《改行表示》78.《ネタバレ》 『ミザリー』の原型とおぼしきストーリーは、似たような例をいくつか知っているため新鮮味はない(もっともこちらの方が先だけど)にもかかわらず、ベティ・デイビスの圧倒的な演技力にぐいぐいと引っ張られた。あの魚の腹のようにぎとぎとした光を放つ三白眼。 しかも途中まではありがちに思えた物語は、終盤の逃避行に至って予想外の着地をみせる。あんなにおぞましかったジェーンが、信じられないことにいじらしく、可愛らしくさえ見えてきて、それまでの恐怖と嫌悪が憐れみと哀しみに反転する。 ラストで明かされる意外な真実。ブランチの無防備すぎる行動にも、姉をいたぶりながらも肝心なところで姉にすがりつくジェーンの行動にも、合理的な説明がついたのには感心した。 ジェーンは二つのストロベリーアイスを手にして言う「だめよ、これはブランチのなんだから」。この台詞で、彼女が姉を愛していたことがわかる。姉を妬み、憎み、その一方で罪悪感に苦しみつつ、間違いなく姉として愛していた。単純に憎むことも愛することもできない、同じ女優ゆえ、姉妹ゆえの複雑な感情。 何がジェーンに起ったのか。それを知っていたのは姉のブランチだけだった。いや、本当は、誰も知らなかったのだろう。彼女が人知れないところでどんな苦悩を抱えていたのか、彼女がどんな風に心を病み、狂気の渦に飲み込まれていったのか。ラスト、ジェーンは海岸でみんなに囲まれて楽しげに踊る。彼女を遠巻きに眺める人々の顔には恐怖と嫌悪、嘲笑と好奇だけしかない。何がジェーンに起ったのかは、誰も知らない。その壮絶な孤独に、胸が苦しかった。 【no one】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-02-10 20:38:30) (良:4票) |
《改行表示》77.《ネタバレ》 なんて女とは強欲で、激しく、悲しく、醜く、陰鬱で、そしてなんと可愛いのだろう! ピアノ弾きに淡い恋心を抱くジェーンは、ベビージェーンの頃よりも純無垢な少女のようで、なんとも可愛かった。それはラストを知っているから?・・・いや、初見の私が、鬼のようなジェーンに垣間見た恋するいたいけな少女。・・凄い演技だベティデイビス!物まねも上手いっす!子供が見てはいけないくらいトラウマ性大のどアップ!ああ貴女は素晴らしいです。。2度目を見たとき、ラストの姉の告白の後、アイスクリームを買ったジェーンが「・・ストロベリー2つ!」というところで私は大泣きしてしまいました。なんでかな。種類を聞かれて戸惑うジェーンがとてもいとおしかったんですよ。呪縛から開放されたジェーンは、姉がさせた「醜く」からも開放され、とても美しく笑ってて・・ああっなんだか余韻がありすぎて上手く感想書けないですw 余談ですが楳図作品「おろち」にこれとよく似た話があるんですよねー★雰囲気など秀逸に そっくりです。他にも「悪魔の花嫁」にオマージュ作品があります。この映画が好きな人はゼヒ! 【マミゴスチン】さん 10点(2004-08-28 04:11:30) (良:4票) |
《改行表示》76.《ネタバレ》 面白いです。 妹ジェーンは一世風靡した子役。姉ブランチは大人になってから才能をみとめられた人気女優。大人になって演技が大根と低評価であった妹は姉を車でひき逃げしてしまう。その事故で下半身不随になってしまった姉は表舞台を退き、妹と2人で隠居生活…。 ブランチの性格は健気で儚げ、純粋で清らか。一方ジェーンは自分勝手、無慈悲、妄執的、暴力的、破滅的…。ブランチは酒におぼれる妹にも懸命に接する。健気過ぎて、感情移入してしまいます。 しかし‥序盤から感じていた幾つかの違和感。だんだんと気になってきて、どんどん「どう考えてもそうなるんは不自然!」 と思ってくる。 その違和感とは、まずプロローグシーンで、子役として大活躍しており傲慢になっている妹に憎しみに似た感情を持っていたブランチの姿。悔しさを「絶対に忘れない…」と呟くブランチ。そこからどうしてあんな邪気のない大人になれるのか? 更に、あまりにも従順すぎるブランチの姿。愛鳥をチキンにされたり、ネズミの丸焼きを出されたり、相当壮絶な仕打ちを受けているのに、ただただ受け入れている。不自由な体とはいえ、彼女は妹を罵倒すらしない。なぜ? また、題名にたいする違和感。「何がジェーンに起こったか、でなくて何をジェーンがしたか、が正しい題名じゃないのか?」と。 しかし、これらの違和感達はあるべくしてある違和感で、土壇場できちんと謎解きしてくれます。 オチとしては意外ではないかもしれませんが、成程、とすっきりと解決します。 ラストでのジェーンの無邪気な表情や妄想と現実が入り混じったダンスは、いろんな意味で鳥肌ものです。 女という生き物の怖さ、浅はかさ、愚かさ、哀しさ、そして血の繋がりという危うい絆。この映画には詰め込まれています。 今となっては「姉妹に秘密事はできないわ・・」といったブランチが怖い。 この映画は、まさに、「何がジェーンに起こったか?」なのです。 【まりんこ】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-07-29 22:17:37) (良:3票) |
75.《ネタバレ》 映画史上に残るベティ・デイビスの怪演に圧倒されますが、ベイビー・ジェーンの心理が細やかに描かれていて、上質な心理劇を見させていただきました。ジェーンのメイクや髪形はベティ・デイビスが自ら提案したものだそうで、彼女の女優根性には頭がさがります。ラスト海岸でジョーン・クロフォードから事故の真相を聞かされてからは憑きものがとれたように落ち着き、なんか美しく見えてくるから不思議です。そして映画の展開からは予想もしなかったあの哀しいラストシーンでした、それにしても、あのメインディッシュがネズミのシーンは強烈でした。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-03 22:26:08) (良:3票) |
74.《ネタバレ》 姉の事故の真実を知りやっと素直になれ野次馬という名の観衆に囲まれ今までの念願だった注目を浴びながら、踊る事ができたのにあんな結果になってしまったのには皮肉を感じました。思えばジェーンは姉の事故を自分のせいだと思い悔やんで、その出来事から逃げるために幼児回帰をしていたのかもとも思いました。ずっと事故の真実を言えず悔やんでいた姉も然り、お互いのほんの少しのすれ違いが起こした悲劇であったのかもしれませんね。ずっと一緒にいて距離感が近すぎた為に異常なまで憎しみ合い、愛し合い、妬み合ってこの結果に至ったのかもしれないと思うと、何ともやるせない気持ちになりました。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-02-21 19:36:37) (良:3票) |
73.幼少時から憎しみ合った二人の密室劇で、山姥のようなジェーンがブランチの思惑を一つ一つ潰してゆく様は丹念なカメラワークもあいまってホラーであり心底恐ろしい。踏み躙られてもジェーンを思うブランチの心境が理解し難かったのが、「何がジェーンに起こったか?」が告白するラストで明らかになり、胸が塞がる。隣人とピアニストがもっと話に絡んでくれれば。ジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィスは犬猿の仲だそうで、本作で二人を制御できるのはアルドリッチ監督ならではか。撮影現場の緊張感も半端なかったと想像できる。全編が異様なオーラに包まれる傑作。 |
72.《ネタバレ》 見ている間こんな映画もう二度と見ないと決めた。ラストジェーンの表情を見て始めから映画を見直してしまった。 【akila】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-01-16 15:34:25) (良:2票) |
71.《ネタバレ》 《ネタバレ有ります注意です!》《ネタバレ有ります注意です!》《ネタバレ有ります注意です!》 なんてむごい結末。もうさ、老婆だろうが、ヤマンバだろうがなんだっていいや 優しくギュッと抱きしめてあげたい なでなでしてあげたい。 泣いたっていいんだよ 相当辛い思いをしてきたんだから ずっと見守っててあげるから。 アイスクリーム、自分で買わなくたっていいんだよ 買ってあげるから2つでも3つでも。(あなただけに買ってあげるから。) 哀しすぎた結末に胸が痛い。ずっと心にひきづる 忘れられないベティ・デイヴィスの変わり身とあの表情。 展開こそ全然違えど(かなり真逆になってしまうが)チャップリン名作の〝街の灯〟でチャップが最後に見せた顔演技の時ほどの衝撃を感じた。 ベティ・デイヴィスがすごく良い。その後、アカデミー賞授賞式当日にまつわるエピソードや、ジョーン・クロフォードとの確執エピソード等々、 こぼれ話的なものでもいろいろ楽しませてもらった。まあ、とにかく今後一生忘れる事はないでしょう。そんな確信を持ってしまったベティ・デイヴィスの表情でした。 【3737】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-01-16 19:10:08) (良:2票) |
70.《ネタバレ》 海辺のラストシーンは、悲しみと解放感に満ち溢れていて胸が痛くなりました。 【キリキリマイ】さん 10点(2004-06-13 16:02:18) (良:2票) |
《改行表示》69.《ネタバレ》 昔の映画であったことを割り引いたとしても、ずっと同じ調子でいたぶられ続けるのは正直飽き飽きした。 自分にとっては、視聴に我慢が必要な部類の映画であった。 【チェブ大王】さん [地上波(吹替)] 2点(2019-09-24 17:38:35) (良:1票) |
|
《改行表示》68.《ネタバレ》 うーむ。今時の作であれば、こういったサイコ系のヤツって結構あるよねって、受け流せたんだと思います。 しかし、これワタシが生まれる前の作じゃないですか。こんなころから、身内による監禁致死事件がネタになっている。いやいや、家族による猟奇ってもちろん近年始まった話じゃないんでしょうけど、白黒映画でそんなん見せられて、ショックなんですよ。映画の中だけは、昔は良かったとでもオレは思いたかったんだろうか。んなわきゃ、ないのに。 ところで、最後のブランチの告白って、本当なんでしょうか?いまわの際の、ジェーンに対する最後の復讐ってふうには解釈できないでしょうか?だって、自分自身を無実の罪に縛り付けて、その後の人生を棒にふったことを知らされるのって、相当の痛手ありそうですもの。 そのダメージで、ストロベリーアイス2つ持って、衆人環視のなか、浜辺でダンスしてしまうくらいに。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-09-22 21:41:15) (良:1票) |
《改行表示》67.《ネタバレ》 ベティ・デイヴィスの怪演で、長い映画もすんなり見られました。 ジェーンは自分が姉を轢いていないことに 実は薄々気づいていたのかも、とも思いました。でないと、あそこまで姉に残酷な仕打ちをするのが道理に合わないような。 事故を自分のせいにした姉に対する復讐、そして自発的な告白を求めるための行動だったと考えると、納得しやすいかなと。そしてラストで姉がやっと自白したことで、心が晴れ あのダンスに結び付く。あの性格なら気づいた時点で 姉に言うだろうという見方もあるけど、ネチネチやる方を選んだのかも。 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-11-19 16:19:48) (良:1票) |
《改行表示》66.《ネタバレ》 (ネタばれ思いきりしてます)ENDマークが出てから、しばし呆然とオソロシイ余韻が残る。凄いオチだった。最後の数分で、「何がジェーンに起こったか」わかるんである。この姉妹の真の姿も。互いに憎みあい、でも反面依存しあっているという家族ならではの倒錯。100分以上も妹の姉への虐待につき合わされ、彼女の狂気を見てきた観客は姉ブランチが殺されてしまうかも、との危機感を抱く。でも、違った。殺したりしない。妹にとって姉は困った時頼る存在なんだもの。ストロベリーアイスは必ず姉の分も買うんだ。 妹を轢き殺そうとしたのは、姉の方だったのだ。そして真相を明かさず、妹が良心の呵責に苛まれ、理性を失うに至らしめたのも貞淑な姉、ブランチなのだった。ぞおーっ。 「あなたは知らないのよ あの子がどんなに輝いていたか」お手伝いさんに語る姉の喜びに満ちた表情は芝居ではない。姉は妹がスターだった子供の頃の憧憬を抱き続けていた。愛が、嫉妬と憎しみで捩れた二人。全部が明かされた陽光眩しい海岸、強烈なラストシーン。B・デイビスの化け物じみた怪演は戦慄の極み。しかしそうなった理由、真実はその姿以上に大きな衝撃でありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-07-27 20:46:17) (良:1票) |
《改行表示》65.「二大女優競演!」ともなると、此処までやらにゃいかんのだ、という悪しき前例を作ってしまった映画、とも思えるのですが、もうとにかくこれが、コワくてイヤらしくてエゲツないんです。 ベティ・デイヴィスの特殊メイク顔(??)も十分にコワいんですけど、物事の裏側を浮き彫りにして不穏な空気を演出するローアングルのカメラが、これまたコワくてイヤらしくてエゲツない。 ラスト、どこまで引っ張るのだろうと思っていると、「かつて何がジェーンに起きたのか」「そして今ジェーンに何が起きているのか」というところに繋がって行って、実は意味深なタイトルであったのだなあ、と。 それにしても、残酷描写に頼らなくったってこれだけ怖い映画を作ることはできるのであって、昨今の映画は残酷描写に頼り過ぎなのでは、とも思えてくるのですが、これもまあ、時代の流れというか、いったんソチラに踏み込んでしまうと簡単には戻れない訳で、致し方ない面もあるのかなあ、などと思いつつ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-21 08:20:44) (良:1票) |
64.《ネタバレ》 怖い。女の怖さと醜さをここまでリアルに描くこの監督の怖さ、それに応える姉妹のドロドロした関係、自分の事故で姉を車椅子での生活へと追い込んでしまったと思っていた妹とそうではないと最後に事実を告白する姉、これ以上ない切なさが感じられる終わりにお互いの感情が物凄く伝わってきます。それにしても所々で出てくる人形が二人の怖さを更に大きく思わせる相乗効果を生み出しているし、電話のシーンの怖さもこの作品を更に恐ろしい作品としている。色んな意味で本当に怖い映画だ。 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-06-02 21:15:57) (良:1票) |
《改行表示》63.《ネタバレ》 憎しみ合う姉妹の映画です。 うまく作られていますね。 事故が起きたときは、顔が映ってない。 なのに、姉が車いすなので、勝手に被害者に。。。 酔っぱらっていたので、やった覚えのない妹。 だから姉にあんな仕打ちを? 姉はなぜ、自分が悪かったともっと早く言ってあげなかったのかな・・・ まぁ、憎しみ合うのが題材だから、こうなるのか、 本当の姉妹なら、こうはならないと信じたい。 ジョーン・クロフォードが一方的にかわいそうに見える映画なんだけど、 「愛と憎しみの伝説」を見てしまうと変わりますよ。 【新しい生物】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-02-07 04:35:29) (良:1票) |
62.この映画に関する逸話は、いろいろと残っているようです。仲の悪い2人を姉妹役にしたのですから、現場での緊張感は半端ではなかったでしょう。映画を見る限りでは、B・デイヴィス演じる妹のジェーン役の方が、見せ場が多いと思います。完成品を見たJ・クロフォードがどんな様子だったか、知ってる人がいたら、聞いてみたいものです。 【shoukan】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-09-26 18:46:59) (良:1票) |
《改行表示》61.こりゃあ恐ろしい。 とてもじゃないが、耐えられず、途中2回ほどDVDを停止した。(←邪道) 何が恐ろしいといって、ベティ・デイビスの鬼気迫る怪演、それを引き立てるジョーン・クロフォードの抑えた演技。 暴力的なシーンより、猫なで声で姉を労わるシーンや恍惚としてダンスをするシーンの方がよほど恐ろしい。忘れられぬ過去の栄光にしがみつき、過剰な化粧で可愛い表情を作る老婆のおぞましさはこの世のものとは思えない。 ラストのオチは、前半の母とブランチの会話で、予測可能だが、ここでも繰り広げられるジェーンの完全に逝ってしまった姿を、開放感溢れる健全そのものの海と共に映し出す俯瞰のカメラが、なんとも言えない醒めた哀切を醸しだしている。 アカデミー女優ベティ・デイビスの役者魂、恐るべし。 【poppo】さん 8点(2004-05-18 13:24:54) (良:1票) |
60.一瞬耳を疑うような…こんなラストもたまには良し。人間年老いていくと、自分が輝いていた頃に戻りたいっていう本能が剥き出しになっちゃうんだね。特に女はそうなのかな。海辺で踊る、すっかりベイビー・ジェーンに戻ってしまった彼女の笑顔は印象的。なんと深く、残酷な話なんだろう。 【SAEKO】さん 8点(2004-03-20 16:05:10) (良:1票) |
59.心理サスペンスの大傑作。ベティ・デイヴィスの凄まじい演技だけでなく、演出や撮影でも職人芸を堪能できる。原作があるようだが、ストーリー展開も見事でラストまで引っ張られる。40年前の作品だが、今見ても2時間強を充分に楽しめる極上のエンタテインメント。ただし1962年の映画としては、BGMの使い方が若干大仰で時代がかっているのが残念。 【眠い悪魔】さん 7点(2004-02-15 03:10:01) (良:1票) |