128.《ネタバレ》 「ワルド・レンジ」は延々とグダグダやってラストの銃撃戦だけ凄い(それも長々ダラダラ)だったが、この映画はフツーに良い作品だったでは無いか。
今まで「真昼の決闘」だの「シェーン」だの「大いなる西部」といった西部劇で期待を裏切られてきたが、この作品は上映時間が長い代わりにそれらの映画よりも遥かに素晴らしいものを味わえた。
かつてジョン・フォードがインディアンに原語で喋らせようとした夢を叶えた演出。
ラオール・ウォルシュの「ビッグ・トレイル」や「遠い太鼓」「遠い喇叭」、シドニー・ポラックの「インディアン狩り」以上に深く切り込んだインディアンと白人の関係の描写。
とにかく澄み切った美しい映像…ケビン・コスナーを誤解していた。
西部劇としても、ラブストーリーとしても、戦争の虚しさを描いた作品としても見れる。
白人とインディアンのバッファローの狩り方の違いが印象深い。
異文化だからといって争い合う必要なんて無い。
自分には無い物からこそ人は学ばなければならない。ちょっと説教臭い話もあったけど、こういう事がいかに大切かを思い出させてくれる。
主人公はアメリカ社会に染まりきれず、インディアンとの共存も中途半端に終わってしまった一匹狼。
だが現実の狼は一匹では生きられない。
狼も群れなければ厳しき自然を生き残れないのである。
主人公は狼と共に生きて来た。
彼の共存本能は狼と共に始まっていたのだ。
しかし結局主人公はどちらにも染まりきれず、愛する人と雪山の中へと消えていく。彼らはどうなったのだろうか。
「西部開拓史」のように山間のインディアンと交流を結んだのか、それとも・・・彼らの行方は誰も知らない。
これ本当にコスナーの作品?
コスナー“さん”と呼んでもいいですか?この作品だけ?
そしてこの後のコスナーさんはどうしてコスナー(失望)になってしまったのか。
とにかくコスナー敬遠している奴は絶対見とけ!