《改行表示》131.《ネタバレ》 “American Sniper”『アメリカ人の狙撃手』。アメリカ側にしては『伝説』。でもイラク側からは『悪魔』であり懸賞金すら掛けられた存在。クリス・カイル。160人~255人の敵兵士を、その手で1人ずつ撃ち殺した兵士。 イラク戦争をアメリカ側から描いていますが、一方の正義は一方の悪であると、戦争の両面がきちんと描かれていました。任期を終えると平和なアメリカに帰っていくクリスと、常に戦場で生活をしているイラク人。虐殺者のような人間も出てきますが、だからイラクは悪だ。…と言い切れない状況をきちんと描いています。 「まさか最初がこんなだとは…」手榴弾を持った子供と母親の狙撃。撃つべきか、撃たざるべきか。戦争の悲惨さと向き合う作品の、選択肢のクライマックスとも言えそうなシーンから始まります。味方の海兵隊員を守るためには自分が撃たなければいけない、残酷な選択肢。 この母子と同じ建物の屋上で、男が戦車を見て携帯を掛けていた。怪しいけど何もしていないこの男をクリスは撃たなかった。もしかしたら、この男を撃っていれば、母子は助かったかもしれない。…後からそんなことを思ってしまうと、延々と答えの出ない葛藤に落ち込んだでしょう。どれだけタフでも、これは病んでしまう。 ビグルスの死もズシンと重かった。せっかく命が助かったのに、あんなカタチであっさりと迎えに来る死。アメリカで起きたことを、イラクで同僚の口から聞くというのも驚きを増した。自分の中で、危険な戦場と遠く安全な自国の境界線が無くなっていきそうで、感覚が麻痺してしまいそう。 クリスの最後については本か何かで知っていたけど、自分の中の葛藤を乗り越えつつあり、今度は自分と同じ苦しみを抱えた仲間を救うことに生涯を捧げようとした、その矢先だったろうに。 最後の葬儀のシーンがとても印象的。父の教えである「羊の群れを守る番犬であれ」を地で行ったクリス。敵兵士をたくさん殺したクリスを、英霊として見送れるアメリカ国民達。クリスが善か悪かを考える以前に、彼が自国と自国の兵士を守るために活躍した事実を、国民は理解しているんだろう。…多くの人を救助した英雄の葬儀ならともかく、クリスのような仕事を理解し、英雄として考えるのって、きっといまの日本では難しいんだろうな。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-11-24 21:32:12) ★《新規》★ |
《改行表示》130.《ネタバレ》 戦争に対する苦悩が本当にうまく描かれている作品 実話なのも知らず、ラスト付近までは主人公が何故戦地に行きたがっているのかを曖昧にしているところがまたうまい 父親からの教え"番犬"としての役割を全うしていたんですね。 殺すためではなく、救うためという理由が判明し、退役軍人の心を救うことで自分も救われていくのも素晴らしいが、このあたりのシーンをもっと長めに欲しかったなーという印象(あっという間に元気になっちゃいました。) 父親からのライフルを離すなという伏線も最終盤面で回収して、戦地での番犬としての役割を終えた表現 クリスと妻の演技も素晴らしく、戦争帰りの空気感がひしひしと伝わってきます。 ラストは救えねーと思いましたが、エンドロール?実際の映像で本当にみんなに称賛されて亡くなられたことがわかり 感動を誘います。 2時間越えの作品ですが、常に緊張感が漂い、かといって重すぎず見続けられます。 総じて、いい作品でした。 【メメント66】さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-10-06 22:09:35) |
《改行表示》129.《ネタバレ》 数多くの敵を狙撃しても、それはゲームではなく人間の命を奪っている所業。 戦地では爆弾を抱えた母子も狙撃しなければならず、心の葛藤に苦しむことになる。 たとえ戦争が終わっても、PTSDなど人々の心にも大きな傷跡を残す。 伝説のスナイパーとして祖国の英雄となったクリスでさえ、そのダメージから逃れられない。 ラスト、クリスの命を奪ったのはてっきり弟のジェフかと勘違いしてしまったが、クリスと同じPTSDに苦しむ赤の他人だった。 その余韻がなんとも言えない。 【飛鳥】さん [インターネット(吹替)] 7点(2024-06-29 08:26:19) |
《改行表示》128.面白い映画とは言えないが、作品としての質は高い。 淡々としているがどこか緊張感がつきまとう、クリント・イーストウッドらしい。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-28 10:57:39) |
《改行表示》127.《ネタバレ》 遅れ馳せながら鑑賞。皆さんのレビューは一通り拝読しました。必然的に重複してしまう部分がありますがご容赦ください。 子どもと女性を狙撃するという、主人公の在り方そのものを観客に理解させるかのようなシーンを冒頭に持って来て、その後に主人公がどのような家庭教育の元に「番犬」として人格形成されて来たかを盛り込む。その時点では作品世界に入れませんでした。そもそも、個人的にはハンティングと称して野生動物を射殺すること自体の価値観を全くもって理解出来ないので。なので作品世界には乗り遅れ気味に鑑賞開始した感じです。 ひとことで言えば(ひとことになっていないかも知れませんが)戦争映画としての盛り上がり方を備えつつも、その戦争の意味や背景、そこで闘う者のアイデンティティ等の深掘りに徹することなく平板に仕上げられた作品(良い意味で)、だと思います。 「アメリカ万歳!」に走ることもなく「戦争反対!」に走ることもない。只管無音で無言のエンドロールが作品としての在り方を象徴していますね。「オープンエンドの作品」と言っても良いように思えます。物語が終わった後の数分間の沈黙の中、それぞれ考えを深めて欲しいと言わんばかりに。ある意味、クリント・イーストウッド作品に共通した重みを感じた数分間でした。 正義とは何でしょうか?平和とは何でしょうか?命とは何でしょうか?そして英雄と狂気の境界はどこにあるのでしょうか?主人公が残していったものは何だったのでしょう? 欧州や中東での戦禍が激しく繰り広げられ、遠く離れた我が国のニュースにも毎日欠かさずその現況が繰り返し報じられる中、平和ボケした戦後生まれの自分が今ひとつ我が身のこととして真剣に受け止めることが出来ないのは恥じるべきことなのでしょうか?答えは見つかりません。 主人公の最期の日、妻に向けられたリボルバーの銃口が恐ろしかったです。結局彼は回復することなく、自らの精神に蓋をして、生まれて以来培ってきたものを塗りこめていただけだったように思えてなりません。 戦争映画としては、アクション中心でもなくヒューマニズム中心でもなく、いささか中途半端に受け止められてしまいかねないかも知れませんが、戦地から遠く離れた平和ボケの私の脳内にまで一石を投じ、何かを考えさせてくれた異色の戦争映画でした。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-24 14:28:43) |
【TERU】さん [インターネット(吹替)] 6点(2023-10-15 20:01:53) |
《改行表示》125.《ネタバレ》 9.11をアメリカ国民として過ごしていない身としては、英雄視・伝説視することに感情がのっかりきれないかなぁ。 鑑賞後にwikiを見ると、少年と女性を狙撃したことをしっかり映像化したのは良かったと思うんだけど、 それだけに最期もしっかりと作ってほしかった。そして退役された方々の苦しみを映像化してほしかったかな。 【hyam】さん [インターネット(字幕)] 5点(2023-07-14 06:34:38) |
124.実話とは知らずに観ました。とてもパワフルな作品です。ただし、主人公のクリスが、アメリカの平和のためという愛国心と正義感で、家族に辛い思いをさせ続けたのは残念でした。愛国心や正義感を掲げる人は、自分に酔ってしまうあまりに、結果的に一番大切な人を犠牲にしてしまうのですね。。。最後のクレジットのシーンで本物のクリスに関するシーンがたくさん出てきますが、実話だけに目頭が熱くなってきました。。。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2022-11-20 04:47:18) |
《改行表示》123.《ネタバレ》 見入ってしまういい映画だったが、面白いかどうかで言えば首を縦には振り辛い。 実話であることもイマイチ知らず鑑賞したので、まさかあんなラストになると思ってなくて「え」って呟いてしまった。 子供ドリルが一番キツかったな。 【悲喜こもごも】さん [インターネット(字幕)] 6点(2022-07-05 21:07:58) |
《改行表示》122.《ネタバレ》 緊張感のあるいい映画だった。 女性や子供でも容赦なく殺さなくてはならない。 スナイパーの葛藤が良く描かれている。 調べてみると4回の派遣で身も心もボロボロになったとあるが 志を持ってここまでのことができる英雄でさえやはり自分を騙して 心の葛藤と戦っていたということだろう。 wikiにはカイルを殺害した男の事も記載されている。 戦争のPTSDの治療の一環で射撃訓練をするのって一見矛盾している気がするな。 よけいに悪化しそうな気がしてしまう。 【Dry-man】さん [インターネット(吹替)] 7点(2022-06-30 03:15:55) |
|
《改行表示》121.人を殺す、 それに至る訓練と すでに持っている家族と。 上記の文字数以上に、年数を重ねると持つものが違い また、口説く際の自然全力投球な具合も違う。 それが戦争で変わっていく。 全てが日本語で言うと葛藤。 よく表現されていると思います。 何が一番大切かを考られないほど、 目の前が恐怖に染まった人に家族は眩しいのかもしれない。 戦友の友という字は日本語だけど、 戦友ってのは死を伴うから戦友で そう意識したときにはもう遅い。 家族はどうだろう。 同じだろうか。 ラストがあっけない。考えるひまも、無い。 【元祖】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-01-27 21:05:39) |
《改行表示》120.《ネタバレ》 序盤の展開はドラマチックだし、映像にリアリティがあって迫力がある。 でも、面白いという方向性の作品ではない。 大義があるかどうかは別として、リアルに人を殺す映像を見続けていると気が滅入る。 戦地では死ななかった英雄が帰国して命を落とすことになるのは心が痛む。 そういう事実をニュースで知るよりも現実的に感じられて心に刻まれる。 ただ知るだけでなく、いろいろと考えさせられる深い作品だと思います。 【もとや】さん [インターネット(吹替)] 7点(2021-06-16 15:35:40) |
《改行表示》119.《ネタバレ》 その臨場感、緊迫感。映画としては最高の出来なのでしょう。ただ好きか嫌いかと問われれば、間違いないく嫌いなジャンル。やはり戦争映画とは相性が悪いと再認識しました。 特に、少年の足や頭をドリルで貫くシーンは一瞬ではありましたが吐き気がしました。『目を背けてはいけない。』というクリント・イーストウッドのメッセージなのかもしれませんが、不特定多数の人間が見るコンテンツにおいてここまで過激な描写が本当に必要だったのでしょうか。 戦友たちは次々とその命を散らし、最後まで救いの無い結末で物語りは幕を閉じます。実話みたいなので仕方がないのかもしれませんが・・・。どうにも気が滅入りましたね。 ただこの映画を見て、一人でも多くのアメリカ人やテロリストが、『戦争はいかん』『人の命を奪ってはいかん』と思えば、反戦映画としての価値はおおいにあるかと思います。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-12-29 12:51:24) |
《改行表示》118.イーストウッド監督の作品っていつも重くて遊びがないんですよね。 だからとにかく圧が強い。 もう少しユーモアとか余裕とかそういうのがないと観てる側はきついわけですが、しかし扱うテーマが毎回重めなのでそうそう遊ぶわけにもいかず… とにかく真面目に作ってるのはわかるので一定以下の評価にはできないですが、すごく面白い!とはとても言えません。 そもそも冒頭の女房ほっといて浮気されてるところからして、主人公の好感度がとてつもなく低いんですよ。 非は明らかに自分にあるのに女房に一方的に責める、いやいや… アメリカ南部的な男は嫌いです、はい。 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-08-07 13:25:04) |
《改行表示》117.まさにレジェンドとはイーストウッドのことではないか。 イーストウッド監督作品のハズレがほとんどない。 この作品もそうである。たらたらと長ったらしい、銃撃戦ばかりの戦争映画にならず、 2時間を超える時間を飽きさせずに最後まで見せる技術はさすがである。 ブラッドリークーパーの演技もはまっていて、プライベートライアンを抜き 戦争映画興収ナンバーワンになったというのも納得である。 【シネマファン55号】さん [インターネット(吹替)] 8点(2020-06-10 15:01:44) |
《改行表示》116.クリント・イーストウッド監督のいつもの重いやつ。 個人的にはあんまりこの手の重い作品、得意じゃなくて…。 内容の割りに冗長で、消化不良感。 山場を迎えた後もだらだらと低調で続くのがつらい。 終わり際を見失った頃に、脈絡のない突然の閉幕という腑に落ちなさ。 事実は事実として、映画としての見せ方が何とかならなかったか。 主人公の心の変遷の表現不足とか、弟の話が投げっぱなしとかも。 例の事件とはいえ、アメリカ至上主義・絶対的正義がやや鼻につく。 あと、やっぱり「殺し合い」の映画は見てて気持ちよくない。 後味が悪く、消化不良感で、スッキリせず、重い。 もっと胸を打つ感動が欲しかったです。 救いは、無い。 【愛野弾丸】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-03-22 21:28:06) (良:1票) |
《改行表示》115.《ネタバレ》 この内容で賛否が分かれないわけが、ないなあ。米国人に国土を蹂躙されたことがある国の教育を受けたなら、小なりと受け容れ難い部分があるだろうと思うし しかし、これを戦争翼賛プロパガンダだ!と認定するのは何かズレてる気がするね。これ観てスナイパーに憧れたり、戦意は高揚しないでしょう 民衆を盾にして攻撃する恐ろしい敵を、民衆ごと貫く米軍の恐ろしさはこれでもかと伝わってくる 本作のバランスは戦争映画としてはマシな部類に入る。もっと一方的な作品でも名画扱いされているし、現状を認識して米軍側の視点で作れば、こうなるしかあり得ないと思うな イラク戦争を扱ったものとしては、最も映画らしい映画だったという感想。 語り口はさすがにツボを押さえた造りで、イーストウッドの手腕がいかんなく発揮されている 子供ですら無残に命を奪われる戦争の描写。そこから逃げない姿勢はジャーナリストのそれというよりは、映画人としてのインパクトを重視する性質だろう スナイパーとの対決で勝利するのは別個の事案を統合したフィクションとのこと。映画として無いと寂しいが、確かに巧い作劇とは言い難い ラストの字幕などは、フィクションの「汚れた英雄」とはまた違った厳粛な余韻を残す。汚れた英雄のほうは、作劇としての味があった。 僕としてはフィクションの方が、実感がわかなくても良いので好みだ 【うまシネマ】さん [インターネット(吹替)] 5点(2019-10-20 04:00:23) |
《改行表示》114.《ネタバレ》 任務とはいえ、子供を撃たなければならない辛さは、想像を絶するだろう。 苦悩で精神を病んでしまうのも、わかる気がする。 【チェブ大王】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-03-16 15:54:58) |
《改行表示》113.《ネタバレ》 凄惨な戦場での体験が退役後も兵士の心を蝕むというテーマの作品はこれまでいくつも観てきました。主人公らは皆心を再生不能なまでに壊され、その再起のいかに困難なことかを思い知らされるものが圧倒的に多かった気がします。 本作の主人公カイルは伝説のスナイパー。160人を殺めてきた彼もPTSDに悩むことになりますが、回復がかなり早く描かれているのにちょっと驚きました。このことは彼が幼少の頃から受けてきた「番犬であれ」という教育が大きく影響しているのかなと思いました。番犬たること、「悪」である狼を退治することは神の意に添った「善」である。この岩のような信念がカイルをして「人殺しの理由を神に説明できる」と言わしめ、心の回復を早めたのでしょう。そしてこの「米国は世界の警察」な意識はアメリカ人の平均的な考え方であるとずっと感じてきたことでもあります。自らの価値観を善だと信じ、他国の紛争に手出し口出ししてきた結果、大使館爆破も9・11も誘発したのだとは彼らは考えない。同胞が攻撃されている、そのショッキングな映像に奮い立ち、戦場に自ら向かうクリスは極めて普通の感覚のアメリカ人です。 しかし非米国人の私は、他国の兵士に家に踏み込まれ、あげく凶暴なテロリストらに蹂躙されるイラクの一般市民の痛みの方に強く共感します。戦地で生きる市民にとって、禍の度合いはテロリストも米軍も大差ないのだよと冷徹に描かれており監督のフラットなバランス感覚がうかがえます。 けれど人間が戦場で心を喪うということ、その惨たらしさについてはイーストウッドといえども同テーマの他作品より抜きん出ているとは言い難く、平均的な出来の作品と思いました。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 6点(2019-03-16 15:17:32) (良:1票) |
112.グラン・トリノ以降のイーストウッド作品だから、バイオレンス描写も抑制がかかってくると予想した通り。職人監督の見事さが目立った作品。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-12-28 20:56:27) |