42.《ネタバレ》 シリーズを重ねる毎に「ダブル主人公」ではなく「主人公のリーと、その相棒のカーター」って形に変化していった二人。
自分としては元々リーの側に肩入れする気持ちが強かった為、さほど違和感を抱かずに済んだけど……
これってカーターの方が好きな観客にとっては、結構辛かったんじゃないかって思えますね。
前作のヒロイン格であるイザベラがリーと疎遠になったのも「カーターが悪い」って事になってるし、その辺ちょっと厳しいというか、ファンに優しくない作りだった気がします。
そんな明確な欠点がある映画なんですが、2に続いて3でも魅力的な敵役を用意してみせた点に関しては、素直に評価したいです。
本作でカーターの影が薄いのって、コイツのせいじゃないのかって思えるくらい、真田広之演じるケンジが魅力的。
「主人公リーの弟分」「今は敵対し、かつての兄貴分に愛憎入り混じった想いを抱いてる」って設定だけでもオイシイし、日本刀を鮮やかに振るう姿も恰好良い。
そんなケンジとの「エッフェル塔での戦い」は、間違いなくシリーズ屈指の見せ場だったと思います。
リーが弟分のケンジから「孤独な男」と断じられた場面で「孤独じゃないわ」と女装したカーターが助けに来る場面はグッと来るし「やるじゃん、シスター」「任せて、ブラザー」ってやり取りも面白かったしで、こうして感想を書いてみると(あれ? 意外と良い映画だな)って、鑑賞後の印象とのギャップに、自分でも戸惑っちゃうくらいですね。
では、何故そんな本作の「鑑賞後の印象」が悪かったかというと……
やっぱり、終わり方のせいだと思うんです。
本当、今観返してみても「唐突過ぎる」「呆気無い」「何でこんなブツ切りで終わらせたの」って、理解に苦しむくらい。
……ただ、上述の「唐突の終わり方」に関しては、劇場公開版&ソフト版に限った話であり、地上波放映版では、未公開だったラストシーンが追加され、グッと自然な終わり方になっていたりもするんですよね。
劇中(扱いが酷いなぁ)と思えたイザベラに関しても、リー達と再会する場面が描かれ、しっかりフォローされていますし。
狙撃されたハン大使が無事に退院した事も明かされ、文句無しのハッピーエンドになってる。
そして何より「1や2と同じく、リーとカーターが休暇に旅立つ終わり方」「俺達は相棒じゃなく、兄弟だと認め合う終わり方」であった事が、本当に良かったです。
残念ながらNG集は拝めないってマイナスを考慮しても、自分は地上波放映版の終わり方を支持したいですね。
ちなみに、本作の劇中では「ケンジのタマ取って妹にしちゃえ」という台詞がありますが、ドラマ版(2016年)では実際にリーの妹が出てきたりもするので、気になった人は是非チェックして欲しいですね。
「映画版と殆ど変わらないカーター」「寡黙な美男子という独自の魅力を出してるリー」という主人公二人の描き方も良かったし、最後も綺麗に終わってるしで、この手の「人気映画をドラマ化してみた」パターンの中では、かなり良く出来てる方だと思うので、オススメしておきたいです。