《改行表示》90.《ネタバレ》 不良高校生の群像劇。一人一人のエピソードは、シュールに、過激に、そしてばかばかしく描かれます。 ハッピーなストーリーなんてほとんどなくて、リアルだけど非日常な世界が淡々と描かれます。 メインはやはり九條と青木のエピソードでしょう。不良世界のヒエラルキーにまったく興味のない九條。不良世界の価値観にどっぷり浸っている青木。九條は青木と全く違う世界を見ているのに、九條に見下されていると勘違いしてまう青木の悲劇。本当は青木が九條と同じ目線に立ちたいと思っている以上に、最初から九條は青木を誰よりも必要としていたのに。 そしてもう一つ衝撃的なエピソードが雪男と大田。トイレの個室に、今にもはちきれんばかりに充満していく雪男のストレス。鬱屈した負の感情は、ついに雪男という器では収まらず暴力となって諸悪の根源を断とうとする。このシーンの描写は言葉を失うほど凄まじいものがあります。 『学校』という閉鎖的な社会で生きる未熟な若者達。彼らの生きる世界はあまりに狭い。そこでのルール、人間関係がすべてだと思ってしまう危うさがあります。つまりは、『不良』にカテゴライズされても、あくまで『普通』であった青木や雪男がああなってしまったように、閉ざされた世界では誰しもがああなってしまう危険性をはらんでいることを示唆しているように感じます。 対照的なのが野球部の木村。同じ閉鎖された『学校』という空間の『不良社会』に生きていながら、いつも対外に目が向いている人物。非常に健全な視野を持っています。そして九條は、花田先生との交流を通して、少しずつ高校卒業後の世界へ目を向け始めているのが、なんとなく雰囲気で伝わってきます。 つまりは、あまりにも経験値が足りない学生達にとって、世界を広げるには教育、そして教育者の責任や存在というのは極めて重要なファクターなのかもしれません。それに比してこの映画に出てくる教育者、授業っていうのは、とても弱弱しくて儚げで頼りないのが何とも皮肉です。 最後に、個人的な感想を述べますと、好きな作品ではありません。 面白いとは思いますが。 【たきたて】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-02-14 21:34:58) (良:1票) |
《改行表示》89.《ネタバレ》 将来への不安、不安定な自我、危ういバランスの友達関係、ガキの粋がりや暴力性、精神的な未熟さ故の純粋な面、そんな時期を良く描き出した作品だと思います。 まさに青い春。 屋上の手摺の肝試しというか根性試し。見てるだけで怖くて冷や冷やします。 絶対誰か死ぬんでしょ、でも死なないで、と思いながら見てたら、青木があんなことして。 もういいよ、青木、やめろよ、九條だって、同じ高校生だよ。それほど何も考えてないよ。だからやめろ、って見ながら思わず言ってました。 青木の気持ちが切なくて泣きました。 暴力描写やヒリヒリした感じのシーンが多い中、マメ山田の花田先生のシーンは癒されました。 不良でも真面目でも、青い春を過ごした人なら、胃の辺りにズンとくる作品だと思います。 【nanapino】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-11-19 23:59:29) (良:1票) |
88.《ネタバレ》 “親友であるためには対等でなくてはならない”青木はそう思ったのでしょう。でも九條と自分では格が違いました。見ている世界が違うのです。それが悲しかったし、許せなかったのだと感じました。同じ世界を共有するために彼がしたこと。髪形も変えました。悪もやってみました。でも足掻けば足掻くほど、あいつとの違いに打ちのめされます。九條と肩を並べるための最後の、そして唯一の方法が、あの“結末”だったのだと思います。夜通し身動ぎもせずに考え抜いて決意したこと。九條より多く手を叩くことに意味はありません。九條と同じ境地「今ここで終わっていい」に辿り着かなければ意味がありません。青木は覚悟の自殺を遂げたのだと思います。絶対に彼は間違っています。親友の意味も履き違えています。でもそんな風に間違えてしまう青春も確かにあります。マメ山田先生は言いました。「花は咲くためにある」「枯れてもまた咲けばいい」でもそれは、根っこが生きていればこそ。根こそぎ摘んでしまった芽は、決して花をつける事はありません。青木の青春は無様で最低でした。ただし個人的には、汗と涙の爽やかな青春像より、こちらの方が百倍しっくりきます。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-03-07 18:51:31) (良:1票) |
《改行表示》87.《ネタバレ》 何というか、この虚ろな男子校の空気、そしてミッシェルガンエレファント・・・・。もう、男子校でロック漬け(聴くだけでしたけど)だった自分にとってはたまらない映画ですね。何か、昔の自分を見るようなシーンもあったりしてちょっと「イタタタタ・・・・」という部分もありましたが(不良とは縁はありませんでしたけどね)。まあ、高校時代は松田優作が大好きだったし、九條みたいな冷めた感じを狙っていたんで(あまり周囲には気づかれなかったようですが・・・)、何か思いっきり作品の中に入りこめましたね。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-20 19:00:26) (笑:1票) |
《改行表示》86.おとなしい中にも、たま~に父の松田優作のような男らしさを感じさせる松田龍平の演技は、見ていて”ドキッ”とさせられた。さらに、その演技を食ってしまいそうな自然でありながらも、えらい存在感を放っている新井浩文は凄いなァ。屋上の手すりに一晩掴まったままのシーンは有名なので前にもそのシーンだけは見たことはあったのだが、改めて物語りの流れの中で見ると違った思いが出てきましたね。話の方も、私自身、荒れた高校に通い、どちらかと言うと荒れた生徒側の頭の悪い人間だったので共感できるところ多々あった。ただ、個人的にラストはちょっと残念に思えた。あれで九條と青木の関係が絶たれてしまうのが悲しい。二人が仲間割れしてから、ああなるまでの展開がちょっと短すぎて強引な気がしたんですけど、あのラスト。<<ココから先はどうでもいい話です>>個人的には、途中出てきた個性的なデザインのバイクで学校に乗り込んできた他校の生徒たち(ファルコン学園?あれってなんだったんでしょう?)と青木が大乱闘。数で劣る青木たち三人がピンチのところに九條が助けに来て大逆転。ファルコンなんたらの生徒たちがうずくまる中、青木と九條が仲直りしてめでたし、めでたし・・・と、こんなんだったら良かったなァと思ってみる。しかし、これでは「ビーバップ・ハイスクール」とあんまり変わらないか。 【カズゥー柔術】さん 7点(2004-11-26 12:24:42) (良:1票) |
《改行表示》85.《ネタバレ》 "青春"という言葉は、漠としてつかみどころのない、あの年齢でしか認識する事が出来ない言葉だと思う。高校を卒業して数年経って「あの頃は青春してたな」と思い出す時の"青春"は、実際に10代の僕が感じた"青春"とは異なっているだろう。あの時感じていた感情を、僕はいま「自分を認めてくれない社会への不満と将来の不安」と言葉にするけど、たぶんそんなに簡単に言い表せる言葉でもない。その時は確実に感じていた、けれどもはっきりと言い表せない、それが青春だと思っている。そんな"青春"の空気を見事に映像化したのがこの映画。冒頭の度胸試しから観客を虜にし、九條と青木を中心として話が進む。このメインキャストにおける起承転結に、木村・吉村のエピソードをクロスさせ、最初は爽やかですらあったシーンは気付けば"青春"という鬱屈に塗りつぶされている。だんだん暗くなってゆく展開の中で、九條が一人妖しく光る。繊細さと凶暴さ、それが美しさのなかで龍平が一段と映える。最後のクライマックスに鳴り続けるギターは、青木の存在まで切り裂く。 観終って、僕が初めてミッシェルのCDを買った日のことを思い出した。ミッシェルを聴かなくなった時、僕の青春は終わったのかもしれない。 【fero】さん 9点(2003-11-04 01:44:21) (良:1票) |
【いずみ】さん 9点(2003-03-02 09:45:11) (良:1票) |
83.ずーと 気になってた作品..高評を目にし 鑑賞..いや~~ぁ 久々に “勘違い映画” を観てしまった..原作 松本大洋 ね~.. 時間のムダだった... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 0点(2022-11-13 13:20:22) |
82.九條がミスキャスト。同じ訳の分からない雰囲気でも、これは原作の方が良かった。 【noji】さん [インターネット(邦画)] 4点(2019-11-06 23:23:57) |
《改行表示》81.至ってノーマルな高校時代を過ごしたので、こういった不良をデフォルメしたような作品は全く理解できません。 高校時代にこんな環境を経験した人というのは、現実ではかなり少数派なのではないでしょうか。 私には美談にできそうな要素が一つも見当たりませんでしたし、こういった連中は早めに摘み取っておいた方が世の中のためでだと思います。 「周りに迷惑をかけないようにする」ことを、ガキのうちにきちんと叩き込まなかった親の責任も大きいと思います。。。 【マー君】さん [DVD(邦画)] 2点(2016-07-18 12:48:37) |
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《改行表示》80.《ネタバレ》 度胸試しのベランダゲームが見ているだけで肝が冷える。 度胸試しといっても九条のような生への執着がない無気力な人間が一番強い。 青木にとりつく黒い影に共感できなかったので、映画自体はいまいちピンと来ない。 同級生を刺殺する雪男、甲子園の夢破れてヤクザになる木村、覚悟の転落死を決行する青木。 青春というにもあまりに青すぎて愚かで痛々しい。 不良男子高の雰囲気はよく出ていて、音楽にも合っていた。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2013-07-18 22:40:38) |
79.これは青春ではなく青い春なのであって、これは青いという形容詞がついた春であって青春という一語ではない。花は散るからこそ美しいとは本当だろうか、花が咲かない植物は存在するのだろうか、花とは何なのであろうか。さまざまな問題提起を含むようであるが、結局のところこれは青木の物語であるように思われる。彼の行動が真に愚かであると言い切ることができないような、そんな躊躇を覚えさせる彼の生き様を描いたのがこの映画である。青木の生き様を見よ。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-06-29 23:52:47) |
78.青木と九條が離れ離れになるとき、九條はなぜ無視したのだろうか?青木と長い付き合いなら、こういう結末になるのはわかっていただろうに。 【ny】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-03-13 15:03:31) |
77.原作も知らず正直何が言いたいかとかよく分からないけれど、ところどころのイタイ部分が心地よくなんとなく青春を感じさせてくれる映画でした。ラストは爆笑しましたが。 【なこちん】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-12-18 02:19:19) |
76.原作の松本大洋は知る人ぞ知るといった作家性なので、おそらく好きな人が見ればはまるのだろうけど、イマイチよく分からない作品だった。不良高校でみんなが暴れている中、すました態度の俺は実は裏番長なんだぜ。格好良いだろうって話なのかな。 【コック】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-03-01 06:30:37) |
75.まず、やっぱり松本大洋の漫画は漫画だから良いのであって、映画にしてもしょうがない気がします。ストーリーはあってないようなもので、適当な暴力描写とあざといまでのミッシェルの曲での演出で、センスの良い映画のようにつくられてますが、なんかスカスカですね。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-01-23 18:16:19) |
74.《ネタバレ》 不良達の青春映画かと思っていたので最後は大乱闘なのか?と思いながら見てみると、実際は「屋上での根性試し」がメイン。根性試しをメインに据えて進むストーリー展開が巧みだと思った。原作は短編漫画集であり映画の流れとは全くの別物、原作では飛行機のシーンとか実際あんな使われ方をしていない、それを原作でこんなシーンがあったのかな?と思わせるほど松本大洋の雰囲気を残しつつ、音楽や映像などプラスαの要素を追加し、さらに良い物になっている。もっと単純な話、わかりやすいメッセージ性にしていたら一般の評価も高くなっていそうなだけに惜しいが、そうすると松本大洋ではなくなってしまうのか・・・。 【六爺】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-07-16 21:34:13) |
73.痛みと無感動の入り混じった日常。映像も音楽もかっこよかった。もう少し長くしてもよかったと思う。 |
72.《ネタバレ》 上手いんだか、下手なんだか分からない演技をする松田くんに、ビックリw 独特の存在感があるなぁ。映画自体は、ある意味普通の青春映画です。まぁ、結末とかに、希望を見出せないのが、ちと辛いけど・・・。 【瑞鶴】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-02-16 22:05:46) |
71.どーも松田龍平みると気持ち悪くなる。演技もうまいとは思えない。青木役はいいと思う。作品全体としては雰囲気も悪くないしラストはショッキングで良かった気がします。 |