31.ここまで徹底的に政治と戦争をコケにした映画はちょっと珍しいぐらいです。製作されたのは1933年で、ドイツでヒトラー率いるナチスが政権をゲットした年ではあるけど、まだ大統領ヒンデンブルクが存命でその地位は首相、いわば国際政治にもデビューしたてで売り出し中といったころ。したがってナチス体制を意識した脚本というのはちょっと的外れなんですが、自分の独裁体制に対する毒を感じとって上映禁止にしたムッソリーニはさすがです。マルクス兄弟の映画はこれしか観たことはないですが、この映画がその後のコメディに与えた多大な影響はひしひしと感じます。亡き志村けんのひげダンスは、グルーチョ・マルクスのパロディだったんだと改めて気づかされた次第です。というか、映画史上もっともカオスに満ち溢れた1時間余りなのかもしれません。そしてまさにギャグの百科事典と呼ぶにふさわしく、現在のコメディのパターンはほぼ網羅されているんじゃないかな。一言もセリフがなくて動き回っていたハーポには、狂気さえ感じたほどでした。「祖国は戦争に入れり」のミュージカル・シークエンスなんかも圧巻でした。ただ英語のダジャレのセリフは字幕では上手くニュアンスが伝わらないのは残念、自分の英語力のなさが悔やまれる次第です。やはりこういうギャグ映画は、原語が理解できないと半減とまではいかなくとも三分の一は面白さが減じてしまいますね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-25 22:23:59) |
30.《ネタバレ》 つまらないんだ。翻訳の都合だとは思うんだけど、釈然としないダジャレ。ピンキーというキャラ。ハサミでいろんなものを切り落とすんだけど、それで面白いと思っているところが、近頃のバカッターと重なっちゃって不愉快。なんだよコレって思ってたところ、被った鉢に顔の絵を描いたシーンで笑ってしまいました。ラストシーン、歌ってる彼女にみんなで食べ物を投げるシーンでまた笑ってしまった。…不覚としかいいようがない。でも笑っちゃったからなあ。4点。 【なたね】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-12-26 19:32:47) |
《改行表示》29.《ネタバレ》 約90年前に作品にしてドリフらのお笑いの原型、原典とも言うべき作品。 もちろんこれまでに多大なる影響を与えてきた作品なので、ここで繰り広げられる会話芸、ナンセンスなコメディ、スラップスティックなやりとりは目新しいと言うより「見慣れた」手法。そう言う面で笑おうと思うと辛いかも知れませんが、これらの作品がなければ後世の作品は存在しないわけで、そういう意味で貴重魔作品ですし、好き嫌いを抜きにしても店舗や戦争への皮肉などなど色々と「なるほど!」と思える作品でした。 【クリムゾン・キング】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-23 21:51:31) |
28.歴史的な意義は十分理解できるし、テンポ感の凄さや、後世の作品への影響等も分かったけれど、なんとか堪えて最後まで観たというのが正直なところです。公開当時の劇場は爆笑の渦だったんですかね。私が子供の頃に爆笑しながら見てた「オレたちひょうきん族」も、今見たらかなりツライですから、お笑いが時代を超えるのは難しいことを実感しました。英語でダジャレ言われても、分かっても、笑うより「なるほど」という感じになってしまうし、戦争への皮肉も「なるほど」になってしまった。村上春樹がこの作品を好きらしくて、ああそういうことかと分かったのがささやかな満足でした。 【すらりん】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-08-25 00:28:33) |
《改行表示》27.《ネタバレ》 一言でいうと「脱帽」です。マルクス兄弟、偉大なる先駆者であります。 米国文学史のテキストにもなり得る、じつに90年も前の映像喜劇。ドリフの全員集合を1時間10分にわたって鑑賞しているという感覚がぴったりなのを思うと、いかに後世のコメディアンらに多大な影響を与えたか分かるというものです。 さんざん使い倒された感のあるギャグと洗練されていて古びていないセンスが混在しているので、鑑賞中びっちり抱腹絶倒というわけにはいかないですが、ただもう天才に畏敬の念を抱く70分でありました。 グルーチョ・マルクスが個人的に一番好き。冒頭で「新首相」のキャプションと共に新聞に紹介されただけで、そのすっとぼけた顔つきに笑わされましたもん。あの顔はズルイよなあ。 人を小馬鹿にした毒入り台詞の数々、伝説のシンクロ合わせ鏡、すれ違いのなめらかさと正確さ。コントとはかくあるべし、と人類史上に燦然と打ち立てた金字塔でありますね。 開戦後「援軍を頼む!」の電信→兵士→マラソン選手→動物の群れ、と画が切り替わるのには涙出ちゃった。ああ、馬鹿々々しきは尊きことなり。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-05-31 23:25:24) |
《改行表示》26.《ネタバレ》 ~Duck Soup~朝飯前。簡単なこと。 オープニングで生きたまま煮られるアヒルで笑えるかどうかで評価は分かれそうな気がする。 90年ほど前の作品だけど、ドリフの大爆笑と同じジャンルの笑い。ドリフで笑える人なら間違いなく面白いだろう。 というのも、ドリフ全盛期が1970年代だとして、その40年近く前に、この作品で同じレベルのコメディが作られていたのに驚く。 良く言えば当時すでに完成されていて、悪く言えばこれ以上の進化が望めないジャンルかもしれない。 80年代後半にドリフが下火になって、日本では廃れたジャンルだと思うし。 私は…残念だけどドリフもこの作品も、あまり笑えない方。小さい頃、8時だよ全員集合から、オレたちひょうきん族に鞍替えしたクチ。 ピンキーがあれこれハサミでちょん切るけど、それが面白いと言うより、何でそんな事するんだろう?って。 レモネード売りが帽子をなかなか返してもらえないのも、どうして邪魔するんだろう?って、思ってしまうんだ。 でも鏡芸は面白かった。…いや面白いと言うか、上手い!流石だな~って感じ。近年だとオースティン・パワーズのノリに近いかも。 革靴→ヒール→蹄鉄の流れ。あと、頭から被った水瓶に顔描くとこ。ココは本当に笑えた。面白かった。 この辺、ドリフと言うよりカトちゃんケンちゃんのノリに近く、こういう笑いは好きだ。 タイトルのダック・スープから『戦争なんて簡単なことだよ。水に浮かべたアヒルをじわじわ煮るのと同じくらいに』って意味かと思う。。 当時の世界情勢から、煮られるアヒルのように、世界がとんでもない方向(戦争)に向かっていたのが、誰の目にも明らかだったんだろう。 何だよ、我輩はカモであるって邦題…意味がわからん。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-05-14 01:41:18) (良:1票) |
25.ナチスが政権とったり、日本が国連脱退したりした時期に製作されているので、そういういう時代状況を揶揄していると解釈できない事もないが、単なるドタバタコントでしかないとも言える。 |
《改行表示》24.いろいろ突き抜けてます。舞台設定も登場人物の関係もストーリーもどうでもよくて、とにかく笑いに変えられれば何でもいいという感じ。ものすごくチープですが、それもあえて狙ったかのよう。そのせいか、ものすごく新しさを感じます。「喜劇王」チャップリンも、また昨今のコントやコメディも霞むほど。 それからタイトルを含め、セリフで頻繁に出てくるジョークやダジャレも、日本語訳にはずいぶん苦労しただろうなという気がします。相当〝意訳〟した部分もありそうですが。 ただし素直に笑えるかといえば、それはちょっと…。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-27 02:05:40) |
23.いや、何か、これは凄い。凝縮された熱さ、数秒間のやりとりにネタを詰め込む馬鹿馬鹿しさ。そしてそれを支える制作側の迷いのなさ。アホな内容だからこそ、真剣に考えて作らなければならない、という理念を忠実に体現したものとして、現在まで普遍性を有する作品です。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-24 00:22:56) |
22.《ネタバレ》 度肝を抜かれてしまいました。面白すぎる!この面白さをどう言葉で表現したらいいかわかりません。コメディ映画のベスト1に決定です。ちなみに2位は『キートンのセブンチャンス』、3位は『独裁者』。これらの作品を抑えての1位というのがわたしにとって最大の賛辞です。 【カニばさみ】さん [レーザーディスク(字幕)] 9点(2015-07-01 19:41:31) |
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《改行表示》21.《ネタバレ》 たった70分ちょっとで腹筋崩壊の連続に襲われる戦争コメディ。 アヒルの水浴びから始まり、それを極上のスープにして観客にたらふく飲ませてくれる。それも超フルスピードで。 マルクス兄弟が舞台で鍛え上げてきた笑いを、そのまま映画でも再現してしまうレオ・マッケリーとのコンビネーション。 これは舞台劇であり、舞台劇の以上の破壊力とエネルギーに満ちた傑作です。 ネジが1本抜けた首相とネジが跡形も無く消し飛んだスパイたちのやり取りを見るだけで呼吸困難を起こす。 この映画、馬鹿しかいねえ。殺人的笑いとはこの映画の事を差すのだろう。とにかくネタが多すぎる。 消える車、 サイドカーは飾り、 サイドカーの逆襲、 ナポレオンだってこんな踊らん、 公然と袖の下を要求、 浮気はフラれた男が悪い、 破壊工作員よりタチが悪い首相、 スパイは文字が読める人を呼んで、 タバコはガスバーナーで着火、 謎野球に謎レコード盤射撃、 帽子の受難、 刺繍しないと覚えられません、 後の「メメント」である、 癇癪で戦争開始、 弁護士は卒業した奴を呼べ、 「ネズミが吹奏楽するワケねえだろうがっ!」、 ミッキー「アヒルだって唄うだろ?」、 鏡が無いのに鏡を再現する名人芸、 シャンデリラが落ちれば天井も崩落、 男と女と馬の3P、 戦争中に失業とかそれどろこじゃねえ、 誤射の口止めとか皮肉効きすぎ、 というか首相自ら前線指揮とか勇気を買うべきか無謀を非難するべきか・・・。 物はブッ壊しまくるわ、唐突にミュージカルになったり、パレードになったり、戦争になったりともうカオスに次ぐカオスな映画です。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-14 16:53:03) (良:1票) |
《改行表示》20.最初から最後までテンションを落とさず、そこにミュージカルシーンや屋台コント(特に帽子コントが秀逸!)などを挿入しながら1時間ちょっとによく収めましたよね。 正直、毒舌グルーチョの面白さがどれ程理解できているのか・・・?という疑問はあります。日本語字幕が結構スベっていて、字幕に相当苦労されているような箇所も見受けられましたしね。 一方、ハーポ&チコのコンビには理屈抜きで笑わせてもらいました。そして兄弟が同じ寝巻の恰好で揃って以降、鏡コントまでは本当に面白い! それにしてもこんなことで戦争が始まってこんなことで戦争がおわりますか!?今でこそ戦争の愚かさを笑い飛ばす戦争コメディは珍しくありませんが、あの時代に、戦争を始める当事国と戦争そのものをハチャメチャ・ナンセンスギャグの応酬で徹底的に笑い飛ばす、こんな映画を作ってしまったことに敬意を表したいと思います。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-03-25 21:35:18) |
《改行表示》19.マルクス兄弟の外見と悪ふざけのセンスは、生理的に合わないが、本作はさすが彼らの代表作と言われるだけあって、レベルの高いドタバタ喜劇だった。 尺の短さも手伝って、「自分には合わないなぁ・・・」と思いながらも、気付いていたら終わっていた。 リズム感の良い作品だったからかもしれない。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2011-05-03 22:43:42) |
《改行表示》18.《ネタバレ》 マルクス兄弟の作品のばかばかしさは個人的には好きではないけれど、なぜかこの作品だけはハマってしまった。 有名な鏡のシーンはもちろん、閉じ込められたグルーチョが「閉じ込めるんだったらマンガ貸して!」には笑った。 【きーとん】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2010-07-19 00:47:56) |
17.《ネタバレ》 何というアホぶり、何というふざけた作品、戦争なんかどこ行く風かというような滅茶苦茶さこそがこの作品の一番の魅力である。鏡に向って飛んで行く。そして、壊れた鏡の向こうで繰り広げられる三人のやりとり、同じ姿で同じ動きでそこに鏡が存在しているような芸、この馬鹿馬鹿しさ、戦争が始まってもマイペースを崩さないマルクス兄弟、放たれた銃がお尻に当るギャグ、壺を被ってしまい、頭から抜けなくなってしまったグルーチョ、そのグルーチョの顔の落書きも余りにも馬鹿馬鹿し過ぎて、笑ってしまう。こりゃ、笑わずにはいられない。全てにおいて、ナンセンス、笑いのためならどんなものでも笑いのネタにしてしまうマルクス兄弟、ドリフターズはこの兄弟の影響を間違いなく受けている。 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-11-22 17:53:17) |
【KYPA】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-03-03 22:18:47) |
《改行表示》15.《ネタバレ》 めちゃめちゃです。戦争おっぱじまってんのに優雅に延々と繰り広げられる壮大なミュージカル(のパロディ)シーン、ここから怒涛の(ショボイ)戦争シーンは爆笑。鏡のシーンのバカバカしさ、くだらねー、そして凄い。でもあのレモネード売りのおっさんは、ちょっと可哀そうすぎで怒涛の反撃を最後まで期待してしまいました!時代を経ても、本物の「笑い」には凄みさえ感じますねー! 【よし坊】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-21 16:46:48) |
14.私に国際政治の本質を教えてくれた初めての教材みたいなもの。某国家の人材選びとか、政策外交というのはある意味こんなもんなのではないかと。グルーチョの毒舌もさることながら、やはり「目」ハーポと「口」チコのコンビが絶品。(お願いだから今は絶版となっている中原弓彦(小林信彦)氏の名著「マルクス兄弟の不思議な世界」を復刻してくださいよ~。) 【Nbu2】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-07-01 13:01:23) |
13.面白いことに変わりはないんだけど、それでもどこか大声を上げて笑うのには躊躇いがあった。グルーチョの毒舌の言い回し、チコとハーポのコントと秀抜ながらも、感性の貧しさからかどうにも「古い」と思わざるを得ないシーンやギャグが何箇所かありました。もしかして自分はマルクス兄弟には向いていないのか?と思ったり、キャラクター自体は好きなんですけどねぇ。ただ終盤の戦争に突入してからはまるで笑い死にしそうな勢いでした。繰り返し何回か観れば味が出てくるのかも。 【かんたーた】さん 6点(2004-12-18 11:33:31) |
12. 大学1年生の夏休み、初めて観たマルクス兄弟映画。「戦前に、こんなにバカな映画があったことが嬉しい」というレビューを、ある文庫版映画ランキングで読んではいたんですが、僅か1時間余りという尺で、これだけ手際よくまとまって、しかも切れ味鋭い間抜けっぷり、バカさ加減は衝撃的でした。兄弟で唯一まともに見えるゼッポも、最後までしっかり兄たちについて行っている時点で、魅力的でありやっぱり間抜けなのかも。チコリーニとピンキー (日本語で「小指」!) という、名前はおろか、存在していることそのものが間抜けな2人が、陽光降り注ぐ外でのピーナッツ売り屋台で、間抜けを繰り広げる様は、まさに屋外版の舞台コントのような雰囲気そのもの。イタリア語訛りで矢継ぎ早に話しかけるチコリーニ、それをギョロ目でじぃっと見据えて、無言で変幻自在な小技 (ハサミでちょん!っとフランクフルトをちょん切ったり) で対抗するピンキー。そんな2人が、すぐにあの独特の振り付けの殴り合いに発展して行く様が、可笑しくも何とも言えぬ良い雰囲気なのです。 |