3.《ネタバレ》 前作「処刑人」を観てからもう10年も経つ。
先ず思ったのは、あのスタイリッシュな映像センスと冒険心に溢れたアクション映画の続編が、何故このタイミングまで公開されなかったのかということだった。
“万年ネタ不足”に悩まされる今のハリウッドであれば、とうの昔に続編が製作されていて、下手すりゃ「3」とか「4」まで作られていてもおかしくはない。
どうやらその答えは監督のトロイ・ダフィーにあるらしい。
かなりの問題児らしく、前作の製作の段階でも大手製作会社ともめにもめて、結局ほとんど自主製作のような形で撮ったとのこと。
とにもかくにも、根強いファンからの待望論も手伝ってようやく日の目を見た続編。
10年という年月は流石に長くて、前作が「想像以上に面白かった」というインパクトは確実に残っているのだけれど、実際どんなテンションの映画だったかということに対する記憶が正直薄れてしまっていた。
そんなわけで、10年前の記憶を思い起こすように手探りで映画を観始めた。
冒頭から何となくテンポの悪さと、過剰なバタ臭さを感じ、居心地の悪さを感じた。
「何かが足りない」と思い、蘇ってきたのは「彼」の存在だった。
前作で、超個性的な敏腕刑事役として登場したウィレム・デフォーが居ない。
「出演交渉がうまくいかなかったのか……」と残念に思いつつ、中盤に差しかかった。
すると、一転して映画のテンションが加速する。
そこまでどこか遠慮していたようなテンポの悪さが無くなり、前作を彷彿とさせるインパクトが映画を包み込んだ。
そうしてクライマックスまで突っ走り、最後の最後で、唯一欠けていた“ピース”もちゃんとはめ込んでくれた。
過剰で無意味な演出やムラも感じられたが、トータル的には前作のファンも満足できる続編だったと思う。