《改行表示》135.これは優れたサスペンス映画。 農薬散布飛行機から攻撃されるシーンや、ラシュモア山での逃走劇などアクションシーンも見応えがあるが、主人公とヒロインの駆け引きが面白く、とくに前半の列車でのやりとりには時間を忘れて魅了された。 途中から登場人物も増えてストーリーがちょっとややこしくはなるが、さすがにヒッチコックの名作だけあってハラハラ何が起こるのか分からない展開なのは素晴らしい。6点に近い7点献上。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-11-10 17:58:29) |
《改行表示》134.死ぬまでに名作をみておけ、ということでヒッチコックを見ています。皆さん、ハズレを引きたくなければヒッチコックを選んでおけば基本的には大体どれも面白く、さすがヒッチコックといった抜群の安定感です。 本作「北北西に進路を取れ」(North by Northwest)ですが、まずタイトルがやたらとカッコいい。調べてみるとこの表記の仕方は存在しない方位を示しているそうで、Wikipediaによると、北北西は「North-NorthWest(NNW)」が正しいようです。存在しない方位を示してあるのもまた余計にカッコいいです。またアカデミー脚本賞、編集賞、美術賞にノミネートされているだけあって、脚本が非常によく出来ていて最初から最後までずっと面白いまま突っ走ります。特に後半に向けてサスペンス色が深まる飛行機爆破のペーシングシーンは本当に印象深くて素敵なシーンでした。 ただ、ツッコミ所は色々と多めです。普通の広告マンだった主人公ロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)はいつも冷静沈着で、なぜか毎回うまくピンチを脱します。マザコンでバツ2の広告マンにしてはちょっと度胸がありすぎるし、とにかく落ち着いていて貫禄がありすぎます。また美しいイヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)も、もとは普通の人だったと語られますが、まるで峰不二子ばりの本格スパイを地で行っています。26才でこの落ち着きはちょっと異常なくらいだし、ストーリー上、タウンゼント(フィリップ・ヴァンダム)についていく気満々だったようですが、それほど惚れているようにも見えません。結果的に終始よくわからないキャラを貫いていて、まさに峰不二子を地で行っていて少々不自然でした。 007シリーズに多大な影響を及ぼしたといわれますが、ホントにその通りだと感じました。初期のボンド作品よりずっと007なのが軽く笑っちゃうくらいです。粗はあるものの倒叙システムもよく効いていますし、結果的に面白ければ問題ないと言わしめるくらい脚本がよく出来ています。ちゅっちゅウフフで反転ハッピーエンドラストも本当に素敵でした。まあ文句なしでしょう!(ちなみに本作の監督カメオ出演は油断してると見逃がしますよ、私も見逃しました) 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-10-29 00:01:41) |
《改行表示》133.《ネタバレ》 ヒッチコック作品のなかでは一番好きかもしれない。ダイヤルⅯも良かったですが、好みで言えばこちらが上。当時の都会の様子なんかがわかるのも楽しい。なんだかんだ言って、やはり潤沢な予算で撮られた映画ってスケールが大きくて良いもんです。これぞ映画って感じです。 オープニングの拉致シーンはあまりに強引でしたが、『ああ、これはコメディなんだ』とわりきって見る良いきっかけになりました。 ロジャー・ソーンヒルが、最初のほうこそオバカさんでしたが、途中からかっこよく見えだして良いキャラでした。 そしてヒロインのイヴ・ケンドール。この人がとっても素敵。『あ、やっぱりバンダムの愛人だったんかい』っていうのは残念ポイントではありますが。それ以外はパーフェクト。人生最大のピンチで味方が誰もいないときに、あんな美女が助けてくれるなんて夢のようです。 一般人だったイヴを都合が良いからとスパイにしたてあげてたわけですが、素人があんなに上手く立ち回れるなんてご都合と言えなくもない。ロジャーも途中からスーパーマン化して、ロッククライミングみたいなことまでやりだしたときにゃあ笑っちゃいました。 本物のタウンゼントはなぜ殺されたのかなど、不明瞭な点が放置されたまま。最近の映画に見慣れていると、決して完成度が高いとは言えないかもしれません。 ただ、ラストに崖のシーンから列車のなかへジャンプするシーンなど、もしかすると今、映画やテレビ業界で当たり前のように使われている手法の先駆者はヒッチコックだったのかも。そー考えると、やっぱ偉大な監督さんですよねー。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-08-18 02:43:34) (良:1票) |
《改行表示》132.2バツの広告マン・ソーンヒルがしぶとい。 最後は女への執念だが、素人がここまでよくやったと褒め称えるべき。 「北北西」実際の方位で無くとも大冒険を予感させる印象的なタイトル。 ただね。脚本は靡かない。殺すチャンスは幾度とあるが尺を長くしてややこしくしてるだけ。 勘違いサスペンスのおもしろさと古さが表裏一体になっているようなかんじ。 |
《改行表示》131.超久しぶりに再見。しかしラストのラシュモア山のシーン以外、ほとんど忘れていたので初見に近い感じ。だいたいスパイものというのは、その設定上、話が込み入りがちで、ちょっとでもセリフを聞き逃すと面倒くさいことになります。この作品も例外ではありません。というか元祖的な存在でしょうか。 しかし音楽はいい感じ。いかにも緊張感を煽るようで、ピッタリ合っていたように思います。 そして何より、マーティン・ランドーがいい。「スパイ大作戦」におけるローランもそうですが、いかにも頭がキレそうでクールな役がよく似合います。そしてけっしてボスにはなれず、参謀役なんですよね。同じスパイものでも、単純明快&大胆不敵&荒唐無稽なこちらのほうが私は好みです。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-07-05 01:44:17) |
《改行表示》130.《ネタバレ》 ~North by Northwest~…北北西じゃないんだよ。北の大都市ニューヨークからイリノイ州、サウスダコタ州と、どんどん北西へ移動しているので、『北部から北西部に向かって移動しますよ。』的な?ノースウエスト航空がスポンサーだから説は面白い。 オープニングの緑バックと白線がビルに変わる画。国連ビルから逃げるロジャーをビルの上から撮る画。だだっ広い農道で帽子の男と向かい合うロジャー。印象的なカットが結構ある。 ちょっとしか出てこないロジャーのお母さん。50ドルのお小遣いでホテルの鍵を取りに行くとことか、殺し屋相手にエレベーター中を笑いに包むなんて素敵だ。再び殺し屋が来た時、お母さんが使った“笑いを起こして目立てば逃げられる”を、オークション会場で実践するのも親子らしくて良い。このお母さんの活躍をもっと見たかった。 旅のさなかに出会う美女ケンドールの大人の落ち着き。特にマッチの火に手を添えるところがセクシー。 最後の舞台がラシュモア山、観光地ものの2時間サスペンスっぽい。今回久しぶりに見て、こんなにラシュモア山のシーン長かったっけ?って思った。 この映画で観光地としての魅力は出し切った感があるせいか、ラシュモア山が舞台の映画はしばらく無かったと思う。 落ちそうなケンドールの手を掴むロジャーの唸り声が、急に優しい声と笑顔に変わるエンディングが印象深くて好き。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 7点(2021-06-24 23:13:20) (良:1票) |
《改行表示》129.《ネタバレ》 ストーリーテリングにご都合主義もあるが、見せ場を随所に用意して手に汗握るスリルの連続が良い。ハラハラドキドキながらラブストーリーに重きを置いた、監督お得意の巻き込まれ型サスペンス。ラブシーンは相変わらずうまい。 列車、飛行機、オークション会場等、舞台を転々として展開する中、広大な平原のバス停で一人ポツンと待つ主人公が印象深い。 ランドマーク(ホワイトハウス、国連ビル、ラシュモア山)を巧みに採り入れサービス精神満点。ラストのラシュモア山から列車シーンへの画面転換がお見事。 ジョージ・カプランの謎やスパイ団の緩慢さ等、演出の不満をヒッチ先生に言っても「たかがマクガフィンじゃないか」とケムに巻かれそう。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-13 20:24:58) |
128.《ネタバレ》 期待が高すぎたですね。物語開始すぐに主人公が事件に巻き込まれ、その後もあちこち動き回ってイベント盛り沢山!なはずなんですが、微妙~に間がある、敵も主人公を本気で殺したいのか疑われるレベルでモタモタしてるので、観ている方もダレてきてしまう。何だか悪い意味で昔の作品だなと感じた次第です。 【次郎丸三郎】さん [DVD(字幕)] 5点(2021-03-17 23:30:58) |
《改行表示》127.随分昔に確かに観たことがある。 その時はたいして面白いと思わなかった記憶がある。 改めて今見てみるとラシュモア山のシーン、セスナの襲撃、 オークション会場での騒ぎ、どれも工夫があり良く作られていると思う。 でもなんかテンポ良く進まない感じがは、 時代のせいか、私に余裕がないせいなのか。 ケイリー・グラントがおじさんすぎて イヴとの恋愛表現がいまいち受け入れがたいのは マイナスポイント。 【プエルトガレラ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2020-10-10 17:39:43) |
126.最初は主人公の思考回路と発想がさっぱり理解できなかったのですが、再見して分かりました。ヒッチコックは、真剣度ゼロの弩級のコメディを作りたかったのですね。主人公の行動は何から何までギャグですし、間抜けとしかいいようのない天然ボケの敵方が輪をかけてくれます。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-01-30 00:22:27) |
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125.《ネタバレ》 素人とは思えないほど、ソーンヒルはよくがんばった。 【チェブ大王】さん [地上波(字幕)] 6点(2019-10-29 15:46:38) |
124.平穏な生活から突如、信じられない目に遭う非日常的さが面白い。アルコールで記憶をなくさせられる。360度何もないところに放って置かれる等はいつまでも記憶に残っているので、やはり上手い演出でドキドキさせられたのだろう。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-09-08 22:22:21) |
《改行表示》123.《ネタバレ》 昔テレビ放送で観たときは、なかなか面白い映画だな、と思った。ヒッチコックがサスペンスの神様と呼ばれる一端を垣間見た 文字通り最大の山場・ラシュモア山のモニュメント上で展開されるクライマックスは格別。映画史に残る名シーンだ そして歳月は流れ、今改めてブルーレイを購入して観てみると、なんか、違う。 これじゃない。こんな、間延びした、トロい映画じゃなかった。ノーカットか。ノーカットだと、こんなに退屈な映画に変り果てるのか。 もちろん、自分が最初に観たのがカットされまくったテレビ放送版だったがゆえに、そちらを尊く感じてしまっているだけなのだろう テレビ版のサクサク進む感じを念頭に置きながらオリジナルのノーカット版をみれば、そりゃ間延びもするよね。 通常の映画なら、カットしてあってもそんなに違うもんじゃないけど、この映画は長尺な為原型をとどめないほどに切られまくったのだ そして復活したシーンは悪い意味で、ヒッチコックっぽいんだよなこれが。長ったらしいセリフの掛け合いでやたらに睦言と皮肉を浴びせあうの。 これなら切ったほうがよっぽどいいよと思えちゃうんだもの。 ひとつ、腑に落ちない点を挙げておく。物語中盤でキャプランというスパイは実体のないことが教授らの会話から明かされるが、 だったらなぜソーンヒルがキャプランと間違えられたのか、理由が不明瞭なまま、物語は進行して結局最後になってもそれは解らずじまいなのだ。 なぜなんの秘密もない一般男性をスパイと睨んだのか、きっかけがわからない。ヒッチコックの「知りすぎていた男」でも指摘したが 巻き込まれ型ミステリーで事件の発端となるいきさつを省略されると、非常にもやっとするのだ。 大事なところだろうに、ヒッチコックにとってはどうでもいいことなのだろう。監督の作品にはよくある現象だが、その部分は自分には合わない 【うまシネマ】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2019-09-07 10:14:39) (良:3票) |
122.《ネタバレ》 約6年ぶり2度目観賞。アルフレッド・ヒッチコック監督代表作の一つ。人違いの誘拐から思わぬ騒動に巻き込まれるミステリー・ツアー。ダマし合いの応酬、ひねりと仕掛け満載。平原ではセスナに追っかけ回されちまう。終盤は緊迫の顔岩下り。滑り落ちそうなヒロインを片腕一本でつなぎとめるケイリー・グラント、映画史に残る名シーンです。落ちる、落ちる…。バスに乗り遅れる男として監督本人も冒頭に登場。良作。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-06-16 22:33:48) |
121.《ネタバレ》 巻き込まれ型サスペンスの傑作。田畑の中で急に現れるセスナとの追っかけっこ。ドキドキする。列車内のアクション。ハラハラする。そして、最後の奇跡のショット。ラシュモア山から寝台への奇跡のジャンプショット。素晴らしい。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 10点(2019-01-30 22:40:50) |
《改行表示》120.《ネタバレ》 初見。以前からこの日に鑑賞を予定していた本作。ジェームズ・メイソンが振り撒く悪のオーラに浸り切りたい! ケーリー・グラントを手玉にとって最後は華を持たせて滅び行くお姿に身悶えるで! 満を持しての鑑賞でした。 エレガントで親玉としての威厳はあるけれど怖さが足りない。そして何と言ってもエバ・マリー・セイントに本気で惚れているところが求めたものと違っていました。ただ、その胸中があからさまでなく滲み出る表現は天下一品、唯一無二。また、マーティン・ランドーを殴りつける件(プラス1点)に親分子分以上の共依存関係を感じとれました。 ラシュモア山でジェームズ・メイソンがケーリー・グラントの手を踏み躙るシーンが観れなかったのにガックリしているところへ放たれた捨て台詞。「そりゃあ、ないわ、何ちゅう演出ですねん、ヒッチさん」 微妙というか物足りなさで歯痒く別の意味で身悶えました。 ジェームズ・メイソン以外では、タイトルバック及び音楽の鋭い切れ味が印象深く、トータルで判断して娯楽作品の一級品と言えます。 |
119.《ネタバレ》 サスペンス職人ヒッチコックの脂ののりきった題材。「三十九夜」からヒッチコックが繰り返し創ってきた巻き込まれ型の観光サスペンスである。この時代から流行り出した007などのスパイ物と見比べても、こっちの方がユーモアも演出もまだまだ分がある。また列車の中のキスシーンは、上品でかつ目が釘付けである。「汚名」における映画史上もっとも長いキスシーンなど場数をこなしてきたヒッチコックならではの一流のラブシーンだ。この映画の演出で、宮崎駿の「カリオストロの城」を思い起こさせる場面がいくつかある。女性が油断ならぬ存在と思った時のケーリーグラントの抱きしめるのをためらうシーンは、クラリスを抱けないルパンのラストシーンだし、別荘をよじのぼったり、ラッシュモアでの崖同然のよじ登りシーンも宮崎ルパンの目玉シーンだ。きっと宮崎監督も影響受けてたに違いない。それにしてもこの頃のヒッチコックの名作連発ぶりはスゴイ。「めまい」「サイコ」「鳥」とあらゆるサスペンスの古典を一気に創り出してる。新しいメディアは生まれると、すぐ可能性をあらゆる角度や方向でためされて、完成されてしまう。ラッシュモアなど他の映画で使われてもいい名所だが、もうヒッチコックは使ってる。もっともここはアメリカ民主主義の象徴みたいなところなので、こんな暴力シーンに使われることにかなり色々言われたらしいけど・・。何でもヒッチコックはあの大統領の顔の鼻の部分でケーリグラントにくしゃみさせたかったらしい。いたずらっ子らしいヒッチならではの着想だ。実現しなかったけど(笑) 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2017-08-05 13:33:30) |
《改行表示》118.《ネタバレ》 展開が早く緊張の連続でまったく飽きさせない、「三十九夜」のアメリカ版とも言うべきスパイ映画の傑作。 今見ても面白いヒッチコックの高いアクション性は見れば見るほどその面白さにハマる。 カッコイイOP、交差する線、ビルに映る車、人の群、バスに乗り損ねるヒッチコック、エレベーターから降りてくる人々、仕事の話、タクシーによる移動は「めまい」のジリジリとした追跡のスリルを思い出す。 5分を過ぎたところでケイリーを睨み付ける謎の男たちの登場、勘違い野郎ども、早回しによるスリルの倍増は「裏窓」のクライマックスから受け継がれる、当然ドアは開かない、謎の屋敷、見張り、身に覚えのない「罪状」が襲い掛かる恐怖、油断したところに恐怖が襲い掛かるスリルがヒッチコック映画の魅力。 眠らされて起きたら車が猛スピードで走ってて死にかけるとか(スクリーン・プロセスによる見え見えの合成なのが残念)、ふと横を向いたら飛行機がつっこんで来て殺されかけるとか、勝手に殺人犯にされたり、スパイにされたり、列車で謎のワケあり美女に出会ったり行く先々でトラブルが待ち受ける。 暗闇、崖、波しぶき、うつろな眼で暗闇を走り続ける、追突事故、撮られてしまった写真、警察、殺し、スパイ、二重三重に追われる、寝台、サングラスはかけててもあまり効果がないので砕け散る。 何もない平地、通り過ぎる車、砂埃、画面に奔る緊張、いつ何処から何が来るのか解らない恐怖が不気味な唸り声をあげて襲い掛かる! 安全地帯を探して走る走る走る、頭を抱えてやり過ごさねばならない、もうもうと吐き出される煙、トラックのオッサン涙目、野次馬は男の逃走手段を路上に止めに来る。 暗闇に映るかすかな明かり、たった一人で乗り込む緊張、音、銃、像、登る、血、ハンカチ、マッチに託すメッセージ、影、思わぬ「鏡」、出来る家政婦、銃撃! 閉所の緊張から断崖におけるスリルへ、巨大な像の群、小さな閃光の揺らめき、叫び、踏みにじられる手、人の命、断崖から“旅立ち”への生還! 最後まで気が抜けなかったぜ。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 08:20:34) |
《改行表示》117.《ネタバレ》 敵方のスパイと勘違いされて殺されそうになる、ヒッチコック得意の巻き込まれ型サスペンス。 二重スパイのヒロインとのロマンスが華を添える。 結局、国家機密の内容は最後まで明らかにはならない。 架空スパイというのも、わかったようなわからないような設定。 カプランが架空の人物だということがバレれば潜入して敵の近くにいるスパイが怪しまれて殺させるというのも、なんだかこじつけのような。 ヒッチコックのいうマクガフィンに関する基本姿勢で、そこはサスペンスに導く口実だけで具体的な描写は必要ないとのことなんだろうけど、いまひとつピンとこなくて食い足りない。 それでも、後にお手本になるようなしっかりした構成で、惹きつけられるものはある。 ナイフを引き抜いた場面を目撃されての殺人嫌疑、列車での逃亡とロマンス、飛行機での襲撃、空砲のトリックなど、次から次へと見せ場があって飽きさせない。 敵が迫って逃げられない状況で、セリをわざと妨害して警察を呼ばせたのはうまい手だった。 絶体絶命の危機の連続を間一髪で切り抜けていくのはサスペンスの王道。 印象に残るシーンが多いのは、見せ方が巧みだから。 クライマックスとなる巨大オブジェでの逃走劇は、インパクトも見応えもある。 崖から引き上げるシーンが寝台車に飛ぶラストは、オシャレなオチでニンマリ。 ケイリー・グラント演じる主人公には、それほど好感を持てない。 タクシーに平気で横入りしたり、バツ2で妻に逃げられていたり、どうもろくでもない男の臭いがする。 愛する女を命をかけて助け出したのはカッコいいのだけれど、燃え盛った恋の炎が冷めればまた愛想を尽かされるのが目に見えるよう。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-12-29 20:27:27) (良:1票) |
116.ヒッチコック作品の中では結構面白い映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-23 17:08:15) |