《改行表示》44.《ネタバレ》 記録か芸術か。監督の感性ほとばしる本作はもちろん後者の趣が強いでしょう。監督のタクトは勝ち負けに拘らずに、勝負に挑む人間の横顔をクローズアップし筋肉の躍動感を余すところなく伝えます。よくこんな近距離の画が撮れたなあ、と望遠レンズの威力に驚かされる映像であります。着地した時に跳ね上がる土と草、アベベの精悍な横顔。 構図も素晴らしいですよね。聖火が通る住宅地を上空から俯瞰したショット。民家の庭から見るロードレースの自転車の波は、あるいは森の奥からと視点を鮮やかに変えて、その色彩も相まって美しいです。 美しいといえばベラ・チャスラフスカ。彼女のあからさまな特別扱いにはちょっと笑ってしまいました。まあ彼女は別格、「世界の名花」ですもんね。 古い怪奇映画みたいな音楽や、デリカシーの置き所が今とちょっとズレてるナレーションはご愛敬。 大会関係者や観客らの様子もつぶさに拾っており、昭和当時の雰囲気を知るのにとても有意義でした。和服姿はもうほとんど見られず、でもかっぽう着は生き残ってる。制服制帽の小学生ら。一張羅と思われるワンピースを着た女の子。なにより、あの戦争の焼け野原から立ち上がり、アジアで初のオリンピック開催にこぎ着けるほどに復興を遂げた誇りや喜びといった熱を感じます。一人一人の表情の輝きはどうでしょう。 芸術作品の看板ではあっても時が経った今、本作はまごうことなき一級の、当時世相の「記録」であると思いました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-20 23:20:53) (良:1票) |
《改行表示》43.ネタバレ無くその競技を競技前から冷静沈着に見せてくれるので、結果を知らないレースや競技については競馬を見るような感覚で楽しく見れました。 (既に結果として有名な男子マラソンや男子体操団体や女子バレーは除く) そんな中で、ビックリしたのが、男子10000メートルの結末。 それと、女子800メートルの勝者の末脚。 この二つには驚愕いたしました。いやはや、凄い走りを見せつけられました。 それから、呼吸一つ乱れること無く安定の走りを見せたアベベという連覇の怪人。 以上、自分なりに記憶に残るシーンを羅列してみました。 その他のところで、各国選手団の入場のシーンですが、各国オリジナルの民族衣装を身に付け自国をアピールしながら入場行進してゆく中で、なぜかキューバ選手団だけ自国の旗ではなく日本の日の丸国旗を全員で振りながら笑顔で入場行進してるところになぜ?という疑問の念は全く無く、そこに平和の始まりを感じましたし、戦後の日本も努力の甲斐あって他国との親交と、こうして平和というものが目に見える形となって表れていってたんだなあという思いがいたしました。実際、とても素敵なシーンであっと思います。 そんな実質計170分ですが。自分は少し前にBS放送で放映された際、インターミッション後のチャドの物語に入ったあたりで睡魔に襲われ眠ってしまい、その後を見逃してしまってたので今回改めてDVDレンタルしたもので見直しました。ただし、今回目にしたものは計144分の(つまり22分が編集カットされた) ディレクターズカット版でした。ついでにご報告しておきますと あのチャドの物語は市川監督の意向により跡形なくバッサリとカットされていました それでよいのかどうだか答えは分かりませんが 私はそれでよかったのだと思います。あの小物語はどうしても余計だったように感じていましたものですから。(チャドさんには申し訳ないですが。) それに当初、計170分にもなってしまった実情といたしますと、記録映画という観点から競技種目全種目を収める事という縛りがあったようです。だとすると、この自分が目にしたディレクターズカット版、チャドの物語の他にどの競技のどのシーンがカットされているのはわかりませんが、競歩というマイナーな競技などはきちんと残してあったその編集には嬉しさを感じてしまいましたね。だって競歩だよ(^^;) 【3737】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-03-22 21:13:13) (良:1票) |
《改行表示》42.《ネタバレ》 初めにお断りしておきますが、私はスポーツにはまったく関心がありません。ただオリンピックの記録映画だということだけで、見てみました。 色々な競技を次々と映していくので、そういう点では平板で退屈になるときもありました。しかしそこを映像的な工夫で補助していて、全体としては飽きずに見ることができました。特に印象的だったのは、女子ハードルと自転車競技。前者の、全走者を正面から捉えたショット、後者の自転車を流した撮り方、共通しているのはカメラを固定しているということでしょうか。スポーツの場合どうしても競技者の動きに合わせてカメラも移動するのが常でしょうが、そこを逆手にとったあたりがよかったと思います。競技者以外の裏方を映しているのも、大会全体を見せるということで成功していました。個人的には、こちらをもっと紹介してもらいたかったほどです。また、マラソンの給水場では、先頭走者以外のさまざまな様子が見て取れて興味深かった。こうしたところも、この映画の長所でしょう。このように、なかなか面白い見どころのある作でした。 1964年といえばまだ東西陣営で争っていた時代ということで、それを緩和するイベントとしてオリンピックが成り立っていたと思います。それはスポーツの政治利用という面もありますが、近年のようにオリンピックの場であからさまにナショナリズムを掲げることはなく、むしろそれを隠すことによって緊張をほぐすという、ある種の上品さが伺えました。そういう時代の記録としても、この映画は価値があると思います。 昨今のオリンピックはもっぱら商業利用が目的のようですが、おかしなナショナリズムに利用されるならば、むしろそちらの方が健全ではないかと思ってしまいます。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-01-03 17:29:25) (良:1票) |
41.これはいろんなカメラマンが撮影したものを編集したそうだから、画づらに監督のタッチを見てもあんまり意味はないかもしれないが、聖火リレーのときの屋根瓦の構図はあれはどう見ても崑タッチだよね。800mをずっと回しながらワンカットで捉えたのもいい。とにかくスポーツ競技の結果への「興味のなさ」がよく、試合前の選手の表情や敗者の表情など、スポーツをする人間そのものへの興味に絞られているのが潔い。自転車競技の八王子あたりの牧歌的な風景、マラソンの甲州街道沿道も貴重な記録だろう。開会式はこのころはまだ簡素なものだった。これ以後テレビの時代になって記録映画というものも次第に意味をなさなくなり作られなくなったかわりに、式は次第にテレビ向きのウルサイものになっていってしまった。まだオリンピックが「スポーツの祭典」でしかなかった良き時代の記録にもなっているだろう。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-10-12 09:21:59) (良:1票) |
40.《ネタバレ》 驚いた。流石は市川崑監督だ!ちょいとそこらの記録映画とは違います。オリンピックの記録フィルムを撮るに至って、いきなり東京の街を破壊するというシーンから始まるのには驚かされる。オリンピックを成功させる為に何が必要か?それにはまずは競技会場の設置が必須条件となる。ということは何を意味するか?要するに全て壊した上で新しいものを作る。この発想、それを映像として残す。こんな始まり、誰が思い付きますか?オリンピックの映像となるとただ走ったり、投げたり、戦ったりとそういうシーンだけ映すのかと思わせて、この始まり。そして、この作品、当時のオリンピックに関わった人達の熱い思いが映像として迫ってきます。東京オリンピックを見たことのない私でさえも、当時の躍動する選手達の息使いや地元開催のオリンピックにかける精神のようなものがひしひしと伝わる。いやはや、市川崑監督が一流の監督であり、映像作家であることの証明している見応え十分の記録映画を観た思いでいっぱいになりました。 【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-04 23:45:42) (良:1票) |
39.「民族の祭典」を越えていますよ。カラーになっているのもあるけど、美しさが際だつし、何と言ってもマラソンのアベベが黙々と走るシーンはゾクゾクします。 【オオカミ】さん 8点(2003-12-02 08:47:31) (良:1票) |
《改行表示》38.当時は中継があって、競技そのものに興味がある人は そちらを観ていたんだから、映画では別の撮り方をしなければ ならないのは分かる。でも これはあまりに芸術的に撮ることに寄り過ぎていて、時に面白みを損なっていると思う。 スポーツは それそのものが芸術であり、加工の必要は余りないと思う自分にとっては合わない内容だった。歴史的な知識を得られることだけが収穫。 【くろゆり】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-24 21:30:51) |
《改行表示》37. 日本にとって「破壊から再生へ」を象徴する五輪の映像化。各種競技を通じて筋肉の躍動に近づき、選手の表情や内面・心理に迫る。勝者だけでなく敗者にも視点を当て、裏方の仕事や観客なども捉えた人間讃歌。 東京五輪と言えば何といっても“黒い弾丸”ボブ・ヘイズ。彼の記録10秒フラットは覚えやすいこともあり、幼い子供の記憶にもしっかり残った。スピードを競う最たる競技の100m走を、逆説的にスローモーションで選手の内面まで迫る映像が秀逸。また、マラソンのアベベを捉えた映像はまさに“走る哲人”。余力を残して勝った姿が印象的。円谷とヒートリーのデッドヒートも忘れられない。 富士山山麓を聖火ランナーが走るシーンは日本での五輪を象徴する場面だが、再現映像と聴いて心に引っかかるものを感じた。かつて出演した広報番組の朝もや(実はスモーク)を連想したからだろう。ドキュメンタリーに大なり小なり演出はつきもので、再現によって真実を描く意図は理解するが“もやもや”気分は晴れない。 「芸術か記録か」論争に関心はないが、記録映画として必要最小限の演出、その加減が難しいのかな。 【風小僧】さん [映画館(邦画)] 6点(2020-08-02 10:44:40) |
36.中盤までずーーーーっと続くトラック競技でウンザリしてしまった…。 競技をブロック分けするのは当然なんだろうけど、それぞれの競技が持ち、市川崑が表現したかったであろう芸術性に偏りができてしまったように思う。また、その表現方法もスローモーションに頼りすぎではないか? 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-07-18 16:57:40) |
【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-09-23 17:09:17) |
|
《改行表示》34.普通に退屈だった。 映画として何がいいかわからない。 |
33.当時の東京の街並みや市民の様子もうかがえてよかった。トップアスリートの技術も、こうしてみるとちょっとずつ進化してきているのがよくわかる。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-07-06 17:58:37) |
32.宮川一夫の垂直なカメラワークは美しく着高い。ほとんど無音なのも素晴らしい。にも関わらず強い作家性を持つ描写。この歪なバランスが映画に狂気性を及ぼしているのはおもしろい。 【reitengo】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-04-20 19:50:55) |
31.ここでの高評価が、記録映画としてのデキの良さを表しているのか、記録映画以上の価値を見出しているのかわかりませんが、私にはごく普通の記録映画と映り、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-02-24 00:22:41) |
《改行表示》30.2014.01/01 2回目?鑑賞。「芸術か記録か」という大論争があったように記憶している。私には記録も一部あるが、ベースは肉体の美しさと感動をあらゆる角度から発信しているように感じた。素晴らしい映像に今回も感動した。 2016.08/26 3回目鑑賞。肉体の美しさ、強靭さ、しなやかさを通して人間・人間性が垣間見える感動作品。記録がもう少し映写としてあれば時代の流れ、変化が興味深く見れるのにちょっと残念。 【ご自由さん】さん [地上波(邦画)] 8点(2014-01-30 18:23:48) |
29.《ネタバレ》 マイナーな競技もきちんとカバーしているのが良い。選手のみならず、ボランティアスタッフの動きもきちんと捉えているのが良い。当時の日本人の服装、髪型、表情、ときには街中の風景も収められているのも興味深い。ああそれと、一番良かったのは、淡々と冷静に話しながらも、必要な情報は伝えており、無表情というわけでもなく感情もこもっている、アナウンサーの実況中継。ただ叫んだり大騒ぎしたりすることを盛り上げと勘違いしている人たちは、この作品を見て勉強し直すべきだ。あと、映像はいろいろ興味深いのだが、ドキュメンタリーである以上は、今映っている競技の開催日や場所なんかの基本的データもきちんと記しておいてほしかった。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-01-12 23:37:26) |
28.この作品が作られた意図や背景は無視して、49年後の後世の人間の視点ではイマイチという印象。期待としては当時の風俗文化や人間模様や物語にあったのだが、そういったシーンは少々垣間見えるものの、基本的には延々と競技シーンを見せられるだけで、結構退屈。熱気もほとんど伝わってこない。でも、よい意味で時代を感じさせる部分もあり、それなりに満足かな。 |
27.《ネタバレ》 馬鹿な大臣がいちゃもんつけたおかげで「記録か芸術か」と論争が起こったというのは有名なお話ですが、今の眼で見ればしごくまともでオーソドックスな印象さえ感じます。もっと前に『民族の祭典』をリーフェンシュタールが撮ってるのに、当時なぜそんな騒ぎになったのか不思議です。『民族の祭典』と比べれば平凡なもんですよ。それでも市川崑らしさを感じさせられるスタイリッシュなカットも随所に観られ、とくにあの女子80メートルハードルを正面から捉えたショットは、現在では当たり前の技法となっていますが当時は観客をびっくりさせたことでしょう。というわけで、映像に残された当時のオリンピック運営を観察したり日本人の反応を愉しめるのが本作の意義でしょう。■現在のオリンピックと比べると、思った以上に素朴な運営だったんだなとしみじみ思います。マラソンのとき、国立競技場の入口の柱に毛布が巻きつけてあるんです。なぜというと、選手が出入りするときにぶつかって怪我しない様にしてあるみたいです。開会式の晴天は有名ですが、イメージと違ってその後はけっこう雨が降った日が多かったみたいですね。雨天の走り幅跳びなんて、選手の足元は踏ん張ったら穴があくほどドロドロでした。そして見逃せないポイントは、「走る哲人」アベベ選手の力走が堪能できること。ストイックな風貌で、私はこれほど美しく走るマラソン・ランナーは観たことがありません。■実は手違いが怪我の功名になったというあの感動の閉会式の選手入場、今じゃこの「東京方式」がすっかりオリンピック閉会式のスタンダードとなっています。良く見ると選手たちがコスプレやパフォーマンスをしてて、ここだけもっとじっくり見せて欲しいぐらいです。昭和の日本人の精神に多大な影響を与えたもののひとつが、この閉会式が与えてくれた感動だったと思います。■64年のオリンピック招致が決まった時の首相は岸信介、56年後に再び東京オリンピックの招致が決まった時の首相が彼の孫というのは、不思議な因縁ですね(もっとも岸首相は招致には乗り気じゃなかったそうですが)。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-23 23:07:22) |
《改行表示》26.《ネタバレ》 そこら辺に普通にいるおっちゃん・おばちゃんたちの観戦の様子とか、マラソンの背景に映る東京の街の風景などはもちろん、(多分)農家の大きな日本家屋の横を通る自転車の列は、ほのぼのとさえしてしまう。さらに、富士山をバックにした聖火ランナーのシーンは、しみじみ美しい。外国人の観戦者が和傘をさしているのをみて、なにか嬉しくなってしまったりもした。 また、八年も前に「もはや戦後ではない」などと言われながら、まだ日本ではなかった沖縄に聖火を通し返還への強い意志を感じさたり、広島の平和記念公園を走らせたり、映画の結びの言葉で今大会を「作られた平和」と表現したりして、まだまだ戦争を引きずっている事も如実に覗える。 恐らくそうだからこその、(特に開会と閉会式での)実況アナのこの「平和の祭典」への熱狂ぶりが凄いのだろう。 「芸術か記録か」論争というのがどういうものだったか私は知らないが、この映画はまさしく東京オリンピックという催し物の、それを日本人がどう捉えたか、それを含めた当時の日本の記録として働いている。 ところで、砲丸投げの玉ってああやって返すのかとか、バレーコートの汗は選手が拭いてたのかとか、ゴール地点に審判が縦に並んで座るんだとか、色々な事をも教えられた。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-09-14 08:04:34) |
《改行表示》25.《ネタバレ》 記録映画って特に興味がないので仕方がないが、楽しくはなかった。 でも、あの場所?え?あそこ?へー。的なおもしろさはあった。 感受性の低さを思い知った。ちくしょう。 【黒猫クック】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-03-17 03:22:54) |