14.《ネタバレ》 ~Anastasia~ロマノフ王朝最後の大公女の名前。
それを『追想=過去を思い出すこと』なんて邦題にしてしまったのは勿体無い。アナスタシア。神秘的で格調高いタイトルだったのに…
「赤毛だったら良かったのにな」「なかなか上手いじゃないか」大金目当てに下地がそれっぽい偽物を探し、本物に仕立て上げる。
作る側も最初からアンナを偽物として見ている。頭の良いアンナは教えた以上の知識を披露したりする。
人にタバコを注意しておいて、裏ではタバコをプカプカ。ポール公とシャンパンを泥酔するまで飲むなんて、いかにも偽物臭い。
マリア皇太后の存在感、迫力と気品がよく描かれている。見る側もアンナは偽物として観ているため、面会の緊張感が凄まじい。
「一族の名を気安く口にしないで、偽物!」たくさん偽物を見せられてきた皇太后の、うんざりした気持ちが良く出ていた。
皇太后は咳から彼女を本物だと認めるが、一言「でもあなたでないとしても、私には言わないで」老い先短い皇太后の本心だろう。
記者会見で病院の隣室の者が現れて、偽物疑惑が再浮上。ドレスのままアンナはタバコをプカプカ。
※色々調べるとニコライ2世にタバコを吸わされるアナスタシアの写真が見つかる。「あ、本物も吸うんだ」って思った。
リーベンバウム夫人「舞踏会場を御覧ください、昔に戻ったみたいですわ」無関心なマリア皇太后「防虫剤が臭うわ」
最初の面会と違って、アンナにおばあ様として話すマリア「結婚相手はポールでいいの?」
「私たちは過去と一緒に朽ちるけど、未来はあなたのものなのよ」それを受け、マリアに何かを耳打ちするアンナ。
説明や経緯をすっ飛ばして駆け落ちしてしまうアンナとボーニン。
ポールの「皆になんて説明を?」に「“芝居は終わった、帰りましょう”と」と答える皇太后。
ロマノフ朝の亡霊たちが踊る舞踏会場に掛かる“THE END”の文字。
神秘的なアナスタシア生存説。
高級なお菓子の箱に描いてそうな美しい生前の写真。次々現れる自称アナスタシア(偽物)。
オープニングで石の壁にロマノフ王朝の紋章の影。真っ赤な“Anastasia”の文字は、彼女が銃殺されたことを大前提としている。
この映画は『もし本物のアナスタシアが生きていたなら、きっとこうしただろう。』として描かれた作品だと思う。
財産には手を付けず、無粋な恋愛描写も抜きに、将軍と忽然と消える。とても神秘的で美しい終わり方。
だからタイトルは、ロマノフ王朝最後の大公女の名前『アナスタシア』だったのに…