6.のっけからの素晴しい立ち回りにクライマックスにおける剣劇。アクションに関しては本当に見事だったと思います。
かつて『AKIRA』において「重い物が重い物として落下してくる」質量感等の表現がハリウッドに大きな衝撃を与えて以降、日本のアニメーションはディズニーのような滑らかなフルアニメーションとは違った魅力、「リアルっぽさ」というものを目指してきた様に思えます。
それはこの作品でも存分に発揮され、ここ最近邦画で総崩れ状態である「剣劇アクション」の出来では明らかに一枚上の存在で、「結局日本で世界に通用する映画はアニメだけ」という悲しい(?)現実をここでも感じさせられます。
だからといって、この作品が良かったか?と言えば話は別。
決して子供向けでない作品にもかかわらず、一般成人が見るにはやや稚拙な設定。
台詞で全てを語ってしまい、演技をしない登場人物。
子供・犬、といったお決まりの関係に、相変わらずワンパターンなその行動。アニメに限らず、何故日本映画はあんなに子供と動物の扱いが下手なのか不思議に思う。
そしてもう一つ疑問に思った事として、仔太郎の声は一体どうしたことだろう。
もう少しマシであれば、と劇中何度考えたことか。
役どころからして「素直になれないが根は優しい少年」を描きたかったと思われるが、アレではただの生意気なガキにしかなっていない。それは決して演出や脚本だけのせいではない。
知念侑李さんとはどんな人か全く知らないので恐縮だが、恐らく本職の声優ではないのだろう。技量以上のものを求められる本人も可哀想にまで思えてくる。
主役の長瀬氏にしても「下手ではなかった」だけで、ベストの選択とは思えない。
脇で出られた山寺氏や大塚氏が声を当てられた方がよっぽど良い作品になったと思える。
最近こういった配役が増えているようだが、ハッキリ言って誰も得をしない。
一体いつまでこんなことを続けるのだろうか?
日本アニメ映画の可能性と限界をこの映画に見た、と言えば言い過ぎでしょうか。