影中に斃れるんじゃないか」と我々をヒヤヒヤさせてくれるのですが(演技ですよ、演技!)、ジョン・マルコヴィッチに対する追跡劇などでは、自ら体を張ってるところなんかも見せてくれて、おお、ジジイ、ちゃんと動けるじゃないか、と。はい、すみません、ワタシなんかより余程、動けてます。 そんなこんなで、いよいよ犯人が大統領を狙うクライマックス。この緊迫した空気がいいですね。厳重な警備がカッコよくって、その警備をかいくぐる犯人がカッコよくって、その犯人に対峙するジジイがますますカッコいい。シビレます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-05-25 12:05:57) (笑:1票) |
92.CIAあがりの暗殺狂と主人公の対決という設定はさして珍しくないが、この両者に「みじめな時代」を生きてるという共通項があるところがミソ。どちらもJFKの時代をイキイキと生きて挫折を味わい、いまクソのような時代を生きてるという認識なの。大統領と個人的な接触をしないのはつまらないヤツと分かると困るから、という。犯人は大統領よりも、ホリガンを相手としてのゲームを挑んでいるわけ。大統領なんてもう標的になる役割りしかない。このクソのような時代に意味を与えようと、自分の分身に挑むわけ。大統領という偉大な虚構のためにどこまで命を掛けられるか、というゲーム。ほとんど三島由紀夫における「天皇」を見るようなニヒリズム。だからマルコヴィッチはいつも「友だち」と呼びかけてくる。ただ一人だけゲームの分かる奴として。公園でヒッピー姿でフラフラしているマルコヴィッチは本当に気持ち悪い。口もとが不気味なんだな。「俺を撃てば大統領を救えるぜ」とか。さして暗殺するに値しない・守るに値しないと、両者納得の上で闘争が展開していく、かなりニヒルなサスペンス。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-05-15 12:19:01) (良:1票) |
91.《ネタバレ》 クリント・イーストウッドがシブかった。悔いのある人生を送ってきたことが滲み出ていた。見事な演技だったと思う。しかし、なぜか映画の世界に入り込むことができなかったんだよなぁ。ちょっと話が分散し過ぎていたのかも知れない。特に、この作品内におけるレネ・ルッソの役割がいまいち理解できない。製作者側としてはクリント・イーストウッドとジョン・マルコヴィッチだけでは男くささが漂い過ぎてて、それをまろやかにするためにレネ・ルッソをキャスティングしたんだろうけど、別に男くさい雰囲気になっても良かったと思う。あるいは、まろやかにするならするで、もっとレネ・ルッソの出番を増やすべきだったろう。この役割が中途半端だったため、男二人の対決に少し水を差した感があることは否めないと思う。 【新世紀救世主】さん 6点(2004-09-14 09:31:40) (良:1票) |
90.《ネタバレ》 相棒の若手警官が殺されるなど、ありきたりな部分も少々あるが、これはかなり楽しめた。犯人がマルコビッチというのもうまい。やはり悪役が良いと映画が締まる。しかしなんと言っても特筆すべきは、クライマックスへ向けて高まっていくテンポと緊張感だろう。テーブルの下で静かに手製の銃を組み立てていくマルコビッチと、彼を突き止めて会場へ向かうイーストウッドとの対比が素晴らしく、またそこに挿入されている音楽もこれ以上ない出来。ラスト、マルコビッチと会話しているように見せかけて、たもとに仕込んだマイクで指示を出しているところなどは本当痺れた。腐っても鯛というか、やはり歳をとってもイースドウッドだ。同じ「老齢頑張り映画」でも「スペースカウボーイ」とは比較にならないくらい、こちらが良いと思う。まあ、ジャンルがちょっと違うけど…。ところで、原題の「In the line of fire」のカッコ良さに比べて、邦題がかなり劣っていると思うのは私だけでしょうか? 【カシス】さん 8点(2004-08-10 15:29:23) (良:1票) |
89. イーストウッドよく出演を承諾したなぁ、こんな老け込んだ役柄。って実際もうイイ爺さんなんだけど。まあでも無理してガンアクションやるよりゃテロリストとの心理戦がメインてのは悪くない選択。ただ、完全に受け身に回る立場上、どう見たってジョン・マルコビッチの鬼気迫る怪演に食われてしまっている。どうにも「年寄りの冷や水」って感じだね、コリャ。お疲れさま~シークレット・サービスにサービスして…6点! 【へちょちょ】さん 6点(2003-01-23 02:52:50) (笑:1票) |
【TERU】さん [地上波(吹替)] 6点(2023-09-29 20:50:19) |
87.途中から女性との絡みばっかりになってしまい、相棒の影が非常に薄くなったのは残念。 【noji】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2022-04-20 23:46:15) |
《改行表示》86.おじいさんとおっさんの追いかけっこの話。 おじいさんが若い女を口説くのはだいぶ気持ち悪かった。 【どちて坊や】さん [インターネット(吹替)] 3点(2022-02-03 20:01:05) |
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《改行表示》85.《ネタバレ》 VSサイコパスのジャンル作品として、脚本、演出、演技、カメラワーク全てがJUST平均点な王道娯楽映画です。ちょっとづつバディものの香りをさせたりロマンスも織り込んだりしていますが、こういうのを客は好むのだろうという制作側の読みはこの二点については残念ながら成功していません。 演技=平均とつけましたが、一人マルコヴィッチが気を吐きまして画面を締めています。顔つきがすでに怖いですし、銀行員殺害の無意味なことは「こいつヤバイ」と震撼せしむるに充分です。変装によって雰囲気をガラリと変えてしまう技は、まんま役者マルコヴィッチの本領発揮ともいえますね。彼が会場に現れたら、仮にワタシが警備バイトしていたとして、写真と首っ引きになっていたとしても、やはりスルーしてしまうでしょうな。別人だもん。 イーストウッドのロマンス沙汰に皆厳しいのには笑いました。日本人は老いてなおお盛んというよりは「枯れる美学」を好みますからねえ。だからじーさんイーストウッドものでも孤高の「グラン・トリノ」は好感されているのです。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-28 23:30:16) |
《改行表示》84.相手からは自分のことが見られていて、素性も何もかも知られている。 一方でこちらから相手のことは後半に入るまで何も分からない。 サスペンスとしてオーソドックスな筋書ですが、 イーストウッドのこの手の映画にしては珍しく時に弱さを見せ、老いを感じさせます。 しかし、ケネディが暗殺されたダラスのあの日のトラウマを抱えながらも、もう同じ轍は踏まない。 命を懸けた最後の仕事に挑む歳を感じさせるイーストウッドがやっぱりカッコよく、マルコヴィッチの悪役ぶりも見事。 その一方で挿入されるロマンスがうまくいっていない典型的な作品でもあります。 レネ・ルッソとの歳の差ロマンスよりも男同士の友情とかの方が良かったんじゃないかな。 【とらや】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-09-30 18:08:17) |
《改行表示》83.割と最近の映画のような気がしていましたが、もう30年近くも経過していたんですね~。 「イーストウッド老けたな~」なんて思ったものですが、それすら今や昔という訳ですか・・・ 当時は割と傑作の呼び声もあったような気もしますが、今観ると、まあ、普通ですね。 00年代までは昔の映画を見ても違和感を感じることは少なかったのですが、最近はネットにスマホにいろいろと世の中が変わり過ぎて、こういった現代を舞台にしたサスペンス物はとにかく小道具が古く感じてしまって冷めてしまう自分がいます。 【J.J.フォーラム】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-28 22:28:33) |
《改行表示》82.なにも老齢のイーストウッドに無理やりラブストーリーを付けなくてもいいのに。 折角のサスペンスに水を差す結果に。 【飛鳥】さん [CS・衛星(吹替)] 3点(2017-10-26 18:53:51) |
81.年代以上に、いろんなものが古臭く感じる。24以降この手の内容の良質ドラマを数多く見過ぎているためか、なんだかやっている事がぬるいなあと感じてしまう。 【もんでんどん】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2017-01-18 14:18:58) |
80.大統領は4年毎に変わるので、現大統領人間そのものへの信頼や恨みはないハズで、記号としての大統領でしかない。その記号は命を懸けて守る価値があるのか?政治犯でもないのに怨念で殺す意味はあるのか?これは無価値で無意味なタダのゲームでしかない。という哲学的なテーマと考えれば、心情描写を掘り下げてもっと面白い作品にできたとは思うのだが、変装やら恋愛やらでちょっと薄っぺらなサスペンスになってしまったような。よって、双方がゲームに熱くなる展開がよくわからない。過去の自分と戦うほど苦しいゲームもないわけで、年取るとそういうのが積み重なるのでしょうけど、まあ双方スッキリできてよかったんですかね??? |
79.可もなく不可もなく特に驚かせる展開もなく。まあこの主人公はイーストウッドじゃないと務まらいよね。おっさんの渋さが滲み出てる。この年の差レンアイは微妙。 |
78.イーストウッド63歳の時の作品ですが、配役にちょっと苦しさが感じられますが、ストーリーも面白くサスペンス感も楽しめる映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-24 15:41:11) |
《改行表示》77.《ネタバレ》 なんとなくまあまあの内容を予想していたら予想以上にまあまあの内容で、「いや~ええもんみたなあ」と満足できました。マルコヴィッチが凄いというのは事前情報として知っていたのですが、それでも人物設定の面白さや変装しまくりでの変な風格には驚き、マルコヴィッチの現在の姿の写真作ってるところなんてマルコヴィッチで遊ぼう!コーナーみたいで思わず笑いが。しかしイーストウッドの役とマルコヴィッチの役の対比はシリアスで、意外に考えさせられました。アメリカの光と影。イーストウッドのラブロマンスが余計なようで、なかったらエンタメとしては重すぎになってたかもなと思わなくもなかったり。 クライマックスの、マルコヴィッチの暗殺未遂からの大統領退避の流れ、あそこは素早くて緊迫感が漲っていてとてもかっこよかったです。 いや~ええもんみたなあ。 【マッイヤ~ン】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2014-07-17 00:26:35) |
《改行表示》76.《ネタバレ》 クリント・イーストウッドのおじいちゃん具合はキャリア感を出すにはいいけど、さすがに老いすぎか? ケネディ大統領暗殺に立ち会った(棒立ち)過去を持つシークレットサービスの男の話。 CIAに暗殺を仕込まれたジョン・マルコビッチに大統領暗殺のゲームを持ちかけられ、大奮闘。 狂気のマルコビッチと老いのイーストウッド、ちょいとパワーバランスがとれてなかったかなぁ。 平気で人殺しまくりのマルコビッチが何故ゲームにこだわったのか、まぁトチ狂ってるからなんでしょうけど。 勝手なお友達気分でイーストウッドに肩入れしなけりゃ(実際何度となくイーストウッドを殺すチャンスを逃している)圧勝だったと思うんですが。 いい具合に緊張感を保ってラストまで楽しめましたが、もう少し若い頃のイーストウッドだったらもっと良かったかも。 【ろにまさ】さん [地上波(吹替)] 7点(2013-09-15 23:55:13) |