《改行表示》86.《ネタバレ》 評価が難しい。 アブノーマルな視点で変態的なんだけど、人間の裏の日常が漂う空気感。 ソダーバークが描く「セックス」はスローな人間ドラマだ。 言うほど官能的ではないこと、あまり興味がそそられないこと。自分の感想はこの2点であった。 |
85.《ネタバレ》 これを撮ったときソダーバーグ26歳ですか、26歳の若造が撮る映画じゃないですね、いろんな意味でね。このまま舞台劇にできそうな登場人物ほぼ四人だけの濃密な演技合戦。“セックス”“嘘”“ビデオテープ”とはこの映画の主旋律を構成する三要素だけど、ひとつ大事なモチーフが抜けていますね。それを加えればこの映画は『セックスと嘘とビデオテープと精神分析』というのが題名としては相応しいんじゃないかな、ちょっと字余り的な心地悪さは否めませんけどね(笑)。ファーストシーンからしてセラピーを受けるアンディ・マクダウェルだし、まるでキンゼイ博士みたいに女性が性について語るビデオ映像を集めるのが趣味のジェームズ・スペイダーだって、そのインタビュー自体がセラピーみたいなもんでしょ。ラストで攻守逆転、マクダウェルがセラピスト・インタビュアーみたいになってスペイダーに挑んでくると、それまで超越的でクールだったスペイダーも悪戯がばれたガキみたいにしどろもどろになるところが面白い。考えてみると、おカネを払ってまで他人に自分のことをペラペラ喋ってすっきりするって、アメリカ人ってほんと変わってます。登場人物四人にはしょうじき誰にも感情移入できませんけど、こういういかにもカンヌ映画祭が好きそうな前衛的なテーマを、ギリギリな線でエンタティメントに仕立て上げたソダーバーグの力量は大したものです。一言いえば、本作で絶賛されたジェームズ・スペイダーのキャリアが伸び悩んでしまったことは残念です。イイ役者なんだけどなあ。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-07 22:33:16) |
《改行表示》84.《ネタバレ》 性欲は3大欲求のひとつでありながら、大概の人が常に満たした状態にある他のふたつとは異なり、必ずしも全ての人が常にこれを満たした状態にあるとは言えない様に思う。そもそも、どういう状態にあることが真に性的に満たされていると言えるのか、ということを考えさせられる様な映画である。 本作に登場する4人は、自覚している・していないに関わらず、4人ともに性的に「不健全」な状態に置かれている。中で、最も一見して端的に病的な状況に在る様に思われるグレアムのアプローチ、物理的に不能な自分に対し、やはり性的に「不健全」であろう女性たちに、カメラを通しての精神的な「解放(裸身を曝すこと)」を要求していくという、これも一見高度に変態的な行為が、むしろセックスの本質のひとつの「正常な」側面を明らかにしている。終盤に描かれるアンとグレアムの精神的な解放・結合(自己の曝け出しと他者の受容)こそが、変則的ではあるがセックスの(形而上的な)あるべき姿だとソダーバーグは言いたいのだろう。 あくまで個人的には、このソダーバーグの結論は、万人がこれを認めるというにはやや高尚すぎる、とも思う(それは、もっと高次元の人間の欲求の話だと)。そして誤解を恐れずに言えば、そんなことを言い出すのであれば、生物学的には性欲の最も重要な論点は正に結果、つまりは家庭・子供を持つということに帰結するべきだ、とも私は考えている(性の在り方が多様化する現在、こんなことを言うと、また袋叩きにあってしまいそうだということは重々承知の上で)。しかし、その意味でも本作が描く価値観は、現代でも通用するある種の先見性を備えていた、と言えるのかも知れない。中々どうして、今なお観る価値の深い映画だ、とも思う。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-09-12 01:09:07) |
《改行表示》83.ブラックリストにドはまりNowなので若いレディントンはこうだったのかなと交錯した目でみてしまった。 カンヌで男優賞を取ったジェームズ・スペイダー、よかったです 【HRM36】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-09-12 00:51:57) |
82.身の上相談を今までもこれからもしない身にとって、身の下相談を赤の他人にしている姿に恥に対する価値観の違いを感じます。会話中のため息を始めとした鬱陶しいアンを筆頭にいけ好かない人物達の湿度100%の会話劇にグッタリ。意味不明な結末も痛い。目を惹いたジェームズ・スペイダーに興味が湧いたところに+1点。 |
《改行表示》81.《ネタバレ》 自分の心を正しく掴むことのなんて困難な時代であることか。登場人物の一人は自分を偽った副作用で不能を患うし、主人公はセラピー通いだ。他者や自分に嘘をついている4人の男女。ビデオカメラを介して己を客観視することで体裁を繕っていた心の防御壁が崩れる、そのアイデアといい、それぞれの人物の内面描写の巧さといい、当時26歳のソダーバーグは凄い脚本を書いたものだ。 ”カメラを向けられる”というのは自分をさらけ出すように感じるものなのですね。グレアムは撮られる側になった途端、狼狽して拒否した。彼のキャラクターが長くはない上映時間の中で実に巧みに描写されていて見事です。他者との深入りを避けて生きてる彼は車で放浪中。着るものは自分を護る黒。家を探して落ち着くのかと思えば、一ヶ月更新に契約したり、どうにも不安定さが伺える彼。電話は引かず他者とは希薄なスタンスを取ってはいるけど、でもドアはいつでも開いている。 役者4人皆良いけれど、やはりグレアム役のJ・スペイダーが凄くて。グレアムの繊細な内面が仕草や困惑した表情に滲み出てくるようで、複雑で屈折した難役を完全に自分のものにしています。 圧巻は終盤。直接の性的な接触でなくとも、心が絡み合ったその場の空気は酔ってしまいそうなほどに濃密。そう、女は心が求めていれば、相手の掌が触れるだけでも「達した」表情になれるものです。何故ソダーバーグはそんなことを知っているのだ。 封切当時と現在では感じ方が少し違って驚いた。むしろ経験を経た今の方が深く心に響くものがあり、時の流れで色褪せない、つまりこれは傑作といっていいのだろうな。 【tottoko】さん [映画館(字幕)] 10点(2018-08-25 01:20:04) (良:1票) |
《改行表示》80.《ネタバレ》 好きな作品だったのに、久々に見てみると大して面白くなかったので自分で驚きました。 グレアムがやってることが、今見ると何だか古臭いなぁと思ってしまったからかもしれません。 昔は秘めやかなドキドキ感があると思ってたけど、そうでもないというか。 結局女性たちは、グレアムという無害な観客の前で自分をさらけ出す快感に酔っているし、 グレアムはそれを後から自分の為に利用するというだけのこと。 ジェームズ・スペイダーが記憶の中では超美形だったのに、そうでもなかったのも軽くショックでした。 今や容貌的には見る影も無いけど役者としては魅力的な「ブラックリスト」の彼を見慣れてしまったせいかもしれません。 嘘つきはダメに決まってるけど、 優しい嘘もあるし、嘘ついた方が良いときもある。嘘も方便。 常に正直なのも生き難いでしょう、などと思えるようになったんですね、私も。 それにしても、何故こうも似てる容貌の人を妹と夫役にしたのか、やっぱり気になりました。 二人が実の兄妹に見えます。 見直してガッカリしたけど、一番病気に見えたアンが結局グレアムを立ち直らせ、自分も自分らしさを取り戻す というラストは好きです。 【nanapino】さん [インターネット(字幕)] 7点(2018-06-10 13:46:49) |
79.《ネタバレ》 ○何とも言えない設定を魅力的な4人のキャストで魅せる。ただ、ちょっとタイトル通りすぎやしないか。ぐっと引き寄せるタイトルではあるが。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-17 22:23:31) |
78.《ネタバレ》 タイトルがいいね。最初はエロいのかなぁなんて思ったけど。いやいや、自分も気付きを与えてくれた映画で、何度も観てます。名作だと思います。人に薦めたいけど、タイトルがこんなだから、つい言いそびれちゃって・・(笑)。照れちゃう(笑)。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2014-11-02 13:01:02) |
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76.これは、ロードショーで鑑賞しました。私の記憶が正しければ、岩波ホールだったと…見終わったあとも、いまも印象に残っていません。つい最近、記憶に残らない映画だったことを思い出したので、書き込みました。 【クゥイック】さん [映画館(字幕)] 3点(2012-06-15 00:12:41) |
75.《ネタバレ》 タイトルはインパクトあったねぇ(当時の遠い記憶) 若いときは邪念(笑)が多いからきっと素直に観れなかっただろうな 的作品 度合いの違いはあれ、みんな日常的に嘘はついている その本心な部分を 第三者とビデオテープに告白する まるで現代の懺悔のような アンディの胸に光るクロス(十字架)のネックレスが 神への告白を意味するのか 思っていたよりも重く意味深な内容 若干26歳で造る内容じゃないわな ソダーバーグ監督流石デゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-09 08:57:57) |
74.特に最初の方は、名言・迷言が続々と出てきて楽しめるんだけど(「男は結婚してからの方がモテる」ってのが笑えた。これは自信・自意識の問題、ニブさの問題)。全体的には、なんかイヤミな映画だと思えてしまう。そもそもこの「面白くないですよ」とわざわざアピールするようなタイトルからして、いかにも策略的。性の問題を大胆に取り上げて見せ、かつビデオカメラというアイテムを用いてトリッキーな味付けをしつつも、ストーリーはいたって素朴(特に結末が…)、語り口も多くは素朴、なのにそこにわざわざ「技術のための技術」みたいなシーンを入れてきたりするのが、イヤらしい。挑戦するのは結構だけど・・・。たぶん、タイトルに並べられた3つのキーワードのうち、おそらく「嘘」が最も重要なのに(あるいは、他の2つより一段上の次元に属するのに)、最もウェイトが低かったように感じられてしまうのが、本作の弱いところだと思う。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-04-29 08:50:43) |
《改行表示》73.80年代の日本映画とアメリカ映画は、どうも若い男女がカッコ悪くて仕方ないが、本作もその例にもれない。 どうしてこんなにカッコ悪いのか。 主要人物である男2人と女2人。 この4人のいずれに対しても、私は魅力を感じなかった。 ヨーロッパ映画なんて、50年代でさえも女優がもっとオシャレでかっこいいというのに・・・ セックスを題材にしているが、セックスに対するアメリカ文化の認識が理解できて、その辺は良かった。 しかし、最後がどうも消化不良気味。 そして全編に横たわるソダーバーグ風味の効いたダイアローグの数々がどうもかったるい。 だけど、良い意味で言えば、ソダーバーグのオリジナリティが発揮された作品なのではないか。 ダイアローグに独特のスパイスが効いていて、俳優陣の表情なんかも細かく表現されている。 好みな作品ではないが、それなりに楽しむことはできた。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-09-27 08:41:51) |
【フッと猿死体】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-07-05 10:13:22) (良:1票) |
71.《ネタバレ》 タイトルで少し敬遠してましたが、内容は心理的なお話でした。アンは夫の浮気を感じつつ問いただせない・・・対照的な妹にジレンマを感じたり、夫の友達に惹かれたり。ビデオテープの事件をキッカケに皆が少しずつ変化していくところが良かったです! 【うさぎ大福】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-09-15 16:33:27) |
70.《ネタバレ》 あらすじを読んで、もっと高尚な芸術映画かと思い長年敬遠していたのだが、いざ観てみたら、良い意味でバカ映画。性を題材にしている割には、その性が妙に明るく乾いていて、観ていて気楽。昨日出会ったばっかりの旦那の学生時代の友達と、妻がいきなり喫茶店で、インポについて語り合っちゃうんだもんなぁ。 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-07-09 20:16:31) |
69.《ネタバレ》 人間の根源部分である”性”を扱ったドラマとして十分面白い。何度か観るうちに、また人生経験を積むうちに様々な印象を持ちそうな作品だと思いました。ちなみに自分が思ったのは”男はつくづくバカな生き物だな”ということ。絶対に寝てはいけない女と寝る判断力の無さ。バカですね。自分の女が寝取られたと分かると、「自分だってお前の女と寝たんだぜ」と言わなくてもいいことを言う心理。バカですね。一時の自己嫌悪で捨てたエロビデオは、きっと後でまた見たくなるだろうということ。男はやっぱりバカですわ。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-23 19:47:42) |
68.注目された作品だけに、観たかったのですが..ようやく観ることに.. う~ん、明らかに一般向けから逸脱した作品..ですが、この変態、いや、題材で、良く映画として仕上がっていると思います..監督の力量を認めざるを得ませんね~! 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-06-16 12:38:30) |
《改行表示》67.掻い摘んで言ってしまえば、セックスレスの夫婦がいて、夫は妻の妹と浮気していて、それを薄々気付いている妻がふいに現れた不思議な男に惹かれ、夫との別れを決意し、夫は妻も愛人も失い、妻はその男と結ばれるという、なんとも平凡な「昼ドラ」である。だけれど、そこに、各人のとても繊細な心理と動揺を独自の目線で描きつける。 俊英スティーブン・ソダバーグのデビュー作にふさわしい奥深さがそこにはある……のだと思う。ただ24歳の僕には少々そのテーマ自体を、まだまだ捉えきれないところがある。登場人物たちのセックスに対する微妙な感情をそのままに汲むには、経験が無さ過ぎるのが事実。 でも、今作を撮ったソダバーグ、若干26歳。……うーむ、すごいなあ。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-01-10 01:39:14) |