1.《ネタバレ》 自分の中で、映画『劇場』とかぶりました。主人公が恐ろしく自分勝手で、そしてそのパートナーの器がとても広くて、でも徐々にパートナーも主人公の毒に蝕まれていく。そんな様子が『劇場』とかぶってしまいました。
そんなある意味自由奔放に生きているように見える寧子(=趣里さん)ですが、「あたしはあたしと別れられない。」「津奈木はいいね、あたしと別れられて。」というセリフがとても印象的です。過眠症、鬱、躁などあらゆる適応障害を持ちながら毎日を過ごす寧子。はた目から見ている分にははっきり言って異様に見えるし自分でも基本的にこんな人に近づかないと思うのですが、終盤のセリフで、「分かり合えた瞬間は一瞬だけど、そのほんの一瞬であたしは生きていける」とか、津奈木(=菅田将暉さん)が彼女を美しいと思った瞬間があってそれを理由に一緒にいたいと思ったという感覚は、共感できるしきっと自分にもそんなところがあると強く思いました。
本の原作もあるんですね。鑑賞を終えるまで気づきませんでした。そちらのほうなら津奈木の会社の様子とか、安堂さんのバックグラウンドとかもっと詳しく描写されてるんですかね。ただ、良い、というか興味深い話でしたが、そんなに何度も振り返りたいストーリーでもないので、原作が読みたくなるかどうかは不明です。
躁鬱などの適応障害に理解を深めるための映画というふうにも見えるし、単にこういうヒューマンドラマだと言えばそれっきりなのですが、少なくとも男女の在り方について考えるきっかけにすることはできました。