《改行表示》15.《ネタバレ》 ラジオ・パーソナリティがリスナーと延々と議論を繰り広げる映画と聞いて、限定状況下での話とは面白そうだな!と思い軽い気持ちで鑑賞したのですが、予想の遥かに上を行く恐ろしい映画でした。 主人公のバリーはあるジレンマを抱えている。全国ネットで自分の番組を持つことはパーソナリティーにとって非常に大きなステータス、しかし彼の信念は"何でも言える番組"だ。大企業がバックに付いたからといって、放送内容に規制が入ることを彼は頑として拒否する。 しかしその自由奔放なトーク内容によって育ち上がったのは端的に言うと極右思想だ。「ユダヤ人虐殺はでっち上げだ」「ユダヤ人は首吊りにしてやる」「白人のカネがよそ者(移民)の助成金に使われるのは我慢ならん」「ホモは地獄に行け」「言うことを聞かないガキはベルトでメッタ打ちにする」「近所に住む移民が気持ち悪い」etc...聞くに堪えない戯言が毎日の様に彼のラジオには電話でかかってくる。 物語の主張が明確になってくるのは、ケントがゲストとしてスタジオに登場してからだ。バリーは彼に「今日のテーマはアメリカついてだ」と言い様々な話題を振るが、如何にも80年代のノー天気なロックに嵌っている風貌のケントはちゃらんぽらんな回答を繰り返す。その後、他のリスナーに話を振っても返ってっくる言葉は「あんたイカスぜ!」「大ファンなのよ!」等、バリーが求めるリスナーの姿からは程遠い。彼の番組はリスナーと同様に計らずとも空虚な存在に成り下がっていた。この時のバリーの絶望感といったら筆舌に尽くし難い。ラジオとは言え表現の発信者としてこれ程打ちのめされる展開も中々ないだろう。 その度にバリーは彼等に同様の汚い言葉を浴びせかけ、罵り、糾弾する。最後のメッセージは「お前等は何者でもない。考える脳味噌もなく、権力もなく、未来もなく、希望もない!何もない!」という台詞だ。頭にあるのは気に食わない人間を見つけ、執着し、攻撃し続ける事だけ。最終的には対象の命を狙う。しかもこれはデンバーで実際に起きた殺人事件を元にしているらしい。何と恐ろしい話だろう。 違う意見を持つ者を攻撃し続ける不特定多数の悪意を描いた傑作です。観終わってからフト気づいた。「あれ?これ今の日本じゃね?」 【民朗】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-01-29 00:28:50) (良:1票) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 社会派映画の傑作ですね。 目に見えない相手との討論の恐ろしさを実感できます。 複数のメッセージを同時に発信しているような映画なので、観る人によって大きく印象が変わるでしょう。 DJバリー個人に注目すると、孤独を恐れる人ほど、わざと自分を孤独に追いやってしまうことがあるというのがよくわかります。 バリーはおそらく普通の人でしょう。 普通にトークを楽しみ、自分を表現することをただ楽しみたい人です。また、好きな人のことを大切にしたいし、自分も大切にされたいと、普通の人なら誰もが抱く感情を彼も持っています。 ですが劇中でバリーは全く逆の行動をとり続け、自分自身を追い詰めていきます。まるで本当の自分をさらけ出すことを恐れるかのように。ですが、バリーが自分を偽ろうとしても、時折一部のリスナーからバリーという人間を見破られる質問がとんできます。 核心をつく質問にはいつも返答までに間ができてしまうバリー。 人間の心理のパラドックスを見事に表現した作品だと思います。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-04-20 04:35:37) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 中盤までは、DJバリーとリスナーとのやりとりが面白かったが、ジャンキー少年をスタジオに入れた辺りからつまらなくなった気がする。ラストも納得できなかった。 |
《改行表示》12.《ネタバレ》 DJが2時間毒舌マシンガントークを続けるだけの映画と言ってしまえばそれだけなのだが、不思議と飽きさせられない。 やっぱり終始口げんか≒戦争だし、ところどころに出てくる脅し、リスクみたいなものも大きいのかな。 匿名性とメディアのありよう、怖いもの見たさの聴衆と視聴率に従ってウケる番組を作るシステム、そしてお偉さん、みたいなメディアがらみの問題をいろいろと考えさせられる。逆にいえばどうとでも読めるともいえるが。 まあ特異な映画ですね。そしてこれだけ売れてしまった今のオリバー・ストーンにはこんな映画は作れないだろうなぁ。 【θ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-07-10 13:41:25) |
11.《ネタバレ》 描写しようとしている対象はなかなか興味深いし、最初から最後まで喋りっぱなしのテンションも凄いと思うが、それってトークが凄いだけであって、必ずしも映画としての表現が凄いこととイコールではないのですね。特に、後半は登場人物の動きがあまりなくて、舞台劇のようになってしまったのがちょっと残念です。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-07-05 02:27:03) |
《改行表示》10.虫唾が走るほど嫌いな監督だけどこの作品だけは別。 ガマガエルが口から出るわ出るわ。(笑) 【mimi】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-05-28 00:16:53) |
【バムセ】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-01-14 19:47:16) |
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8.オリヴァー・ストーンって監督はほんと凄い。どこまで社会批判をした映画を作れてどこまで毒舌な映画を作れるんだろうか。自分で出した毒で最後は自滅するという皮肉な結果でみんな表では思いっきり文句やら批判やら言っても心ではそんなこと全然思ってない、今のネットの世界と一緒っていうのもなんか皮肉。エリック・ボゴシアンに何かが乗り移ったかのような雰囲気は見もの。ストーン映画が思う存分発揮されてました。 |
7.オリバーストーンは嫌いだが、この作品は好き。ネットがらみの嫌な事件が頻発する昨今だが、それを予言したような映画だ。 【ひろみつ】さん 9点(2004-07-23 23:22:47) |
6.《ネタバレ》 毒毒毒毒、今回のオリバー・ストーン、DJの喋りに乗せて、何かに憑りつかれたように毒を吐きまくる。 情け容赦の無い主人公DJの毒は毒をあおり、スピーカーの向こうの暗闇から正体不明の毒がゾンビの如く次から次へと噴き出してくる。 毒は毒を呼びスタジオは飽和状態となる。 そして毒によって導き出されたDJの本音も空しくスタジオに響き、それもまた正体の無い毒によって断ち切られる。 ラストのスタッフとリスナーのコメント群には、DJがしのぎを削った相手とは実はこんなもんだったんですよというタネ明かしと、「無意識」と言う名のベールをまとったお前らこそがこの世の猛毒なのだと言うシニカルなメッセージを感じた。 なんか尾崎っぽいか。 でもこんな映画二度と作れまい。 傑作。 【Beretta】さん 9点(2004-03-03 00:05:00) (良:1票) |
5.こ、これはすごい。口は災いのもとと言うが、、、、。匿名だから、顔知らないから、だからやれて、だから怖い、、、、。この映画のテーマは、、、今の時代に言える事、、、、かなり考えさせにれた。 【あろえりーな】さん 9点(2003-07-14 22:53:14) |
4.小作でもちゃんと毒入りで、適度に痺れさせてくれるオリヴァー・ストーン作品。ほぼラジオスタジオ内でのシーンだが、終始緊張感があり最後まで飽きさせない。見所は<エリック・ボゴシアン>演じる主人公の過激トークだが、それとは対照的に主人公の人間性を冷静に描き、しっかり見せる演出はやはり凄い。 【クロマス】さん 8点(2003-03-16 23:11:30) |
3.好きです。もう少し、良い点付けたかったんだけど、昔見たから、良さを少し忘れちゃったの。。でも、強烈なカメラワークで迫る感じは忘れられません。そそ。狂った人の映画って、いいですね~ 【とーる】さん 8点(2003-02-02 05:47:48) |
2.低予算で地味な感じは否めないが良く出来た作品だと思う。言葉は自分の感情や考え方を伝える便利な手段だが、相手の受け止め方によっては怒りや悲しみを生じさせる怖さを秘めているというのがこの映画のテーマだろう。監督はあのオリバー・ストーンだが緊張感のある演出でうまくまとめている、さすがだ。 【眼力王】さん 7点(2002-02-12 04:50:54) |
1.オリバー・ストーンの力作だと思う。日本でもこの様な形式のラジオ番組はあるけど、ここまで過激じゃないです。徹底的に憎まれ役をやり続け、聴衆からは非難の嵐。人間の狂気の一端を垣間見る事が出来たと思える作品でした。 【奥州亭三景】さん 9点(2001-09-04 18:40:55) |