38.《ネタバレ》 これはまた実に痛快です。ここから15年経った現在だからこそ、もっと広まってほしい作品です。嫌煙運動の胡散臭さをけちょんけちょんにけなす一方で(ミスター・マルボロに金を受け取らせるテクニックとか、突然現れるテロリストとか。「吸ってたから助かった」というオチも凄い)、主人公の軽薄さも際立たせることで、論争のレベル自体が所詮そんなもんだ、という視点まで提示しています。また、こういうときは往々にして足を引っ張りがちな主人公の子供が、予想に反して最後まで機能していたり(顔つきはちょっと合ってなかった気はするが)、なぜかいつもレストランの同じ席にいる3人組の構図も何とも言えない可笑しさを提供していたりと、脇役の配置も上々です。ラストはちょっとあっさり風味にすぎる感じもしますが、長編デビューでここまでやれば十分です(ライトマン監督、この時点で28歳かあ・・・)。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-09-15 00:33:34) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 才人ジェイソン・ライトマンの監督デビュー作、映画監督の処女作にはその人の個性がすべて詰まっていると言われますが、まさにその通りと言うべき一編です。私はこの人のストーリー・テリングのリズムが好きなんですよね。オープニングから中盤にかけての展開はもうすこぶる快調です。ハリウッドの中堅として活躍しているアーロン・エッカートの数少ない主演作ですが、もうこのニック・ネイラーはこの人しか考えられないという当たり役だったんじゃないでしょうか。マイケル・ダグラスみたいな頑丈そうな顎をしていて、ウソ臭い笑顔を浮かべながらペラペラと詭弁をまくしたてるところは最高に愉快です。いろいろと痛い目に遭いながらも、ラストでは例の笑顔を浮かべながらしゃべくりを活かした別の職業についている彼、それでも人間的な成長はあったんだという視点で閉めてくるところが良かったです。この監督は色んな刺激的なプロットを詰め込みながらも話を大きく広げない脚本を書くのが得意なので、ちょっと物足りないと感じる人も多いかもしれませんが、小品映画を撮るには正しい方法論だと思います。 そう言えばタバコをテーマにした映画なのに、登場人物が喫煙しているシーンが劇中で皆無なんですよね。まあ言われなくても理由は判りますが、ちょっと不思議な感じがしました。そして上院議員が過去の映画からタバコを画像処理して消してしまえと主張するところ、日本でも最近『風立ちぬ』の喫煙シーンの多さを一部のアホが非難していたことを思い出させてくれて、ちょっとゾッとしました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-03-09 21:15:32) (良:1票) |
【くまさん】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-08-15 03:22:45) (笑:1票) |
35.《ネタバレ》 タバコ業界への世間の風当たりは相当強い。もはや“喫煙=悪”は社会のコンセンサスです。圧倒的に不利な情勢の中、広報担当者である主人公の手腕が問われます。それが物語前半の“フリ”。広報戦略やディベートの面白さ。黒を白と言い換えるマジック。そこへ観客の興味を誘導します。ところが後半に入って様相は変わる。その仕事ゆえ世間から疎まれる父と、それでも尊敬する息子との絆を描くファミリードラマへシフト。勿論そういう展開もアリだと思います。ただ、フリに対してのオチは欲しい。それはラストシーケンス、ドクロマーク法案の公聴会でやってきます。法案推進派の大物議員VSタバコ業界を代表する主人公の論戦。どんなロジックで主人公は法案阻止を図るのか。それが前フリに対するオチ。さらに父としての尊厳を示す場でもあります。まさにクライマックス。議員の意地悪な質問「あなたは子供にタバコを勧めますか?」に対する主人公の答は「子供の自主性に任せます」主人公の上司は、ヤッター!言い負かしぞ!と興奮ぎみ。議員は「痛いところを付かれた」的なリアクション。でも自分はあっけに取られました。逆襲の一撃でも何でもない。至極真っ当な受答えに思えるから。おそらく自由を勝ち取った意識のあるアメリカ人と、そうでない日本人とでは、主人公の主張する“自由”に対する認識が違うのでしょう。ただ、いずれにしても自分には物足りなかった。サプライズが欲しいと思いました。さらに主人公は結局タバコ業界を離れるという。これまた平凡な着地点に思えます。フリは良かったのに、オチはイマイチ。何だか煙にまかれた気分です。タバコだけにね。お後がよろしいようで。いやよろしくないか(笑)。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-11-20 18:47:12) (良:1票) |
《改行表示》34.こりゃ吹き替え版で観ないと正当な評価はできませんねえ。字幕がほとんど追いつけてないんだもん。DVDが出るまでは、とりあえずまあこの点数で。 途中、誘拐のくだりでの殺人方法はハウダニットとして久々にスマッシュヒットでした。 後半は編集の強引さが目立ちます(ナレーションに頼りすぎ!)。シナリオも2稿目くらいでOKが出た感じで、もう少し練り込めると思うな。ライターは意識してると思うけど、記者たちを前に自分をハメた敵へ反撃を宣告する辺りは主人公ドン底状態なんで、元通りにアガってくるのは公聴会の席での展開だと思う(既に隠し弾はあるワケですが)。このあたりのチューニングでもっともっと大傑作に持っていけるはず…まあここはテクニカルな部分なので、あまり減点対象にはしませんが。 あと、どうしても言っておきたいのはスモーカーである設定の主人公が、絶対タバコを吸わないコト。企画者の意地というか執念というか、「制約がどれだけあっても、絶対この作品はインディペンデントでは製作しないぜ」という心意気が見えて引きずり込まれます。出来はともかく、その姿勢は評価したいです。 ちょっとマジメに。 『スターシップ・トゥルーパーズ』の前半で、ジョニー・リコがラズチャック(マイケル・アイアンサイド)に向かって「先生、ボク卒業したら軍隊に入ろうと思っているんですが、親が反対してるんです」と相談すると、「私の考えではなく、自分で決めろ。自分の意思で選択するのが真の自由だ」と返される。 欧州人のバーホーベンは「自由」という言葉の持つ裏の意味を当然知り抜いていて、映画中ではネガティブな意味として使用してる(と、このシーンについてはパンフのインタビューで明確に答えていた)ワケですが、ハリウッドの文脈中では十分ポジティブに取れる(ように描かれている)。 このシーンを思いっきり引き伸ばし、90分で語りなおした本作は、目新しくはなくても、「自由選択」という教義に縛られたアメリカの裏側をしっかり抉っていた。このコンセプトが映画化できた事だけでも十分及第点を出せると思う。 本作の問題の半分以上は、その白と黒と灰色が入り乱れる華麗な弁論が字幕からは伝わってこない、この点にあると信じている。こいつに限っては、DVDに入るであろう吹き替え版こそが鑑賞の本命だ。 【エスねこ】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 00:56:39) (良:1票) |
《改行表示》33.本作は「インサイダー」のようなタバコ業界の内幕を暴露するような映画でもなければ、マイケルムーア作品のようにタバコ業界を糾弾するような映画でもなく、「スーパーサイズミー」のようなタバコの害を体験しながら明らかにしていくドキュメンタリーでもない。 本作はタバコ業界を舞台にした人間ドラマである。しかも、タバコ業界に関与している者同士の利権や思惑が交錯する複雑なものではなく、根っこは「親子」の在り方を描いた作品である。なぜ、タバコ業界を描きながら、親子の話がでてくるのかと感じた人もいたのではないだろうか。<以下ネタバレ>タバコに害があるというのは、大人であれば誰でも分かることだ。害があると知りつつ、タバコを吸うのには誰に責任があるのだろうか。 本作では「本当にタバコ会社に責任があるのだろうか?」という問い掛けをしている。話を変えれば、「肥満の責任はマクドナルドにあるのか?」「クルマの事故は自動車会社にあるのか?」「殺人の責任は銃器メーカーや刃物製造会社に責任があるのか?」「飲酒運転はビール会社や自動車会社に責任があるのか?」という問題と同視できるのではないか。責任の一旦はあるのかもしれないが、(タバコには中毒性という問題があるかもしれない)これらに起因する責任は「自己責任」ではないかという問題提起をしているのが新しい。各人が自分の行動に責任をもてるようにするためには何が必要なのか?という答えに対して、本作では「教育」という問題を取り上げている。学校での教育ではなく、家庭での教育である。本作では、父と子どもが向き合って話し合い、ありのままの父親の姿を見せ、子どもに考えさせ、子どもを成長させ、時には、子どもに励ましてもらい、子どもに対して恥ずかしくない生き方を示していく。お互いがお互いを成長させるという理想的な姿をユーモラスに描き出している。訴訟大国アメリカにおいて、タバコにドクロマークをつけるかどうかというように問題をすり替えることで決着させるのではなく、本質的で当たり前の部分を突いているという点に対して、とても新鮮で驚かされることとなった。 本作の上映前に同監督の短編「In God We Trust」という作品も特別に併映された回を鑑賞することができた。結構、他の観客には大いに受けていたが、それほど笑いのレベルは高くはないと感じた。本作がDVD化された暁には、この短編も付録につくのかな。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-10-24 00:03:24) (良:1票) |
《改行表示》32.《ネタバレ》 タバコ業界を擁護するロビイストが主人公という、一風変わった設定がなかなか面白かった。 糾弾される方を描いて、なおかつスカッとさせるのはなかなか難しいと思われたが、そこは敵役?にJKシモンズというこれ以上ない憎まれ役を配置してあっさり解決。 タバコ業界のボスにも名優ロバート・デュバルを立てて、それほど憎らしくさせていない演出がうまい。 タバコが有害か否かということよりも、主人公の息子に議論の方法を学ばせることでタバコ自体に対する嫌悪感をさほど感じさせない演出もなかなか。 そしてアーロン・エッカート。 無骨な兵隊役もハマるけど、こういう口八丁の男も抜群にハマる。 見応えのある、あっという間の90分。 |
31.《ネタバレ》 事前情報なしで見たせいか、すごく面白かった。ブラックで、シニカルなコメディ。テンポも良く、全編楽しめた。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-01-02 18:05:50) |
《改行表示》30.《ネタバレ》 俺たち嫌われ者! そんな連中ばっかりな世の中を上手に渡り歩く男が一人。口八丁で切り抜ける上手さにみんなたじたじ。 そうだそうだ、タバコはハードボイルドな格好良さ、大人の象徴の代名詞。僕は吸わないけれど、タバコの無い世の中は寂しすぎる。 軽快で楽しいオープニングから始まった本作はオフビートなコメディと、嫌われ者達の華麗な立ち回り、そしてそこから子供に伝えるべきメッセージが簡潔に伝わってくる。映像の面白さもなかなかで面白い。 ただやっぱりちょっと退屈な所もあるし、話が進んでいるのかわかりにくい。 まぁそんな映画だけど終わりよければ全て良し。 にしてもシャチのシーンは笑いました。 【えすえふ】さん [DVD(吹替)] 5点(2017-12-25 21:01:26) |
《改行表示》29.僕は現在、禁煙を始めて2か月ほどになります。勿論そんな簡単にやめられるものではなく、まだまだタバコ吸いたいんですけど、禁煙外来でお医者さんと一緒に禁煙頑張ってます。 そんな僕がタバコをテーマにした映画を見るとどうなるんだろうか?というお試しのような感じで見ました。タバコというものに関しては拍子抜けというか、本作を見てタバコを吸いたくもならなかったけど、別にタバコが嫌いになるように仕向けるような映画でもない。現に禁煙推進派の登場人物も結構おもしろ可笑しく描かれている。コミカルさとシリアスなテーマのバランスも良く、アメリカそのものを含め色んな意味で皮肉が効いた映画ですね。 そして1人の男の生きザマを見せる映画としても。ジェイソン・ライトマンの監督作では「マイレージ・マイライフ」でジョージ・クルーニーが演じた男を思い出しました。ライトマンの映画はどれも見やすさのある作風ですが、そんな中にも主人公の生き方については色々考えさせられます。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-04-26 21:09:56) |
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28.ローンの為なら白を黒といいくるめる、ローンのためなら寝物語を公にするマスコミ。謳っている子供に対する教育に白々しさを感じます。 |
【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-08-30 11:36:38) |
26.これ実は反煙草団体が作ってたりしてるんじゃないのだろうか?なんか煙草止めたくなったもん。 |
25.《ネタバレ》 タバコ業界のロビイストという大抵の映画では悪人扱いされる立場の人間が主人公という少し変わった映画。タバコが健康を害するということを主人公が自覚しながらも、口八丁で"タバコ=悪"と決めつける民衆を煙に巻く姿が只々クール。特に目新しさがある映画ではないのですが、劇中の議論の面白さからついつい時間を忘れてしまいました。ただ私はインテリだろうがあんな理屈屋の父親は嫌だなあ。傍から見ればカッコいいけどね。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-01-22 18:23:33) |
【ベルガー】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-10-16 13:59:44) |
《改行表示》23.《ネタバレ》 「自分が正しいことを証明するのではなく、相手が間違っていることを証明する。」勉強になります。役に立ちそうですが、間違いなく嫌われますね。 全編通して、本音か建前か分からない論戦を繰り広げますが、公聴会での最後の一言だけはおそらく本音。息子とまっすぐ向き合い、息子も父親を最後まで信じている姿が印象的でした。 ただ、拉致されるシーンだけは怖いです。洗練された弁舌も、純粋な暴力の前には何の意味もないのでしょうか。ペンが剣に負けてしまう瞬間でした。 【たきたて】さん [DVD(吹替)] 6点(2011-10-13 14:28:49) |
22.日本では非常にタイムリーなトピック。圧倒的な権力を持つタバコ業界の暗躍を「あえて」タバコ業界側のセールスマンを主役に立ててシニカルに描いたコメディタッチの社会派ドラマ。言うなれば東電を擁護してる自称専門家がどんなご立派な理論を並び立てていようと滑稽に見えるように、あるいは国会中継の大臣の答弁がなぜか滑稽に感じるように、タバコ業界の「ご立派な反論」をププププっと楽しむ映画です。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-10-03 02:31:24) |
21.《ネタバレ》 ドキュメンタリーものかと思ったら意外やファミリー映画。コメディながらホロっとさせられる良質な映画でした。それにしても嫌煙活動家の総本山アメリカでこういう映画が作れるんですね。例えて言えば、反捕鯨のメッカ・オーストラリアで「白鯨」を、民主党政権下の日本で「嫌韓流」を、それぞれ映画化するようなものでは…活動家の妨害運動が凄そう。何というか、本当の意味での「表現の自由」がある程度保証されている点は、何だかんだ言ってもさすがアメリカだなと思いました。(そういえば反ベトナム戦争運動の真っ只中で「ランボー」が公開され大ヒットした事もありましたな。)最後は反嫌煙組織は潰されてしまうのですが、「嫌煙家の言う健康上のリスクは何の根拠も無い」という点はしっかりと言い切っており、お見事でした。…日本も国際捕鯨委員会でこの位まくし立ててやればいいのに。 【番茶】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-06-05 17:58:54) |
《改行表示》20.《ネタバレ》 序盤から展開する巧みな論述展開は興味深いものがありました。 しかし、如何せん「映画にする必要があるのか?」という小ぢんまり感。 特にこれといったストーリーの起伏もないまま、後半に子供との親子愛を持ってきたのはちょっと強引すぎたような気がします。 子供を持ってきた時点で、基本的にタバコO.Kとはなりにくい。 ここは、個人の自由が何たら・・・のレベルではなく、徹底的に「タバコ吸おうぜ!」で通してほしかったです。 ラストはタバコ論争に勝ち、街中でタバコ吸ってるシーンとかで終われば、ある意味伝説作品になったのでは・・・? あ、ちなみに私はタバコ吸いません(^^; 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-06-02 21:23:03) |
19.自由の国アメリカ、タバコを吸う権利をふりかざすなら、多少のリスクも引き受けなさい、って感じですね。この映画には色んな「自由」がありました。でも本当に大事なのは「愛」なんです。そんな感じで終わっちゃって、毒にも薬にもならない、100分ちかくの広告を観たような気分です。字幕で観た為、主人公のマシンガントークを味わえなかったですが、もう一回観ようという気には・・・・。センスあるコメディですね。日本で言えば、中島哲也監督に近いんじゃないでしょうか?(でも中島監督作品は好きです)あの若かりし頃、無軌道だったロブロウにこんな感じでお目にかかるとは・・。彼は元気に役者やってたんですね。でもちょっと日本をおちょくってる役でしたが。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-03-03 02:25:25) |