21.老人ホームにて自らの老いに対して葛藤する老人たち。置き去りにしてきた仲間を救い出すために地球にやってきた異星人たち。彼がふいに出会うことで繰り広げられるSFファンタジー。
数年前に初見した時と同様に、概ねのプロットはそういうことだった。
最後は、老人たちと交流を深めた異星人たちが、不老不死の自らの星へ老人たちを誘う。
どストレートな物語だという印象だったけれど、久しぶりに観て違う印象も生まれた。
果たして、異星人たちの誘いのままに不死の世界へ旅立った老人たちの選択は正しかったのだろうか。
ある老人はたった一人、「ここが故郷だ」と別れを告げて、地球に残る。
彼の選択こそが、自然の中で生きる人間として健全なことだったのではないかと思った。
もちろん、地球を離れることを決意した主人公たちも、自らの行動が自然の理に反することは重々理解しており、「ちょっと自然に反抗するだけだ」と自身に言い聞かせる。
ただやはり思うのは、「生」の素晴らしさは、「死」が終着にあってこそはじめて成立するものなのではないかということ。
この映画においても、老夫婦が愛し合う姿や、長年の伴侶との別れを悲しむ姿に涙が溢れることは、長い「生」を全うしてきた彼らの姿だからこそ生まれる感動だと思う。
この映画は、馬鹿正直にまっすぐなファンタジーを描きつつ、人間という一生物の本質的な“運命(さだめ)”を物語っているのではないかと思った。