80.《ネタバレ》 映像特典でアリ自身が出ていましたが、
相当スミスを気に入ってるみたいでした。
踊るようなステップやマシンガントークは明の演出で、
これは異存なくはまり役なのではなかろうか。
これをアリはよろこんで自宅に頻繁にスミスを招き、
俺の真似をしてくれみたいにセリフを喋らせたらしい(苦笑)
まさにアリお気に入りのアリのための自叙伝映画。
家族や女性はわりときれいな人らばかりで、
その逆に対戦相手はいかにも悪そうな(苦笑)
フォマン以外は扱いが寂しい。
ボクシング映画の魅力(観客から)としては、
○ハンデをものともせずに這い上がる
これはハンデ=トラウマがアフリカ系黒人で、
奴隷名が嫌でイスラムに改宗したことといっても、
対戦相手のほとんどが黒人なわけですから共感は薄い。
○ライバル
「ロッキー」が続編が多いほど人気なのはこれもあると思う。
この作品はフォマン以外はライバルとして魅力がない描かれ方。
よって本当の復活劇までが長く感じる。
○マーチ系の音楽
にしろとは言わないけれども、
全編中に流れるのがソウルミュージックばかり。
やはり黒人差別も根底にはあるのかも・・
観終えて明日の活力に繋がるような熱い映画ではなく、
内容は当時の歴史背景を知らなければ共感できかねます。
アリは結局黒人というアイデンテイに誇りを感じ、
黒人の頂点になろうとしてなった。
その背景にはやはり幼少時からのトラウマがあるわけです。
ここらに絞って最初と最後だけにしても理解はできますよ。
中版をかなり削ってドラマチックに演出できたのでは・・
アリ本人としてはやはりイスラム教のことや、
恋愛のことも描いてほしいから当然個人的なことになり長くなる。
ファイトシーンの演出がとてもよかっただけに残念。
アナウンサー役のジョン・ボイドは変装と思うくらい気づかなかった。
あとユダヤ教のブラザーは暗く淡々とした内容にコミカルさを与えている。
ひとりの人生(半生)を描く難しさは「アビエイター」でもありました。
ここまで長く人生を描くならば後半のアリに、
特殊メイクをしてもっと老けらせてもよかったのでは・・