97.《ネタバレ》 本当に何も起こらない離れて暮らす家族が久々に顔を揃えた実家での一日。そんな家族それぞれの抑えた好演が印象に残るキャストも、日本中のどこにでもあるような家族が揃う夏の帰省の一日を実に味わい深くしてくれた脚本も素晴らしい映画でした。どの家族の中にもあるであろう微妙な間。この映画の中の家族に流れる間は自分の家族と似ているようでもありますがやはり違う。しかしよく分かるのです。そして息子と父の微妙な関係は映画の中で劇的に変わることは無く、結局「いつか一緒に行こう」と言った野球にも行かなかった。しかし、この映画はこれでいいのだろう。観る者それぞれが自分の親や家族と本作の家族をだぶらせながら、家族を見つめ直すきっかけとなったりする映画ではないでしょうか。 【とらや】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-14 20:47:01) (良:3票) |
96.このシナリオは、そうとう手間が掛かってるんじゃないか。さりげない言葉の採集に時間を掛け、それの構築にも時間を掛けていそう。それだけの成果が上がっている。大勢の中で言われた言葉へのこだわり・言い返せなかった文句が、二人になったときに不意にこぼれるのが、ザクッザクッと映画に刻みを入れて、表面では何も起こらない時間に確かな手触りを与えている。そのくすぶってる場所としての家族。「おばあちゃんちじゃないぞ、俺が建てた家だ」とか「それ(トウモロコシで気の利いたこと)を言ったのは兄貴じゃなくて俺」とか。その遅れて言い返せた言葉とは別に、“ちょっと間に合わなかった”言葉も山のようにあり、でもそこにこそ一回限りの家族の会話の味が、後悔が懐かしさに変質しつつ隠されている。あるいは墓参りの帰り、暗黙の了解のように二組の母子に自然に分かれ、どっちも他方の前では交わせない会話が紡がれる、そのスリル。不意に顔を覗かせる残酷さと怖さ。「隠れて聴く曲ぐらい誰にだってありますよ」と妻の夏川結衣にあんな含み笑い顔で言われた日には、夫たるもの気になって仕方がないでしょうなあ。こっちの「普通であること」と人の「普通でないこと」がときに重なりあい、するとその場の時間が急にボッテリと厚みを増す。「普通」を形作っているものの裏には、なんとたくさんの折れ曲がった思いが複雑に絡み合っていることか。最近の日本映画でこれだけ詰まってる時間を味わった作品はなかった。原田芳雄はおそらくまだかくしゃくとした老年を描くために起用されたのだろうが、かつての無頼を演じてたイメージが残ってて、たしかに夫婦の過去を思えば似合ってはいるのだが、現在の父としてはもう少し固いぐらいの実直さを出せる役者でもよかったかも知れない(「“すばる”は演歌じゃありませんよ」の語り口は絶品だったけど)。それとラストが付いたことで、見ているほうがその後を自由に想像する楽しみはなくなってしまった。でも傑作です。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-08-31 12:15:54) (良:2票) |
《改行表示》95. ディスクのタイトルの下に、原作、脚本、編集、監督という肩書で名前が出ていたので、よほどの自信作なんだろうなと思って鑑賞しました。 確かに面白い。女性監督には出来ない計算された伏線がいっぱい詰まっている。 最近の映画は、のんびりしたストーリーでも、2時間を平気で超すものが多くて嫌気が刺していたが、約110分、なんとか最後まで鑑賞出来た。 複線もしっかり、セリフもちゃんと含みを持たせて、なかなかとは思ったが……。 正直言わせてもらうと、山田太一、倉本総、向田邦子のドラマを見つくした私には「もう、こういう映画はいいかな……」という感想しか残らなかった。 ホームドラマを見たことがない人にとっては新鮮さを与えるかもしれないが、同じような映画は過去に山ほど作られていることを訴えたい気持ちになる。 【クロエ】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-07-08 00:33:09) (良:2票) |
《改行表示》94.《ネタバレ》 映画の一番最初のカットからやられた。樹木希林とYOUの何気ない会話。彼女らの背景については一切説明がないのに確かな存在感がある。阿部寛や原田芳雄がぼそっと放つ小言、仕草など、俳優陣の演技力も超一流ながら是枝監督の演出力は半端じゃない。日本映画の良さを感じられる素晴らしいホームドラマ。 家族だからこそお互いに嫌な所を知り尽くしているし、長い付き合いでうんざりしてくる。そう簡単には断ち切れない縁だからこそ鬱陶しい。だからこそ親族との関係は希薄にもなるし、争いごとも絶えない。 みんながみんな嫌な所を持っていてさらりと嫌みを言うし、喋ることが無くなってしまった時の場の空気といったら辛いの一言。ほとんどサスペンス。大したことでもないのに家族の前だと何故か突っ張ってしまって、でもやっぱりあとで反省してこっそりと破いた紙を貼り直す。このあたりのシーンを見ていると何とも言えず居た堪れない思いになり、キリキリと心が痛む。見ているのが辛い程に。 この登場人物の異様なまでにリアルな存在感の中、老いた母親が見せる心の闇には痛ましさとともにぞっとする程恐くなる。普通にしていれば気付かない所で人はその脆い心に闇を抱えているのかもしれない。 月日を経るほどに家族という存在はお互い面倒くさくなってくる。一緒にいても辛いことばかり。 しかし、まるで他人の家に来たようだった次男の息子も、この何気ない2日間で父親に心を開くきっかけになった。最後に母親から聞いたどうと言うことのない話を次男は娘に語った。 この時に感じた優しさ、温かさはやはり家族だからこその物だと思う。 【Sgt.Angel】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-08 00:07:29) (良:2票) |
93.世間は『おくりびと』一色だが、日本アカデミー賞を獲るべき作品はこれしかないし、アカデミー外国語映画賞に出品される作品もこれしかないだろう。これこそが「ザ・日本映画」。この情緒を分かるのは日本人しかいないし、たとえ外国人には理解できなくとも、我々日本人が擁護しなくてどうする!日本アカデミーの助演女優賞に樹木希林が受賞しなかったのは理解に窮する(余貴美子が悪かったわけではないが、はっきり言って政治的な匂いがしてならない)。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-05 21:46:52) (良:2票) |
92.《ネタバレ》 じわ~っと沁みてきますねー。こんなリアルな映画、初めてかもしれません。特に樹木希林演じる母親の醜さや底意地の悪さが見え隠れするところや、夏川結衣のヨメの本音など、血のつながりのある家族とそうでない人との人間関係など、表現の仕方が素晴らしいです!そして「ちょっとだけ間に合わない」というセリフのリアリティ、すごい!としか言いようがないですね。家族、個人的には両親のことを考える、いいきっかけななったかも・・・。こういうテイストの映画を邦画で観たの初めてです。この監督の作品、以前「空気人形」を観て、そのセンスと力量に驚かされましたが、この作品はそれ以上です。 【ramo】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-03-18 21:42:54) (良:1票) |
《改行表示》91.《ネタバレ》 最後、阿部寛が語った 『結局、父はあれから3年後に亡くなった』 という語り。 奇しくも その台詞と脚本に合わせたかのように原田芳雄自身がほぼ3年後にお亡くなりになってしまった。 偶然にしては恐ろしいことですが。 悲しいことです 良い役者さんだったのに。 そして阿部寛がさらに語った台詞が気になって仕方がない 『母もそんな父の後を追うかのようにすぐに亡くなりました』 とな ‥ 希林さんのほうは大丈夫なのだろうか ‥ 原田さんの後をすぐに追っていってしまってはダメですよ ‥ ぜひとも まだ末永く活躍していってもらいたい素晴らしい日本の女優さんなんだから。(最近のものでは 悪人も良かった 妻夫木君の育ての親役で。) そして本作〝歩いても 歩いても〟 父との関係、母との関係、嫁姑関係の思い等、 自分と照らし合わせてみてしまうこと必然となってしまいますよね。 いやあ、かなり身にしみた。 既に両親共に亡くしてしまった自分が今、そう思う。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-05-24 21:05:59) (良:1票) |
90.子供時分に沢山観たテレビドラマの様でした。子供が成人した身となった今、共感したり考えさせられたりすることが多々ありました。ただ、あまりにも起伏のない展開に映画にした意義に疑問を感じました。 |
《改行表示》89.「家族」という人間の集合体はとても興味深い。血の繋がっている家族もいれば、繋がっていない家族もいる。一緒に生活している(していた)人が家族というわけでもない。たとえ同居していなくても、子供が結婚すればその結婚相手も家族だし、彼らの子供もまた家族なのだ。結婚は人生の伴侶を選ぶだけではない。相手の「家族」も選んでいるのだ。 そして「家族」が面白いのはそのありようが様々だからである。仮に僕が将来結婚するときに、自分の実家に相手を連れて行くのと、相手の実家を訪問するのとでは、どちらがより緊張するか、自分にプレッシャーがかかるかと問われれば、僕にとっては確実に前者だ。つまり結婚する以上は、相手に僕の家族を相手にとっての「家族」に加えていただくことになるからであり(自分の実家と絶縁→結婚という選択肢は除いたとして)、結婚相手が僕の家族にどういう印象を抱くかは僕自身の努力では如何ともしがたい点だからである。 この映画に出てくる家族はそれほど「変わった」家族ではない。開業医を引退した男とその妻の二人暮らしの家庭に娘夫婦とその子供二人が帰省中。そこに絵画修復士となった次男が新妻とその連れ子を伴って帰省する。鼻つまみ者がいるわけでもなく、金に困っている者がいるというわけでもない、一見特に何も問題のない家族である。そういう家族でも、個々の構成員の感情のレベルで見ると彼らはお互いに多くの思いを抱いている。だが、これもたいていの家族ではあることなのだ。特に不思議なことではないはずなのだ。 この映画の見所は、僅か一泊二日のお盆の帰省中に起きる様々な出来事を通じて、「家族」という共同体の面白さ、不思議さ、滑稽さ、惨めさ、尊さをとても丁寧に描いている点にある。何の変哲も無い家族を取り上げているにもかかわらず、彼ら一人ひとりの考え方や感情の持ち方を明確に設定し、適当なイベントを生起させることでとても深い人間ドラマに仕上がっている。特に何か大きな事件が起こるわけではない。衝撃的な事実が判明することも無い。涙が出るほど感動する、というシーンも無い。 しかし、邦画でこんなにリアルな家族の物語を観たのは、久しぶりだった。小津安二郎の映画にも通じるものがあると思う。時間をおいてもう一度観たいと感じさせる作品だった。キャストの演技も良い。芸達者が集まっており、全員がはまり役と感じた。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-05-22 21:40:28) (良:1票) |
88.特になにも起こらないけれど、凄い映画だと思いました。登場人物たちの会話に、それぞれの関係性と距離感を示す記号を含ませる。無駄になっている台詞がひとつも無いくらいの、一種の緊張感がある。その会話が、誰の立場に自らを置き換えても思い当たるような微妙な既視感を呼び覚まし、静かな共感が起こる。何気ない言葉の端々に垣間見える生活感は、各人の人生という領域までを想像させる。たとえ家族であろうとも、完全には分かり合えない心の壁を深刻ぶらずに見せられる。会話の中に宇宙が見えました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-02-14 12:54:32) (良:1票) |
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87.《ネタバレ》 前半1時間は、正直言って退屈でしたが、よしお君が来るあたりから、ぐっと面白くなります。ひとつひとつの台詞に繊細に込められた各人の「思い」が物語をつむいでいく様は、胸に響きますね。ただ、どの登場人物も「見られていない時に本音を言う」という同じパターンを繰り返し、ちょっと一辺倒な感じはぬぐえません。また、同監督の「誰も知らない」のようなリアルさは、この作品には感じられませんでした。構造は良く出来ているのですが、人間そのものが生きているように思えません。監督も役者も「リアルに、リアルに」と意識して作っているのが見て取れるのですが、むしろそれが裏目に出ていたような。まあ、象徴的な台詞が多いので、仕方ないのかもしれません。見終わった時、途中で見るのをやめなくてよかった、と思えたので、まあまあいい作品だったと思います。 【コウモリ】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-09-16 08:32:56) (良:1票) |
86.《ネタバレ》 CGや、サラウンドとは、ほぼ無縁の映画は、じわりとしみ込んでくる。それにしても是枝監督はどうやって演出しているのだろう。不思議だ。そして樹木希林は、セリフ、動作、表情、さりげなく上手すぎる。YOUはやはり天才的。夏川結衣は最近のテレビドラマでファンをやめようと思っていたが、子持ちの嫁の居心地の悪さを上手く表していたし、ふと垣間見せる初々しい表情が「青い鳥」以来のツボだった。そして、次男の「いつも、ちょっとだけ間に合わない。」というセリフがあとを引く。 【ブタノケ2】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-07-20 23:28:37) (良:1票) |
《改行表示》85.暑い夏の日、亡くなった長男を弔うために家族が集まる。 どこにでもいる普通の家族の、何でもない一日。 自分自身も毎年経験していることだけれど、離れて暮らす家族が会する場というものは、実のところとても独特な空気を持っていると思う。 いつも一緒に暮らしているわけではないので、実際問題各々のことをそれほど把握しているわけではない。 にも関わらず、「家族」という微妙な関係性に縛られているから、特に改まることを許されず、努めて親密に振る舞わなければならない。 それは、互いの関係が良いとか、悪いとかに関わらず、そういうものだ。 だからこそ、表面的な会話の裏に見え隠れするそれぞれの思いにドラマが生まれる。 そのドラマ性を決して表立たせるわけではなく、あくまで個々が抱えた「感情」として描き出す。 それぞれの感情をもっと膨らませて、言動としてぶちまけたなら、荒々しい“波”のある映画になったかもしれない。 しかし、それを敢えてせず、作品全体を水面に落ちた一滴が生む波紋のように仕上げたことが、この映画の最大の魅力であり、是枝監督の流石の巧さだと思う。 歩いても、歩いても、人生が完璧に満ち足りるなんてことは、ないのかもしれない。 それは、息子を亡くした老いた母親にとっても、父親を亡くした少年にとっても、誰にとっても同じことなのだろう。 哀しいことだけれど、そういう何かしらの“物足りなさ”を抱えて生きていくことこそ、本当の意味で人間が人間らしく生きるということのような気がする。 【鉄腕麗人】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-06-20 10:10:55) (良:1票) |
《改行表示》84.《ネタバレ》 台詞の一言一言、描写の一コマ一コマが生きている映画です。 今の若者には理解できないかもしれないが30代40代以降の人には ものすごく共感できる作りになっている。我が家の帰省の環境にもの すごく酷似しているかもしれないがとても心に入ってきた。 おじいちゃんのおじいちゃんの家だろや毎年、命日に助けられた少年を よぶおばあちゃんの心境。こどものパジャマを用意していないことに 対する嫁の感情等すべて理解できる。YOUの演技も秀逸。外人には 理解不能の領域かつタイミングの問題で賞は取れないかもしれないが かなりよい作品と断言できる。タイトルはあえてこの名前にしなくても よかったと思う。 【K2N2M2】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-22 12:57:10) (良:1票) |
83.特別不仲というわけでもないが中途半端に居心地の悪い現代の気づまりファミリードラマ。やはり是枝監督の作る自然な雰囲気は凄いし、それについてくる役者も凄い。だからちょっとしたセリフに妙に力がある。ピリピリしてるけれど、どこか退屈、な感じもリアルってことなのかな。終わってみると案外何も残らない。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-02-02 00:07:36) (良:1票) |
82.《ネタバレ》 自然すぎる!どうしたら演者たちからこれほどまでの自然さを引き出せるのだろう。監督の力量に脱帽です。ストーリーとしては、ほのぼのとしているようでいて、実は長男の死という重いテーマが全体に覆いかぶさっています。樹木希林演じる母親が、はじめは親しみやすいお母さんだったのに、時間がたつにつれて、新しいものを排除しようとしたり、息子を殺したも同然の青年に対して束縛し続けたりと、人間の哀しくて醜い部分を見せ付けられ恐ろしかった。しかし、彼女が蝶を追いまわすシーンでは人間の醜さだけでなく脆さまでも印象的に表現していたと思う。その他、お父さんや姉などみんなが人間くさく、リアルで物悲しい映画だった。 【kaneko】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-07-22 19:10:40) (良:1票) |
《改行表示》81.《ネタバレ》 『結婚できない男』観てたなぁ。あのコンビが再婚夫婦役で出ているのがなんか嬉しい。ドラマでは気の強い役だった夏川が、阿部の実家で、借りてきた猫のようにしてるのが面白い。 名の知れた俳優が出てなければ、まるで帰省のドキュメントを観ているようです。お盆って、その地方の独自色(イベント感)が出過ぎるから避けたんでしょうかね?兄の命日をお盆の少しあとにしたことで、どこにでもありそうな夏の帰省が描かれます。昆虫採集とか打ち上げ&手持ち花火、ラムネ、生ビール、浴衣、夏祭りといった、定番の夏の記号は入れてこない。枝豆ご飯にとうもろこしの天ぷら。それだけで夏。美味しそう。 うなぎを食べている最中、お吸い物の肝を取るおじいちゃんが箸チュパチュパ…潔癖っぽいけど、立ち位置を理解しているあつしが黙ってるのが、ぽいなぁ。 「ちょっと休憩…」常に気が張って、ずっとストッキング脱げないゆかり。あつしも靴下履いたまま。両親はもちろん、姉夫婦一家は子供も婿さんまでも裸足。良多も実家なのに靴下履いたまま。数デニールの絶妙な距離感表現。 “二人の思い出の曲は?”と言われてレコードを掛ける母。良多の「これよく歌ってたね」に箸が早くなる父。普段ジャズを聞き、カラオケで『昴』を歌う父が、30年も前に不倫相手に歌ってた『ブルー・ライト・ヨコハマ』。「来年もまた、顔を見せてくださいね」母が15年経っても良雄くんを呼び続ける理由。 歳を重ねて開いてしまった父との距離。おそらく今まで見ようとしてこなかった、母の生々しい人間性。人間だから当然と言えば当然なんだけど、子供にとっては人のまえに母であり父であり。なんだよね。 実家を離れたから、両親が老いたからこそ見えてくるものって、あるよね。母を車に乗せることもなく、父とサッカーを観に行くこともなく過ぎてしまった、一緒に居られる時間。 墓参りのあと、姉夫婦が住む実家に寄らず、まっすぐ帰ったのかなぁ?良多、免許取って車買ったんだな。信夫の勧めていたRV買わされたのかな。顔くらい出したのかな?親が居るのと居ないのとで、実家の存在意義って変わるよね。 父「次は正月か」何だかんだ言うけど、子供の顔見たいんだよね。 【K&K】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-08-17 13:41:04) |
80.《ネタバレ》 水難事故で亡くなったアニキの命日、神奈川県の実家に姉弟家族が集まるお話。中身はただそれだけなんだけど、現代家族の原風景を見ているようで妙にもの懐かしい。特に日本人ならそう感じるはずだ。平成版の東京物語やな。跡取りとなるはずだった立派なアニキ。死人は記憶の中で美化される。父とは違う道を行き、失業中のオイラ。子は親の思う通りにはゆかぬものだ。それでも歩んでゆく、オイラなりに。両親が亡くなった後に、運転免許もファミリーカーも実の娘もゲット。いつもちょっと間に合わねえ。それぞれの人生。救われたデブにも、ソイツなりの人生。実に味わい深い。煎じた日本茶のようだ。良作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 7点(2024-01-15 01:10:25) |
79.身に覚えのある、どこかで経験したような人生の一コマが切り取られています。人間同士の微妙な距離感とどこか噛み合わない台詞の醸し出すリアリティ。保守的な祖父母世代の価値観とそこから少しはみ出してしまう居心地の悪さと後ろめたさ。確かにこの頃のお年寄りや子供ってこんな感じだったなあという実感があります。普通ならつまらなくなる題材をここまで面白くした技量は確かなものでしょう、でも普通ならつまらない内容にしては面白いというだけとも思えます。ラストシーンはしんみりとした気分になりますが後に残るものは何もなく、結局これってただの小津安二郎もどきでしかないという疑念は拭えません。かと言って是枝裕和監督の作品としては最近のある程度ドラマ性が強くなる代わりに不自然さが目立ってきている作品の方が良いとも言い難いのですが…。 |
《改行表示》78.《ネタバレ》 前半はつまらない。 是枝監督の作品はだいたいこんな印象。 後半でだんだんと本音が見えてくる。 そっからが秀逸だ。 各登場人物に見せ場があって強い印象が残る作品だった。 ラストは正月くらい帰ってあげようよって思った。 【Dry-man】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-11-01 01:04:19) |