5.ここに描かれているドラマは、決して人ごとではない。どこの家庭にだって起こりうることだと思う。「うちの子に限って」という無関心さは許されないし、「学校が悪い」「家庭が悪い」と責任を押しつけ合っても何も解決しない。本当に身につまされる映画である。
私はこの映画が上映された頃、すでに教職についており、不登校や非行問題にも直面していた。ここまでひどい経験はないが、それでもこれに似通ったケースはいくらもあった。
映画の中盤で両親が少年相談室を訪れるが、最初のことばは「いじりすぎましたね」だった。ここまでこじれると荒療治をするほかないのである。竹田さんから両親に5~6つの約束事が提示されるが、これが大変重要だ。おそらく専門家を通して語られたことばだろうが、意味をしっかり受け止めなければならないだろう。
映画としての評価が低いのにびっくりするが、わたしはあまりのすごさに震えが止まらなかった記憶がある。
家庭崩壊の恐ろしさを見事に描いた映画であり、教育関係者はもちろん、子を持つ親は一度は見るべきだろうと思う。そして考えるべきである。