7.テーマが「性的虐待」「悪魔教団がらみ」とくれば、興味を持つ人は多そう。
そこへ「実在の事件」とアピールしたら、作品の出来とは関係なく、そりゃあ興行的にはそこそこ成功するんじゃないか。
しっかりと取材したドキュメンタリーじゃないんだったら、実際の事件にインスパイアされて制作しよーとしまいと作品の出来不出来とは関係ないんだから、いちいち持ち出すのは止めてほしいな。
それにしても主役の刑事、どこかで見た顔だと思ったらイーサン・ホークだった。年取ったなぁ。
彼は、悪魔教団の存在を信じて調べていくうちにどんどん心理的に追い詰められていくのだが、なんでそんなに追い詰められていくのかが、さっぱりわからなかったです。
彼が受けた実際の被害って、無言電話だけじゃん。なにをそんなにビビッているのか。
実は神の存在を信じているから、ひっくり返って悪魔も信じているんだろう。だから頭っから疑わず、悪魔教団の存在も信じちゃうんだろう。それで「組織に狙われる!」と被害妄想に陥ったのかもしれない…が、タフネス刑事のくせに、ココロ弱すぎだろう。
単純すぎて、頭っから被害者の言うこと丸飲みしちゃうしね。
同僚が被疑者になったら、それもすぐ信じちゃう。ヒドイ…。まぁマッチョな刑事だから、可憐な美少女が泣いて助けを求めてくるのを、加害者だと疑ってかかるのは難しいのかな。しかし刑事のくせに…と思ってしまうのだが。
確かに現実には、そんな単純な手に引っかかるか???と、思う人ほど、引っかかっちゃうんだろうなぁ。オレオレ詐欺の電話が実際にかかってきたら引っかかっちゃうみたいに。
しかしつまらなかった。
虐待は本当だったのか、教団は本当に存在するのか、どちらが本当かわからない謎をミステリアスに描くこともできたはずなのに、主役の刑事さんのビビった妄想夢や仲間内の喧嘩ばかり披露されて、いまいちストーリーが盛り上がらなかったです。
ラストも、大して衝撃的でもないし。
最後にもっともらしく、催眠療法については現在こういわれている…とか字幕で出されるのも、カウンセリングが一般に流布されていない日本では、はあそうですが、という感じでしょう。
大きく振りかぶった割にはヒョロヒョロ球でした、という作品でした。残念。