《改行表示》198.《ネタバレ》 なんか違う。 映画そのものも明らかに違うんだけど、ここのレビューを見てても論点がピンと来ない。これって、考えながら読む「小説」と、目の前の映像をひたすら受け入れなければならない「映画」との決定的な差なのかもしれない。ここでは(他のレビュアーの方々の目の向け先が変わってくれる事を祈りつつ)原作を元に後半の展開を再整理してみます。 表面上は恋愛が主軸になる後半部ですが、本来強調されるべき面はアンドリューの「人類への奉仕」です。ただ一体で医学と工学の限界に挑み、人間の寿命を倍にまで伸ばしてしまった彼の行動は、「人間になりたい」というピノキオ願望に端を発しているワケです。ワケですが結果的には人類社会へ貢献し、人造物としてはおよそスーパークラスの奉仕をしている。恋愛的な側面は原作にはないのです。最終段階の彼は、世界最強の実業家であり、およそ望んで手に入らないモノはなく、不老不死で、多くの人から尊敬され、人格者でさえある(映画ではけっこう省略されてますが)。それでも彼は言わざるを得ない。真摯に、ジェントルに、だが不退転の態度で「私を人間にして下さい」と…。 結局この物語って地球規模の『アンクル・トムの小屋』なワケですが、アンドリューというキャラが、人類を凌駕する巨大な存在にまで成長し、成熟する所がミソなんですね。どれだけ富や知識や人徳や寿命を持っていても手に入れる事ができない、とてもとてもとても大事なものが、人間ひとりひとりの中に存在している。生まれながら人間である事はそれだけ重要なんだってコトですな。 アメリカ流に言えば、それが市民権というコトです。 アメリカ建国200年に際して発表されたこの物語は、もちろん愛の物語なんかではなく、黒人が奴隷から市民になるまでの歴史を綴ったアシモフのロボット物の集大成なのです。 ラストでガラテアがポーシャの生命維持装置を切るシーンは原作にはないのですが、素晴らしかった。ロボット3原則に違反しているのを明白に理解している。彼女の犯した間違いが、あのシーンの中では間違いと言い切れない深さを持って響いてきます。なぜならそこに、アンドリューの萌芽が見えるから…。 あの終幕を入れたいがために余計なキャラやエピソードを突っ込んだのだとすれば、罪は深いがそれなりに意義はあったのかも。今は減点せざるを得ないですが、いずれ10点にまで届くかもしれません。 【エスねこ】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-03-21 17:32:09) (良:4票) |
197.《ネタバレ》 SFオンチの監督の手に渡ったのがお気の毒としか言いようのない作品。エスねこさんが詳しくレビューされていますが、本来これはほんまもんのSF作品。作り物が人間よりも人間らしくなった時、ホンモノとニセモノの境界はどこへ行くのか?というSF定番の問いかけを軸に、その境界の真っ只中に立たされるアンドリューの苦悩が感動的かつ哲学的に描かれる…はずの作品だったのですが、SFとしてはあまりに雑な仕上がりのためおいしいところはほとんどスルー、ロボットと人間が結婚して良いおじいちゃんとおばあちゃんになりましたという志の低い作品に終わっています。アンドリューと人間社会のつながりが本作最大のテーマと言えますが、肝心の社会風俗の描写があまりに杜撰なのです。彼らの世界ではロボットはどの程度普及しているのか(マーティン家は金持ちだったが、金持ちしか持てないものなのか?)、何の目的で家庭で使用されているのか(あのドン臭いデザインでは邪魔なだけにしか見えない)という極々基本の部分すらよくわからない状態。中盤より彼は自分で収入を得るようになりますが、どこが評価されて彼の商品が売れたのか、そしてあの世界でロボットが収入を得ることがどれほど例外的なことなのかがわかりません。勝手に進化をはじめたアンドリューに対する人々のリアクションも不自然で、彼が人間とタメ口を聞くようになろうが、マイホームを持ち服を着るようになろうが、金属からロビン・ウィリアムズの顔に変わろうが「あぁそうなんだ」程度で普通に受け入れられてしまうのは、作品のテーマとそぐわないのでは?人間になろうとするアンドリューと、その進化についていけない人間社会との軋轢こそが本作の主題だったはずなのに、200年があまりに順調すぎたと思います。ロボットとの愛情を育むこととなるポーシャにまるで葛藤がないのも不自然。ロボットと愛し合い、おまけにセックスまでするという人類史上誰も経験のないことをやってしまう女性なのに、普通の結婚とさして変わりのない様子。社会もふたりの結婚を素直に認めちゃってるし。どうしてここまでSF要素を切り取ってしまったのかと、不思議で仕方ありません。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 4点(2008-10-06 01:17:45) (良:3票) |
196.ダメです。ロビン・ウィリアムズが人間に近づくに連れてやたらにイヤな奴になっていくし、妙にセックスを強調する辺りも好きになれませんでした。設定そのものは面白いし、訴えるテーマも興味深いのですが、ストーリーに一貫性を感じられません。たとえば根本に当たる「ロボット三原則」を最初に掲げておきながら、どうもその後のアンドリューにそれを裏切る行動が多くなるのが気になりました。もちろん窓から落ちた影響でおかしくなったということも考えられるでしょうが、あれだけ目立つ形で最初に出したものをすぐ直後に簡単に裏切っていく演出は納得できませんでした。また、ああいう形で略奪愛を正当化することは個人的にイヤですし、嫌悪感すら感じるものです。それを美化しすぎる演出も腹立たしく感じました。特撮技術は見事なものだと思いますが、それだけの印象です。犬が迷い込んでくるという象徴的事件も、その後活かされないままですし、アンドリューを改造する技術者も個性が生かされないまま消えてしまうし、そもそもサム・ニールこそもっといろいろとやって欲しかったです。そういう意味で、あらゆる事件・役者が消化不足のまま終わった映画という印象です。 【オオカミ】さん 5点(2003-04-10 23:35:39) (良:2票) |
195.父と母、姉と妹のアンドリューに対する接し方の違いなど、前半は細やかに丁寧に描き大変良い。人間とロボットの主従関係がやがて友との関係へと発展していく様は、ほのぼのとして感動がにじみ出る。それに比べ後半は時間の都合か、展開が早すぎてああしてこうなったと筋書きを追うだけになってしまうのが実に残念。ロビン・ウィリアムスの演技は役柄にぴったりで申し分ないが、私が大好きなのは子ども時代のリトルミス、目に入れても痛くないとはこんなものを言うのだろう。前半8から9点に対し、後半は5から6点、中をとると7点というところ。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-15 05:57:39) (良:1票) |
194.前半はなかなか引き付けられた。しかし、後半に人間らしくなってからは、もう人間にしか見えなくて白けた。 【doctor T】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-12-18 22:47:31) (良:1票) |
《改行表示》193.《ネタバレ》 なかなか面白い。アシモフファンならもう少しだけいろいろ楽しめると思う。 原案がアシモフのロボットモノなだけあり、設定にどっしりとした安定感がある。これが不思議な印象を引き出しているんじゃないだろうか。純粋な映画的設定であればむやみに二転三転したあげく、サスペンス的な要素まで入ってくるんだろうけど、ロボットの立ち位置がずれない。SF映画なのになんつう違和感か。 そういところも意外性高く楽しめたけどしかし、映画なんだからもうちょっと移り変わりの表現は何とかならなかったのか。なんかテレビムービーっぽい印象がある。突然ハイ変わりました的な直球表現にも妙な違和感を感じた。 妙に素っ気なく、テーマは大きい。この感覚は何だろうかとおもうとアシモフだ。それも早川文庫の翻訳版。万が一この妙な味わいが意図的に作られたものだとすると心憎いとも思える。未読作品の原書を読んでみたくなる。 【黒猫クック】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-03-21 13:55:54) (良:1票) |
192.う~ん、難しいネタを映画にしたと思う。なんせ子供受けがいいクリス・コロンバスが大人向けの映画に仕上げたもんだからまた評価が難しい。ロボット役がロビン・ウィリアムズなので無難だなぁ・な感じがしたし200年という時間を2時間ちょいで。人間にあこがれる時間が少し短い?けどこれ以上長く見たくもないという気持ちにも襲われて見終わった後はなんか変な気分になっちゃいました。中盤あたりのロビンの顔を作るシーンでロボットの顔を解剖したシーン、あれは軽いホラーだな(笑) 【M・R・サイケデリコン】さん [地上波(吹替)] 5点(2010-03-10 01:42:33) (良:1票) |
191.このSFピノキオ的テーマが多いせいか、些か飽きた感じがする。ロビン・ウィリアムスの演技が悪いわけではないが、なんとも人間にしか見えない点で観る気が消失して行ったのも事実である。 【円軌道の幅】さん [DVD(字幕)] 2点(2010-02-27 00:54:28) (良:1票) |
《改行表示》190.いい意味で鑑賞時間を長く感じることができた映画。濃密。 ストーリーも分かりやすい。 壮大なお話。 【Yu】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-07-31 01:36:47) (良:1票) |
《改行表示》189.本当にいい映画。 ものすごくわかり易くて素直に感情移入できる。 構成とか脚本の良し悪しの判断は僕にはできません。 趣味趣向の違いはあると思いますが、 この作品の示唆する部分を全否定するような人間に 僕はなりたくないです。 【megring777】さん [DVD(吹替)] 9点(2009-05-24 17:17:19) (良:1票) |
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【eureka】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2008-03-02 01:50:06) (良:1票) |
187.《ネタバレ》 ふとした事から人間と同じ感情を持つようになったロボットが人間になりたいように願う。別に悪くはないが、この雄ロボットはどんどん変態になっていくようにしか見えない。キスやセックスまでしたくなる。そして人間の女性と結婚して70歳になってもセックスしてるのはさすがに頂けない。それと、すぐ時間が流れてしまうとどうも取り残された感じもするし、その間何があったのかとか気になってしまう。良い映画だとは思わなかった。 【TOSHI】さん [地上波(吹替)] 3点(2006-08-31 19:50:28) (良:1票) |
186.《ネタバレ》 古来人造人間は人間になることを渇望する人形として描かれるが、アンドリューも例外ではない。人間はロボットに憧れられるのが大好きなのだ。冒頭「われはロボット」のロビーのようであった彼が徐々に人間化していく過程はとても興味深い。でも途中から歯車が狂いはじめ、凝り固まった価値観に支配され、宗教じみた倫理さえ植えつけられてしまいそうになり辟易する。(A.I.同様少々しつこい!)人間様に人間様と裁判で認めてもらうことがそんなにも大事だろうか?それよりも大切なものはすでに得ているのに。 【レイン】さん [映画館(字幕)] 5点(2006-01-15 16:12:07) (良:1票) |
《改行表示》185.《ネタバレ》 リトルミスが死ぬ間際、彼女が最後まで愛してたのがアンドリューだったって知った時に号泣。 でも残念ながらそれがこの映画の自分の中でのピーク。 【SOS】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-10-31 08:52:02) (良:1票) |
184.人間になりたいロボットの感情を描いた深い作品。でもアンドリューは顔がロビンになる前よりもその前のロボットフェイス時代のほうが性格も含めて良かったような気がする。人間化した後はなんかワガママが目立っていたし・・・まあ、それが人間臭さを表していたのかもしれないけど。 【ライヒマン】さん 6点(2004-09-04 21:30:39) (良:1票) |
183.うーん、ここまで長くしないでもなあ。アンドリューにはリトルミスと幸せになってほしかったです。 【トナカイ】さん 5点(2004-06-26 19:35:44) (良:1票) |
182.話の展開がはやすぎてダメでした。ロビン・ウィリアムスのロボットぶりは悪くなかったのに、もっとじっくり見せてほしかったなあ。特に後半は、ほとんど味わう余裕のないスカスカの話に感じてしまった。 【ころりさん】さん 4点(2004-04-13 09:35:21) (良:1票) |
【ぽめ】さん 3点(2004-01-25 12:56:20) (笑:1票) |
180.まるで、猿から人間への進化過程を一気に見せられたぐらいの目紛しいさ。パパさんこと、リチャード・マーティン(サム・ニール)から4代先まで話が及ぶとは思わなかった…。200年は長い…長い(苦)。しかも、躍起になってバージョンアップし捲るアンドリューに恐怖感さえ覚える。何が“人間らしさ”で、何がそうじゃないのか…。人間らしさと言う事は、機械か肉体かの問題じゃないハズ。それは日本アニメでも散々扱って来た永遠のテーマ。人間に近付くには…で、結果に肉体を求めてしまうのは逃げ口上にしか見えん。人間かそうじゃないかでは無く、人間らしさとは一体どういう事なのか…。ここにもっと時間をかけて描いて欲しかった。ロボットが感情を持った時点でそれが“人間”…コレでいいじゃないか。個人的には、アンドリューがロビン・ウィリアムスになった時点で興醒め…(寒)。更に、人間と性行為が出来るようにと更なるバージョンアップ…キモチ悪い! 【_】さん 4点(2003-10-30 20:59:12) (良:1票) |
179.アンドリュー、荒野を一人旅するシーンなんかはなかなかものの哀れを覚えたのですが・・・あまりにもゴージャスなグレードアップをするもんで、すっかり見た目人間になっちゃいましたね。ロボットらしさを残していたほうが、むしろ感動的だったと思うのに、ああなっちゃかえって感情移入できません。最後は逆切れとしか思えない。要するに、凄腕なのはあの髭のおっさんだということが良く理解できた。 |