62.《ネタバレ》 人形が心を持つというのはありふれたファンタジーだけど、ダッチワイフというのがおもしろい。
ペ・ドゥナは外国人なのに日本の映画に主役で抜擢されるだけのことはある。
他の映画で見て注目するようになったが、全然違う役どころをこなしていたので演技の幅も広いようだ。
キュートで演技もできて存在感がある上に、脱ぎっぷりもよく肝が据わっている。
それだけ揃うのは日本の女優でも限られてくるので、オファーも回ってきたのだろう。
日本人女優で見たかった気もするが、これを同等に演じることのできる女優がオファーを受けるとも思えない。
役柄も多少カタコトのほうが都合がいいし、キャスティングがどんぴしゃでハマった。
心を持ったばかりの無垢な子供のような姿が愛おしくなる。
レンタルショップの男との哀しい恋の顛末が切なすぎる。
心に空洞のある人たちに人形の吹き込む息が風に乗って広がっていくのが救い。
ヌードシーンは結構出てくるけど、艶かしいエロさというより清楚な感じさえする。
男がベッドで何度も空気を抜いたり入れたりした理由は、もう少しわかりやすい形でサジェスチョンしたほうがいいとは思った。
裏にある物語を見せないと、見る人によってはただの変態的行為に受け取られかねない。
また、ラストで過食症の女の「きれい」のひと言は、意図はわかるんだけど違和感あり。
細かく見ればいろいろ粗も出てくるが、ファンタジーであるということと、空気人形の存在感が優ってあまり気にならなかった。