《改行表示》58.《ネタバレ》 狂気をちらちらと見せながら、笑顔とジョークで本性を隠すアミン大統領。人が何かを怖いと感じるときは、怖いものが目の前に現れた瞬間ではなく、まだそれが見えないときではないでしょうか。想像力によって人は一番恐怖を感じる。ウィテカーの演技の巧さは、怖さを前面に出したものではなく、それを観客に暗示させるものでした。青年医師の視点からみたアミン大統領が描かれているおり、アミンを一人称にしなかったことで、この暴君の心の中は観客には分からない。それが一層不気味さを醸し出している。恐怖の演出がヒッチコックのように技巧的で秀逸でした。一方的にアミンが加害者で青年が被害者という図式にしているわけではなくて、青年をあえてモラルを持たない軽薄な白人の代表者として描くことで、勧善懲悪の色合いを暈し、客観性を取り入れている。「おまえたちにとってはゲームかもしれないが、おれたちにとってはリアルなんだ」というアミンの台詞が特に印象に残ります。この一言があったからこそ、アミンってこわかったね、で終わらない作品になっている。アフリカをつまみ食いしようとする白人たちと、アフリカの惨状がその台詞から炙り出されてくる。ウガンダの場合、日本の戦国時代のように下克上の世の中だから、機会があれば誰もが敵に報復しようと目論んでいる。憎しみが憎しみを生み、その連鎖は広がっていき、誰もが疑心暗鬼となっていく。そういう中でアミンは神経をすり減らし、モンスターへと変わっていったのでしょう。もしこの大統領がアフリカではなく、日本で生まれたならば、愛嬌のある気さくなおじさんとして人生を終えていたはずです。アミンという人間が特別な人間だったわけではなく、アフリカという大地が彼を生み出したのかもしれません。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-02-02 10:51:46) (良:1票) |
《改行表示》57.《ネタバレ》 独裁政権の罪はニコラス・ギャリガンには関係のないことなのだが、はっきり言って彼の今回の災難は皆自業自得の結果といえる。ウガンダの歴史も知らずこの地を訪れ、道中や診療所では女に手を出し、アミンの接待攻勢に負けて診療所をほっぽり出してしまう。あげくにはアミンの第3婦人にまで手を出すのだ。その彼の軽薄さはアフリカに対する白人、西欧社会のスタンスを皮肉っているのではないかと思える。実際、英国植民地時代のウガンダで育ったアミンは、西洋白人文明の横暴と偽善をよく知っているのだし、製作者は逃げ出そうとするギャリガンに対しても、その薄っぺらさを喝破するようなことを言わせている。 本作は社会派の硬派な部分、アミンという人物と政権の狂気、西洋白人文明の偽善も描かれるが、同時にギャリガンが自らの浅はかな行動が元で蟻地獄に落ちていく様をサスペンスタッチで描くという娯楽性も追求しており、一級のサスペンス映画としても楽しめた。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(吹替)] 7点(2007-11-09 14:02:53) (良:1票) |
56.フォレスト・ウィテカーは、どんな役でも楽しそうに演じるのだが、本作はいつにも増してノリノリな印象である。何せ初登場の演説シーンからして度肝を抜かれる。あの地も割れんばかりのダミ声。人懐こい笑顔とユーモアのセンスには、誰もが惹きつけられることだろう。それがどこをどう間違えたのか、内に秘めた狂気がだんだんとエスカレートしていき、気付いた時にはもう遅いという次第。このじわじわ感が本当に怖いです。そういえばウィテカーは、「ハスラー2」でも、どことなく似たような役を演っていたな。史実を巧みに取り入れた脚本は実にお見事である。本作の後に「特攻サンダーボルト作戦」を観れば完璧であろう。ついでに「食人大統領アミン」も押さえておきたいところだ。元大統領は最近までサウジで生きてたんですね。大虐殺のシーンはないのだが(グロはある)、見えないことで逆に、その恐怖がじわじわと伝わってくる。そこに青年医師の、無自覚などうしようないダメっぷりが加わると、鑑賞後も長く、何とも言えないイヤーな感覚が残ることになる。他の作品ではあまり経験できない、複雑な感情を呼び起こすという点で、本作は優れた作品である。 【わいえす】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-05-08 01:34:24) (良:1票) |
55.《ネタバレ》 「郷に入っても郷に従う必要はない」「子供の火遊びが大火事になる事もある」っていうのを、主役のスコットランド細身青年が身を持って体験してくれた、もう痛い痛い、アイタタタ映画でしたね。出演者がほとんど馴染みのない方々ばかりだったのが、却ってこの映画の荒々しくも異様なスリルと迫力を盛り立ててくれてました。ただ虚弱体質の自分には味付けが粗塩のみ、自然の素材をそのままサーヴされたみたいでちょっとキツかった部分もあったっすw観てる間ずっと「あの時カナダにしとけば良かったのに、カナダにしとけば良かったのに・・・」って夢にまで出てきそうな、アミン大統領の容貌に終始震えおののいてる自分がいました。巨漢フォレスト・ウィッテカーに迫力負けする事なく、「とにかく何でも見てやろう的ポシティブ思考の医師」役者もよく頑張ってたと思います。最近続けてアフリカが舞台の映画を二本観ました。「ブラッド・ダイヤモンド」がちょっとだけキャンディコーティングされたアフリカなら、こちらは生のままのアフリカ。どちらもアフリカの歴史の悲痛な現実を描いた力作。昔「食人大統領アミン」っていうキワモノ的映画があったと思うんだけどなんか急に観てみたくなったw 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(字幕)] 6点(2007-04-12 12:00:53) (良:1票) |
54.《ネタバレ》 フォレスト・ウィテッカーのアミンは見応えがありました。ストーリー的には興味本位でウガンダに入り勘違いしていい気になっているジェームズ・マカヴォイのキャラクターにむかつきを憶えてしまいました。決して彼の演技が下手だということでなく、上手だから役にむかついたってことです。関係ありませんがイラクで捕虜になって非難された3人の日本人の事件を思い出しました。 【omut】さん [映画館(字幕)] 6点(2007-03-28 03:21:35) (良:1票) |
53.《ネタバレ》 歴史に名を残す悪名高き独裁者アミン、彼に気に入られて主治医兼側近になったボンボン育ちのスコットランド人医師の恐るべき秘話。という体裁の映画なんですけど、実はこの医師は架空のキャラで事実をモチーフにしたフィクションということなんです。アミンが主人公の映画といえば、これまた悪名高き『食人大統領アミン』というモンド映画がありますけど、この映画で描かれたような食人したとか生首が冷蔵庫に…なんて逸話は最近の研究では誇張された与太噺だったとか。“実はアミンはベジタリアンだった”というのも事実らしくて、こうなると苦笑するしかありません。それでも一説では三十万人の自国民を殺害したというのは紛れもない事実で、やっぱとんでもない奴だったのは確かです。 そんなアミンを巨漢フォレスト・ウィテカーが熱演しています。元来心優しいキャラを演じることが多かっただけに、権力を握りたてで妙にテンションが高い頃のアミンは彼の持ち味だけど、中盤からの疑心暗鬼に捕らわれて周囲の人間を殺しまくる独裁者に変貌してゆく様を、彼にしかできない見事な演技で見せてくれます。特に後半は、もうアミンにしか見えないというのが正直な感想です。でもそのアミンが可愛く見えちゃうほど嫌悪感を呼ぶのが、ジェームズ・マカヴォイが演じる医師でしょう。英国籍のくせにやたら「俺はスコットランド人だ」を強調するし、現地で世話になった医師夫婦を平気で裏切るし、女にはだらしがなくてアミンの第三夫人と情事を重ねて妊娠させちゃうし、パスポートを没収されて英国外交官に泣きついても「アミンの白いサル」と蔑まれて拒絶されるところでは、思わず「ざまーみろ!」と心の中で快哉を上げてしまいました。まあここまで観る人を不快にさせるとはそれだけマカヴォイの演技が優れているからでもあり、多いに褒めてあげなくてはね。 ラストのエンテベ空港事件を絡ませた脱出シークエンスは、史実を上手く取り入れたハラハラ・ドキドキの盛り上がるサスペンスでした。思い出すだけで背筋がゾクゾクしちゃうのはマカヴォイが乳フックで吊るされる拷問シーンで、これとケリー・ワシントンの意味が判らん切断死体を見せられるところはほんとキツイ。でもこの映画でグロいシーンはこの二ヶ所だけだった感じで、『食人大統領アミン』とはえらい違いです。ていうか、そんなモンド映画と較べられちゃ迷惑ですよね。 ハッピーエンドだったのかどうか、微妙なストレスが残る映画でした。でも実際のアミンが夢のお告げ通りに天寿を全うしたのは、ほんと世の中は理不尽です。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-06 21:39:02) |
《改行表示》52.《ネタバレ》 アミン大統領という名前を聞いたことはあったが、実際に何をした人かは理解していなった。 ファレスト・ウィテカー主演とあり、いざ鑑賞してみると一部フィクションがありガッカリ。 後戻り出来ない感満載。 【バッジョ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-06-08 00:09:37) |
51.《ネタバレ》 未熟で浅はかな「アミンの白いサル」ニコラス医師に味わわされた相当な後味の悪さは、架空の人物だという事に少しだけ和らいだ。 |
50.《ネタバレ》 偶然にも直前に見た「パニック・ルーム」の優しい強盗がアミン役で登場したのには思わず苦笑。ひょんなことから独裁者に気に入られた主人公が調子こいてどんどん深みに嵌って逃げられなくなってしまう。投げやりになって酔っていたとはいえ独裁者の妻に手を出しちゃってこいつは阿呆か、と思っていたらスコットランドの主治医は実在でなくフィクションだとか。ちょっと拍子抜けの感もあったが、独裁者というものが普通の感覚でいられなくなる怖さは伝わってくる。ウガンダからの危機一髪の脱出も緊張感十分だった。 【ProPace】さん [地上波(字幕)] 7点(2015-10-29 23:10:14) |
49.《ネタバレ》 いやぁ、フォレストウィッテカーの演技が狂気に迫ってますねぇ。ただ単に狂気だけならまだしもそこに絶対的な権力が伴うと手に負えません。。彼の機嫌を損なわせるだけで殺されるなんて。他の映画で彼の優しそうな人柄の演技を見たことがあるのでそのギャップがすごいです。アカデミー賞主演男優賞、納得です。 【珈琲時間】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-05-17 14:09:10) |
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48.《ネタバレ》 ○まずはフォレストウィテカーの存在感。ジェームズマカヴォイもなかなか。○展開としては途中までは面白いが、フィクション部分もあってかくらーい展開に。○後に彼について調べたが恐ろしいの一言。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-08-11 23:40:31) |
47.《ネタバレ》 アミンを演じるフォレスト・ウィテカーはオスカーも納得の熱演。浮気をした奥様が見せしめにされる辺りからどんどん物語が暗く淀んだものとなり、不安でまともに画面を見ていられなくなってしまったが、終盤のジェームズ・マガヴォイが拷問されるシーンから繰り広げられる印象に残る台詞の応酬は深く私に突き刺さった。同じ場所に居て同じ空気を吸ってはいても、「当事者」と「傍観者」の間には拭い去り難い大きな隔たりが有る事を改めて思い知らされた。 グロ描写も多く拒否反応を示す人も居るとは思うが、それを差し引いても見応えの有る力強い作品である。 【たくわん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-02-14 09:30:40) |
《改行表示》46.この大統領まで残酷ではないけれど、こういう「初対面ハイテンションで絡んでくるので、一見とっつきやすそうだけど、自分の気に入らないことがあると荒れる」っていう人いるなあと思って見てました。私はこういう人を面倒な人と位置づけ関わらない様にしてます。 スコットランド人のニコラスも面倒な人に関わってしまい、面倒なこと(ではすんでいない)に巻き込まれてしまったと言える。人を見る目を持つのはやっぱり大切ですね。 【のははすひ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-08-19 13:38:20) |
《改行表示》45.《ネタバレ》 いい題材を扱ってる割にはつまらなかったな。まずアミン大統領が狂気の独裁者というよりは絶えずおびえてる小心者にしか見えなくて。(塚、自分の場合、スピーシーズの穏やかな霊能者の印象強すぎてw) あと、主人公像が最悪。何、あのまったくしまりのない下半身。白人、黒人、若い娘、人妻、あまりにも節操が無さすぎます。普通、大統領夫人に手を出して妊娠させたら、どんな国だってかなりやばい状況に。せめて避妊しろって(笑) こんなテーマで主人公にまったく気が入らず、さっさと氏んでくださいとまで思ってしまった。 くどくなるが、この題材でわざわざ架空のああいう主人公にしたのってどういう意図なんだろう。理解に苦しみます。 【rhforever】さん [CS・衛星(吹替)] 3点(2012-05-14 09:56:43) |
44.「食人大統領」として日本でも名前が聞こえたイディ・アミンを題材とした映画だが、そもそも主人公が架空の人物であることから始まって伝記モノとしては認められない信憑性らしい。ただホテル・ルワンダなどでも描かれたアフリカという異郷の独特の空気と独裁政権の狂気を描いた映画としては普通に興味深く楽しめた。アフリカに限らずイスラム世界もそうだが、我々の価値判断で相手を見るから判断を誤るんだよね。彼らには彼らの方法論ってのがあるんだから。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-24 00:39:02) |
43.独裁者の怖さ、当時のウガンダの無秩序さを感じました。アミンの演技が素晴らしい。 【noji】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-15 02:14:32) |
《改行表示》42.フォレスト・ウィッテカーは汗をタラタラ流しながら半べそ掻いて錯乱する、もはや「泣き芸」ともいえる演技を披露することが多いが、この映画ではそれをゲップが出るほど堪能できる。 なにしろアカデミー賞主演男優賞を受賞しているくらいだから。 映画としてはもっとノンフィクション寄りにするか、もっとフィクションを盛り込むかのどちらかにした方が面白かったかもしれない。 【J.J.フォーラム】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-08-13 17:39:51) |
41.《ネタバレ》 最近立て続けにアフリカ関連の映画を観て、この映画のことを思い出したので思い出しレビュー。私の心の根底にある「アフリカ怖い」の中核に位置する怖すぎる1本。スコットランド人の青年が色んな意味でダメダメすぎたけど、脱出するまでは本当に手に汗握った。 観終わった後、アミンの史実をネットで調べているうちにまた手に汗が・・・。アフリカ怖い。怖すぎる。 【りんす】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-09-19 23:04:11) |
40.《ネタバレ》 まず事実上の主役の医師青年が架空の人物だった事にびっくり。あと浮気した奥様への仕打ちとかの一部残酷シーンもウソ・・まぁ実在の人物と出来事にフィクションを織り交ぜて再構築したとオリジナル映画と思えば納得。フォレスト・ウィッテカー演ずるアミンはさすがの存在感で、どこか憎めない親しみやすさがありながら中に見える、奥底の狂気も見事に表現していて本編の捨てがたい魅力となっていましたオスカーも納得。そして問題の・・医師青年のあまりにも能天気バカっぷりには閉口。終盤で正義らしきものに目覚めてもそれが実に薄っぺらな行為にしか見えず、全く『頑張れ』とも思いません。架空の人物で良かったよ!でも、その軽薄さにイライラしたという事はジェームス・マカヴォイの演技が上手くてピッタリな役という事になりますね。最初でも触れている通り、語り尽くされたアミン都市伝説も入れたりしているので、真実を描いた映画が観たいと本作に対して思っていた私としては、不満が残りました。ただ欧米連中が自分達の利益の為に安易にアフリカという大陸に入り込んだら大きな代償を支払うという教訓的な内容と見れば価値があるのかな・・。いつかあの時代の真のアミンに迫る映画が出来る日を待っています。 【まりん】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-08-24 19:47:39) |
39.自分探しの旅は平和なところでしなきゃね。主人公の青年医師がGAIGOに見えてしょうがなかった。 【ムイシュキン公爵】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-08-23 16:40:21) |