11.ハードな絵作りには美学と誠意を感じるが、根源的な矛盾をかかえているように思う。思想がないのは別にいいのだが、とって付けたように侍批判なんかを折り込むのがむしろ見苦しい。殺陣をあれだけ活き活き表現しながら「武士なんてつまらない」もないものだと思う。女の登場人物を極端に記号的に扱っていてろくに人格を与えていないのも辛い。侍批判も結構だが、足元に転がる重大な問題についてその意識の低さが透けて見える。以前見たことをすっかり忘れて二度観となった。心に残るものがないのは純粋娯楽作として潔い証拠ともいえるが。 【皮マン】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-02-13 20:38:04) |
10.《ネタバレ》 みなさんが仰っている通りで「用心棒」や「椿三十郎」なんかと似たプロットです。よそ者が現れて、そこで起こっている事件に手を貸して去ってゆく。でも、当たり前だけど監督が違うと全く違うものになる。細かいストーリーの構成云々より、作品が持っている空気が違う。この可笑しみを湛えた作風は岡本喜八監督ならでは。先に挙げた黒澤映画は三船敏郎の一人舞台だけど、こちらはズラッと名のある俳優を並べて、その全員に見せ場を用意している。ときどき、出演者の顔が画面から飛び出すくらいにアップになるんだけど、困った状況でもみんなその表情がとてもイキイキしていて、変な喩えだけど陸に揚げられた新鮮な魚がピチピチと跳ね回っているような感じです。侍社会=管理社会という構図をちょっとIQが低く見えるほど皮肉っているが、その率直すぎる解りやすさも岡本監督の作風だと赦される。娯楽時代劇という意味で最近の「十三人の○○」などは、これに較べて進歩しているだろうか? 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-26 21:31:29) |
《改行表示》9.《ネタバレ》 反体制精神を目一杯こめながらも、娯楽映画として、テンポ良くコミカルに創り上げた快作。 「椿三十郎」とストーリーも似ており、尺も短く気楽に見られる軽妙時代劇として同じような娯楽作品であるが、まさに、黒澤監督と岡本監督の作風の違いがハッキリと見て取れる。 黒澤監督は、コミカルで軽妙ながらも静と動を使い分け、どこかに重厚さを感じさせるのに対し、岡本監督のこの作品は、テンポよく流れるようにラストまで持って行くように作られている。映画を芸術として捉えると黒澤監督に軍配が上がるが、身構えずに見る娯楽として捉えると甲乙付けがたい。 岡本監督のエッセンスがふんだんに詰まった作品である。 【nobo7】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-09 19:38:28) |
8.どっちつかず…。もっと笑える作品かと思っていたがそこまでじゃなかった。逆に山で篭城のような形になった時は激しい戦いを期待したが、これもそこまでじゃなかった。キャラクターとしては面白いのが多かったから、惜しいのだけど。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-08 19:40:06) |
7.用心棒や、椿三十郎みたいなストーリーだが、やはり喜八映画特有のコミカルさとキャラクター性の強さが目立つ安心して楽しめる娯楽作になっていた。岸田森はいつ見ても異様な存在感があるなぁ。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-11-03 20:06:22) |
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6.《ネタバレ》 「斬る」なんてハードボイルドな題名にしてしまうから「椿三十郎」と比較されてしまうのだ、この映画。これも原案は山本周五郎だしね。別題「いやなこったお城勤め」くらいの気持ちで見た方が得。この映画でもやっぱり喜八映画の肝である「体制への反骨心」が溢れている。主人公源太だけではない、百姓半次だって討伐隊の浪人隊長(岸田森好演!)だって、挙げ句の果てには家老にすら「武士なんてやめた方がいいよ」なんて言わせているんだから。また女性が紛れ込むことで若手志士達の結束力にひびが入る、という展開も男の阿保臭さを表して可笑しさが増す。映像表現でいうなら冒頭の握り飯をとりあう男達のショットや浪人隊と改革志士達の争い+両方の壊滅をもくろむ家老派の動きをテンポ良く見せるところなどにアクション映画の雄、喜八のセンスが感じられる。へたくそな監督ならこれ2時間くらい超えてしまう内容だよ。名作ではないけど快作としてお勧めの一本。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-09-27 20:42:22) |
5.これは確かに似ている。黒澤明監督の「椿三十郎」と似たストーリー、しかしながら雰囲気は「用心棒」に近い。時代劇ではあるけど西部劇のような雰囲気を全体から感じる。「椿三十郎」や「用心棒」に比べると確かに出来としては劣るような気がするし、仲代達矢にしても三船敏郎のような侍としてのオーラがないし、緊張感という意味でも弱い。しかし、作品全体がコミカルなところなどは監督が喜劇を撮らせて上手い岡本喜八監督らしさを感じる作りになっていて、これはこれで一本の映画としてなかなかの出来にあることは間違いない。少なくともやたら評判の時代劇で山田洋次監督が撮った「たそがれ清兵衛」よりはずっと面白いし、好きです。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-08-02 21:08:22) |
4.岡本喜八監督が「日本のいちばん長い日」と「肉弾」の間に撮った時代劇。話の大筋はすでにみなさん書かれてるとおり「椿三十郎」を思わせていて、そこに喜八監督らしいユーモアが加わって更に軽快な映画になっていて、完成度では及ばないもののこの映画も楽しかった。「椿三十郎」では存在感のある悪役をニヒルに演じていた仲代達矢がこの映画では飄々とした主人公をコミカルに演じており、もう一人の主人公である高橋悦史(こちらも「日本のいちばん長い日」とは180度違うコミカルな芝居をしている。)とのかけあいが面白い。討手のリーダーを演じる岸田森や、次席家老を演じる神山繁、それに東野英治郎といった脇を固める俳優たちもいい。大作映画の後に息抜きで作ったという印象もなくはないが、「日本のいちばん長い日」のようなシリアスな映画の後にこういった軽いタッチの娯楽作をサラリと作ってしまう当時の喜八監督の余裕の力量のようなものを感じる。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-10-18 00:02:39) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 「椿三十郎」と似た感じの時代劇。「椿三十郎」よりコミカルな作品でスピード感もあるけど、華やかさと重さが足りないかなぁ。ただ仲代達矢と高橋悦史掛け合いが見ていて楽しいし見て損はないかと。一番印象残ってるのは冒頭の凄まじい砂塵シーンで、これが風が吹けば桶屋が儲かるってくらいの風かと思った。 【バカ王子】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-05-27 23:30:57) |
2.話の大筋としては椿三十朗に良く似ている気がするけど、この頃の時代劇にありがちな話なのだろうか。椿三十朗と比べてしまうとすべての点で見劣りがするが、それなりに楽しめた。 【HK】さん 6点(2004-07-23 06:17:24) |
1.侍を辞めたヤクザと侍になりたい百姓がお家騒動に巻き込まれる、っていうストーリーは面白いと思うが、いかんせんテンポが良くない。仲代達矢の淡々と喋るヤクザは面白いけど、2時間引きつけられるまでの魅力は感じなかった。最後の爽快感も無いし、自分はあまり楽しめませんでした。 【紅蓮天国】さん 5点(2003-11-24 16:06:21) |