265.昭和のおもちゃ、レトロ家電、映画3丁目の夕日など、今「懐かしもの」ブームのようです。過去を振り返り「あの頃は良かった」と思いを馳せる。現実が厳しければ厳しいほどそれは心地よい行為です。現代人にとっては必要不可欠なのかもしれません。そして本作も「懐かしさ」がキーワードとなっています。登場する悪役は「古き良き昭和の時代」に世の中を戻そうと巧妙な手口を使って大人たちを誘惑します。心奪われるひろしやみさえ達大人。とうちゃんとかあちゃんを取り戻す、しんのすけ達のたたかいが始まります。昔を懐かしむことは決して悪いことだとは思いません。しかしそのベクトルが後ろを向いていることも忘れてはいけません。「昔は確かに良かったけれど、今だってそんなに悪くないよ」野原一家がそう教えてくれます。もしこの作品が実写だったら、気恥ずかしくて見ていられないかもしれません。「クレヨンしんちゃん」だからこそ素直に心に響いてくるような気がします。子供から大人までお勧めですが、これから親になる方(小さい子供をお持ちの方)には、何としても観ていただきたい、家族の絆に心打たれる傑作です。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-04-21 23:55:39) (良:4票) |
《改行表示》264.「あー、もうやってられねー、女房こどもがいなけりゃこんな会社ヤメちまうのによー!」「あー子供の頃に戻りてぇ~あの頃はよかったなぁ~」と毎日のように思っていたある日、居間のソファで幼い娘と息子と3人並んでテレビ放映されたこの映画を見ていた俺は、ひろしの回想シーンで号泣した。「父ちゃん、オラのこと分かる?」「ああ、ああ・・・」画面ではひろしが泣きながらしんのすけを抱き締めている。「パパなんで泣いてるの?」涙をダラダラ流している俺の顔をびっくりして見つめている子供達に、俺は何も言えずにただ「うんうん」とうなずくだけだった・・・。(レビューというより反省文だなこりゃ・・・。) 【幻覚@蛇プニョ】さん [地上波(邦画)] 10点(2004-06-16 23:57:52) (良:4票) |
263.冗談でも何でもなく、21世紀最大級の社会派ドラマだと思う。昨今の病的な昭和懐古ブームはひたすら「古き良き昭和」の部分ばかりを強調するが、当然いいことばかりがあったわけではないし、ケンの言うように全ての人が夢と希望に溢れ、心を持って生きていたとは限らない。「あの頃はよかった」なんて言って過去にすがるのは単なる甘えであり、我々は歯を食いしばってでも今を生きるしかないのだ。しんちゃんの最後の「ズルいぞ!」って台詞は、きっと全国のオトナ帝国予備軍に対する容赦ない「喝」だったのかもしれません。 【とかげ12号】さん [地上波(吹替)] 9点(2005-11-20 17:24:55) (良:3票) |
《改行表示》262.《ネタバレ》 涙、ただ涙。号泣したのは久しぶりです。大阪万博、拓郎の曲、夕焼けの街角、豆腐売りのラッパ、ほんの何十年か前の世界に強烈なノスタルジアを感じて、観ているこちらまで、ひろしと同じように染められていきます。でも、この映画の主題は「明日」。 ひろしには思い返すべき、個人の歴史があります。しかし、しんちゃんやひまわりにはこれからの歴史があります。明日を生きる歴史があります。過去を額縁に飾って見るのは、昨日にすがって生きているのと同じ。とても強く、たくましいメッセージで、その発信をしんちゃんにさせているところが、本当にうまいです。 塔のてっぺんまでひたすら走る、走る、走るその姿に、「がんばれ!」と涙声をかけては、必死になる何かを、捨ててはいけないんだと教えてもらっています。アニメとか実写とか、そんな垣根など、この作品の前では「無」に等しい。40代の人、必見です。 【映画小僧】さん 10点(2004-03-01 22:08:00) (良:3票) |
261.《ネタバレ》 「オトナ帝国の逆襲」または「さようなら、21世紀」。劇場版『クレしん』の中でも、傑作と名高い本作。中年男性諸氏の涙腺を直撃した「ひろしの回想シーン」はマジで号泣です!!クライマックスでしんちゃんが鼻血を垂らしながらタワーを駆け上るシーン→「ずるいぞ!」のキメ台詞まで、もう涙が止まりません。「ジブリがなんぼのもんじゃい!」とでも言いたげな、笑いと涙の波状攻撃。これぞアニメ史上の傑作。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-01-04 23:18:26) (良:2票) |
《改行表示》260.《ネタバレ》 本サイトにおける凄まじい高評価の中で誠に申し訳ないのだが…昭和の高度経済成長期ノスタルジーに訴える本作の作りに先ずスタッフのあざとい(しかも何処か冷笑的な)意図を感じてしまい、描写の芸が細かい分だけ妙に鼻についてどうにも素直に感情移入できなかった。お子様に飽き足らず親御さんをもメインターゲットに据えようと考えたのかどうか知らないが、そもそも本来の「クレしん」は子供アニメのはずだろう?本末転倒とは正にこのこと。何よりも「懐古」を未来に背を向けたマイナスイメージとする本作の語り口には全く同意しかねる。「本当に良いモノは幾星霜を経ようとノスタルジー云々抜きに時代を超えて普遍的な輝きを放つのだ!」と何故イエスタデイ・ワンスモアは主張しない??しんのすけに論破される程度の回帰願望レトロ趣味なら他者を巻き込むような大袈裟な計画なんか初めから立てるなよ!ただ、ケン役の津嘉山正種の抑制された声の演技(だけ)は良かった。彼の声に…5点。悪しからず。 【へちょちょ】さん [DVD(邦画)] 5点(2006-12-10 00:37:36) (良:2票) |
259.《ネタバレ》 まず最初に言っておきたいことがある。これだけはどうしても言わずにはいられない。世の中の大人達、PTAをはじめとする大人達に子供に一番見せたくないアニメに選ばれたこのアニメ、その映画の中でも最高の作品であるこの映画を見もせずにこれは駄目だと言うのは間違っている。この映画を見ればその考えは変わるはずである。たかがアニメ、クレヨンしんちゃんだからって侮るなかれ!この映画は野原しんのすけという一人の少年、しかも、五歳児の眼を通して仲間との友情、家族との絆の大切さ、未来へ向けてのメッセージ、その全てを笑いと涙で完璧に描き切っている所が凄いところである。前半の過去の思い出に帰ってしまっている大人達を何とかしたいと春日部防衛隊の仲間達、メンバー全員で力を合わせる姿、例のバスの運転シーンにおけるスピード感たっぷりのアクション、しんちゃんたちの頑張りに子供達は大喜びし、大人達も「頑張れ」と応援したくなる。後半の特にあの東京タワーの階段を歯を食い縛って駆け上るしんちゃん、最後にしんちゃんが「早く大人になって、お姉さんみたいな人といっぱいお付きあいしたいから」だから大人になりたいと願うその姿に涙なくして見れない。これは子供と大人のお互いの未来に向けての素晴らしいメッセージを持った感動作品である。文句なしの満点!この映画こそしんちゃんを毛嫌いしている大人達に見て欲しい。これを見れば何故、クレヨンしんちゃんがここまで愛されているのか解るはずです。 【青観】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-08-05 23:31:23) (良:2票) |
《改行表示》258.《ネタバレ》 かなりの高評価でテレビアニメの映画化の枠を超えた名作なのは事実で、 ファミリー映画としてのエンタメを確保しつつも芯を持ったメッセージ性を放ち、 その後のクレしん映画の方向性を決めたのは周知のとおり。 だからこそ、クレヨンしんちゃんでなければならない理由があまり感じられず、 今後の作品群に息苦しさを与えた罪な作品だと思っている。 ひろしの回想からしても、'60年代~'70年代を生きていないとなかなか共感しづらい。 (本作が2001年製作で35歳とすると1966年生まれ)。 それにずっと歳を取らないサザエさん時空を生きている野原家にとって、価値観をアップデートしていかないと、 本作のメッセージが20年後30年後の視聴者に響かない可能性もあるし、 元来のギャグアニメのキャラを使っているからこその中途半端さがある。 もっとも当時のスタッフはそこまで考えていなかったと思うが。 "古き良き昭和"については意図的に悪い部分を排除したある種のディストピアとして扱っており、 ここらへんは実写映画版『ALWAYS 三丁目の夕日』よりも誠実だろう。 とは言え、自分にはあまり記憶には残らない、どっちつかずの間口の狭い作品に感じてしまった。 あれから20年以上が経ち、令和の今も閉塞感あふれるトンネルの中を我々は走り続けている。 イエスタデイ・ワンスモアのケンとチャコは令和をどう見ているのだろうか? 【Cinecdocke】さん [地上波(邦画)] 5点(2023-08-15 01:12:43) (良:1票) |
257.《ネタバレ》 これは家族で鑑賞するのに絶妙なバランスを保っているのではないだろうか。子ども向けのアニメでありながら、一緒に観ている親の方が心を揺さぶられる。それでいて子どもも飽きさせない展開。昭和という特別な時代のなぜだか懐かしく感じる魅力がたくさん詰まった作品です。平成生まれや令和生まれでさいも昭和という時代は懐かしく感じるんじゃないかとさえ思わせる。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2022-01-17 23:35:41) (良:1票) |
《改行表示》256.最近この映画をベタ誉めする声を2回も聞き「そんなに!?」と気になり鑑賞。 昭和ノスタルジック感とか、クライマックスのシーンは悪くないと思う。 子供向けにも、大人向けにも作ってあるのは単純にすごいなとは思った。 ただ、それゆえにどっちつかずの中途半端になっているのも否めない。 それらを考慮したとしても、やっぱりアニメ映画の域は出ないなと。 手放しでベタ誉めするまではいかないな、というのが個人的感想。 期待のハードルを上げ過ぎたか。この肩透かし感を除けば6点くらいは付けられたかも。 ゲラゲラ笑ってる子供と一緒に観て、集中できてなかったのも原因のひとつか。 【愛野弾丸】さん [DVD(邦画)] 5点(2020-03-08 16:53:53) (良:1票) |
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255.この映画の何がすごいって、低年齢の子供が主な視聴者層の映画であるにも関わらず、登場する悪人の思想や目的が全然子供っぽくなく、むしろ大人になってからでないと理解できないようなものであるところだ。その上で子供でも楽しめるクレヨンしんちゃんならではの馬鹿らしさも同居していて、他の映画では味わえない独特の面白さと感動がある。ぜひこのスタンスを今後も続けてほしい。 【ばかぽん】さん [インターネット(字幕)] 8点(2019-11-24 06:46:37) (良:1票) |
254.《ネタバレ》 「三丁目の夕日」はある意味、20世紀博だったワケで。そう考えれば、とてつもなく価値の高い本作ではないでしょうか。 【なたね】さん [インターネット(邦画)] 9点(2017-04-24 21:18:06) (良:1票) |
《改行表示》253.《ネタバレ》 「いい映画」だと聞かされて見るのと知らないで見るのとではまるで違う。「傑作」などという評判を知ってしまうと、期待してしまう分だけ要求が高くなって「なーんだそんなに大したことはないじゃん」となりがちだ。クレシン映画は「ロボ父ちゃん」が出色の出来だったので、あれを上回るのは難しかろうと思って一時間ほど冷静に見ていたが、突然始まるあのヒロシの回想場面に完全に打ちのめされてしまった……。 これは確かに郷愁だ。ただ郷愁というと「過ぎ去った昔を懐かしむ」「あの頃はいい時代だったと思う」ことになると思うが、個人的には時代なんてものは付属物にすぎず、郷愁の本質は「過ぎ去った命を懐かしむ」ことであると思っている。ヒロシの回想をみても自分が生きた時代への懐かしさというよりも自分が生きてたきた命の歴史それ自体を振り返る印象が強い。 人生の中盤を越えた(要するに中年です)人間なら多く感じているだろうが、私も徐々にではあるがしかし確実に強まってくる「命の短さ」「人間のはかなさ」つまりは「命への愛着」というか、「自分から息子へ伝わっていく命」というか、とにかく若い時代には頭ではわかっていても現実味がなかった感覚、そこにこの映画は訴えかけてくる。 悪役(とは言い切れないが)も最後までしっかり悪役を演じており、他のクレシン映画みたいにおチャラけすぎて緊張感をぶち壊していない。最後もしんちゃんのギャグを織りまぜながら感動的に締めくくっている。 それにしてもクレシン映画に10点つけるとは思わなかった…。やられた。 ただ……お子さまには理解できないんじゃないかこれ(笑)。 まぁいい。子供はいつか、大人になる。 【空耳】さん [地上波(邦画)] 10点(2016-05-16 16:59:37) (良:1票) |
252.《ネタバレ》 『ALLWAYS 三丁目の夕日』の大ヒットを受け、昭和がブームになった。誰もが古き良き時代を懐かしみ、昭和を扱ったテレビ番組は好視聴率を記録し、展覧会などもさかんに開催された。私は思春期まっただ中にこの空気を体感し、昭和はそんなにいい時代だったのか、と思ったものだった。しかし、昭和には負の側面もたくさんあったのだ。戦後に絞っても、公害、冷戦、イデオロギーの暴走など、忘れてはならない事象がたくさんあった。しかし、昭和ブームはこれらを忘れさせ、架空の「昭和」に人々を誘った。オトナ帝国は2000年代中盤に実在したのだ。年々少年犯罪が増えているとコメンテーターは語った。しかし、戦前の少年犯罪は常軌を逸したものが多数あり、今よりもはるかに治安は悪かったのだ。郷愁は負の側面を忘れさせる。まさか子供向けアニメがこのことを題材にしていたとは知らなかった。どことなく「架空の懐かしさの雰囲気」をまとうスタジオジブリ作品への抵抗も込められていたのかもしれない。クレヨンしんちゃんらしいギャグの数々に笑い、ひろしが見た回想に泣いた。子供たちが抱く不安、無邪気な時代に帰りたいという大人の抑圧された願望の両方がわかる20代前半を生きる私だからこそ湧き上がる感情というものにすっかりやられてしまった。音楽もいいし、明言も多いし、素晴らしい映画だと思う。無性に「翳りゆく部屋」が聞きたくなった。 【カニばさみ】さん [インターネット(字幕)] 9点(2016-05-03 02:06:18) (良:1票) |
《改行表示》251.《ネタバレ》 拍手を送りたいくらいの傑作だった。 クレヨンしんちゃんの劇場版がふいに見たくなったので評価が高いものをレンタルしてみた。 クレしんの劇場版クオリティ高っ! TVアニメの劇場版によくある独特のつまらなさがほぼ皆無。 最近のテレビアニメのクレしんは見なくなってしまったけど、 たぶんアニメのクレしんの良さが生きているし、メッセージ性もある。 20世紀博の世界は僕の知らないノスタルジーな雰囲気だったけど、 それでもどことなく懐かしい気持ちがして、音楽がまた泣ける。 クレしんの劇場版の中では比較的大人向けな作品なのかも。 懐かしさのもつ魔性が見事に描かれる。 アニメクレしんを見なくなってしまった自分にとってもまたこのクレしん一家の姿は懐かしく、 懐かしさとは非常に居心地のいいものだなと思った。 いつまでも変わらぬままあり続ける姿と、年齢的に大人になった自分とで距離感があって、それが儚く感じるのかも。 また久々に「ダメダメのうた」を聴いたが、これがまた面白い名曲だった。 ひろしが自分を取り戻すまでの回想の場面がとても素敵だ。 タワーの階段を駆け上がるしんのすけの場面が名場面だ。 最後のは、しんちゃんの年齢からはとても発せられる言葉ではないとは思うが感動的だった。 しんちゃん映画としてのコメディあり、アクションあり、スリルあり、感動あり、紛れもない傑作だった。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-07-27 00:15:45) (良:1票) |
《改行表示》250.《ネタバレ》 かつて日本には高度経済成長という輝かしい時代があり、日本中が明日に希望を持って暮らしていて、そのころを過ごし、いまでは疲れた大人になった人たち。この映画はそんな人たちの涙腺を攻撃しまくっています。特に夕日町商店街の描写は素晴らしく、その時代を知らない人でも住みたいと思わせる描写です。その後も昔懐かしいネタで大人たちを懐かしがらせておいて、「過去を振り返るだけでは意味はない、昔がどれだけ素晴らしくても、未来を生きなければならい」というメッセージを送る。この上なく残酷です。実際この映画を観た当時中学生の自分は「昔に生まれればよかった」とうじうじ悩んでいたこともあるくらい。 そのメッセージよりを抜きにしても、感動したのが父親ひろしの存在。彼の回想シーンは全お父さんが涙する名シーンであり、終盤で「俺の人生はつまらなくなんかない!家族がいる幸せをあんたにも分けてやりたいぜ」という名言も生みました。そして何より彼は昔の輝かしい時代よりも家族を選んだ。日本中の父親の理想像、気持ちをひろしが代弁してくれたのです。 今の若い世代にはつらい映画かも知れないけど、未来へ生きる希望を描いたラストは是非観てほしい。満点! 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-07-13 18:18:50) (良:1票) |
249.《ネタバレ》 クレしん映画の中では「戦国大合戦」と並び高評価の今作。やっと観賞しました。着眼は面白いと思いましたが、消化不良という意見です。これは「三丁目の夕日」の世界に住みたいかという問いかけです。ほとんどの大人は昔を懐かしみます。現在と比較し、しがらみや責任に縛られておらず、誰かに守られていた時代の方が良く思えるのは人情でしょう。でも、思い出の世界に住むことを選択したらかなり短絡的で、絶対に喪失するものの方が大きいと思う。なので「現在」を取ったひろしやみさえの判断は特別なことと思わなかった。大人帝国を画策したケンとチャコの動機に興味があったんだけど、そこは描いてくれません。きっと何か理由があるはずなのに、これでは説得力に欠けます。思い出と言えるような記憶を持たない幼稚園児のしんのすけが、未来に生きたいと叫ぶのは当たり前で、家族愛と一緒くたに描いているのは少しズルイ。もう少し懐古の意味を掘り下げて欲しかった。私は宴席などで「あの頃は○○だった~」的な話をするのが好きなタイプなので、この映画はチクリと刺さります。でも、懐古趣味が批判されるとしたら、それは現実逃避と被るから。自分は、現在に生きる意思さえあれば、思い出は人生の厚みであり、懐古は悪でも醜でもないと思っております。それにしても、冒頭の大阪万博の描写はかなりツボでした。当時、あの地元に住んでいて、何度も会場に足を運んだ私は映ったパビリオンの固有名をほとんど覚えていた。子供の頃の記憶ってすごい。数十年後に私が老人という肩書きをもらっても、たぶん覚えているのだろう。その意味で、人は自然と思い出に住む部分が多くなるのかも知れないが、それはあくまで老人になってから。 【アンドレ・タカシ】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-05-03 11:07:49) (良:1票) |
248.《ネタバレ》 本筋と無関係なシーンが多くて、全体にバランスが悪いと思います。オープニングの万博シーン、バスのカーチェイス、鉄骨の上でのドタバタは、不要とは言わないまでも、長すぎでしょう。その時間分だけ、悪役側の背景を丁寧に見せて欲しかったです。子供の頃は遊んでばかりで楽しかったという感情と、昭和の風景との関連も、よく分かりません。幼稚園の先生たちの子供時代は、もうあの町の風景ではないですもんね。ラストの、しんちゃんが足にしがみつくシーンも、どこかで観たようなものでしかないので、ちょっとあざとい感じです。飛び降りようとするシーンも、なぜそこまで思いつめないといけないのか、説明不足で理解できないので、強引にまとめただけのようにしか見えません。ヒロシの足のにおいと、お疲れサラリーマンの回想シーンの流れだけ、うまいなあと思いましたから、4点。 【かねたたき】さん [地上波(邦画)] 4点(2009-12-19 16:30:02) (良:1票) |
《改行表示》247.《ネタバレ》 年代的にも共感できる要素が少なく、テレビ番組で前もって見所を知っていたのもあって、かなり冷静に鑑賞。なのに、不覚にも泣いてしまった。なんというか、ギャグとシリアスの緩急が上手いのですね。クレしんだけにくだらない部分は思いっきりくだらなくできるわけで、その点は卑怯というか、巧妙だなーと思いました。 衝撃的だったのは、計画が潰えた後に悪役の二人が自殺を図るエピソード。推理ものならともかく、低年齢向けでこんなのは珍しい。おまけにこの悪役がどうしてこんな事件を目論むに至ったのか、バックグラウンドがまったく描かれていない。尺の関係もあったのかもしれないが、大胆に余白を残したのは正解(ジャンプ系のやたらと回想を織り交ぜて語りまくる漫画には見習ってほしい)。 声優の貢献もあり、ケンとチャコは名キャラクターとなっている。敵役に存在感を持たせたことが作品を成功させた要因の一つでしょう。 【no one】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-07 12:23:26) (良:1票) |
《改行表示》246.《ネタバレ》 話としては良くできているし、子供も大人も楽しめる絶妙のバランスは素晴らしい。 だけど、私にはちと苦しかった。 家族の絆、家族の幸せ、これは人生の全てと言っていいほど大切なもの。 しかし、人生って色んな価値観があって然るべきもの。 それを家族の幸せ第一と決め付けた作品的背景、一元的価値観の決め付けが何とも評価しがたい。 ラストシーンで、彼ら二人には飛び降りて欲しかった。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-03-23 23:33:23) (笑:1票) |